MLBもプロ野球も折り返しを迎え、オールスターゲームの話題が盛り上がっている。MLBのオールスターではマリナーズのイチローが7年連続の出場を果たし、史上初のランニングホームランを放つなどMVPを獲得した。ドジャースの斎藤隆も3者凡退に抑え、32番目に投票で選ばれたレッドソックスの岡島の登板は残念ながらなかった。


選ばれた選手たちは、パレードのように家族といっしょに車に乗り、ファンに囲まれて球場へ向かい、映画祭さながらのレッドカーペットの上を歩いて球場入りした。MLBのオールスターは1試合しか行われず、勝ったリーグにはワールドシリーズでのホーム開幕アドバンテージが与えられるため、お祭りでありながらも集められたスター選手たちの真剣勝負が見られる。岡島のように選ばれても出場できない場合もあるし、ヤンキースの松井であっても、あのレッドソックスの松坂でさえも今回は選ばれなかった。


そういう意味での希少性や演出、球場の雰囲気など、だれもが憧れるシーンがそこにはあって、まさにこれこそがオールスターと言える。



プロ野球も先日、ファン投票によって選手が選出されたが、残念ながらそこにはMLBにあるような名誉な雰囲気はあまり感じられなかった。仙台での開催ということもあり楽天の選手が多く選ばれたが、オールスターと呼ぶにはいささか不釣合いな結果となった。楽天から選ばれてよさそうなのは新人ながら7勝を上げて球界を盛り上げている田中と今年はホームラン王と打点王を狙えそうな山崎くらいだが、あとの選出はどうやら組織票なるものの影響らしい。


なぜ、旧態依然とした球界に改革を起こすべく誕生した新設球団が、プロ野球界の悪しき習慣みたいなことをしたのか残念でならない。自分のところだけ良ければ、今が良ければ、という感覚での軽はずみな行動は時代と逆行している。


普通に考えてみてほしい。あれがオールスターか?



プロ野球には何年か前からオールスターに出るよりは休みたいというような選手が出てきた。それはオールスターに選ばれることが名誉なことと感じられていないわけで、希少性という部分での配慮がないために起こっているような気がする。


まず、真剣勝負でなければならないし、ワールドベースボールクラシックで世界一になった日本チーム対日本チームのようなメンバーでなければ、選手たちも名誉なことと感じられないし、見る者を魅了することなど到底できない。


少なくとも昔のプロ野球のオールスターには夢があった。

試合数や選出や演出など、本当のプロ野球のオールスター戦となるように、すべてを見直す時期はとっくにきているといえるが、それを担うべき人たちだけがそれに気付いていない。