恩師の死、女児殺害事件、市場の混乱、女系天皇問題、また市場の混乱…。

鬱陶しい、憂鬱の虫にたかられっぱなしの年末年始。

散々な一月だった。

が、お陰様で仕事だけはうまく走っている。

相変わらず種銭はお寒い限りであるが、

引いて眺めていればいいのであって、

こういうときは焦慮が最大の敵である。

上手に「忘れる」、というのも才能の一つだろう。


ビー玉の74歳になる店主は、最近「日本は後30年持たんな」と、こればっかりいう。

中国に席巻されるくらいなら、しっかりアメリカの旦那にくっついて第51州にでもなんでもしてもらったほうがましだと。情けないことこの上ないが、悔しいことに事実、現状であるので、情けなさを噛みしめるしかなかろう。なんだか今年はずっと冬のまんまかも知れぬなどと暗澹たる気持ちになる。がそれはそれでいいのである。から元気だして風邪ひくよりは、一陽来復を祈りながら、ガタガタ震えてでも耐える技量がいま必要だ。

うまくやろうなどと考えてはいけない。本来無一物、山河だけがあるのだ。


が、その山河が危ないのだとしたら、いったいどうすればいいのか。堂々巡りである。

これは日本に限ったことではないが、この山河にどうしてこんな変ちくりんな大型獣が生息することになったのか、そしてなぜこんなことを綴っているのか。

そういう素っ頓狂なことまで考え出す始末。


もう7年ほどになるだろうか、高尾で首をくくったF先輩が、いま生きていたら、おそらくやっぱり割腹かなんかして、生きてはいなかったろうと思う。この長い冬はもうあの頃から始まっていたのだと思えば、いまさら愁訴したところで遅い。みんなで渡れば怖くない壮大なゼロをここまで来てしまったのだ。


いまこそ話したいと思う人は、見回せばみんな亡くなっている。


だが、何もないのでもない。安藤忠雄設計の表参道ヒルズなどは、最近珍しく良い仕事だ。

氏自身が「心の風景」という言葉を使ったあのケヤキ並木は、見事に保存されたのだ。


それにしても今年ほど節分が待ち遠しいと思ったことはない。

少しだけ温もりが戻って来る。

あと5日ほどの辛抱である。