SNSでのことなのだが、
新しいメッセージが1件あります!
てな赤い文字が、ページの最上段あたりでピコピコする。
これはどんなSNSでも同じだ。
Y氏はこの赤い文字が気になってしかたがない状態に陥り、仕事中もつい自分のページを開く。そしてウェブ上のストーキング事件と、そのウェブの場外乱闘としての事件の結末をリアルワールドで見聞するに至り、脱会した。いまは仕事の道具として使うと宣言して復帰している。
Bで出会ったKをmに招待した。別のハンドルネームで別人格の実験をするという。確かに同じイベントをネタに、うまく別の世界を書き分けている。
Bとmを交錯させていることを知る者は1人しかいない。
コメントするのはバレそうでいごごちが良くない。
メッセージが一番安心できる。だがどちらのメッセを使うか迷う。
招待したKの存在によって、mは「ごく近いご町内」になっていたことに気づかされる。それをKも感じるのか、mには足跡を遺さない。
一番安心と思えるためか、当人同士以外には読めない(原則上)メッセージが気になる。メッセージを待つようになった。
まれびとであるCによって、そこが向こう三軒両隣となっていたことを意識してしまう。自由なコメントを入れにくい。
Y氏に近い事態だ。
ある親しい集まりに、大切な人を誘って行ったが、集まりと大切な人は互いに浮いてしまい、場違いな気まずい思いをする。
これはリアルワールドで起きることと同じである。
ウェブ上に、ウェブの中に、ウェブ内に「視線」がある。視線を感じる。はっきりと。
新しいメッセージが1件あります!
これはもうちょっとしたホラー、いやサイコミステリーの世界である。