西のはずれの雑居ビル。
誰もここに店があるなんて気付かない。
カウンターだけの小さいBAR。
6~7人も座ればぎゅうぎゅうだ。
6年前の9月、
彼がこの店を始めた。
オープン間もない頃、
おいらは友人に連れて行ってもらって、
この店を知った。
彼は、客商売をするには、
ちょっと無愛想で、無口で、
でも、時々妙に人なつっこくて、
ネコみたいなところがある。
ずっと剣道をしてきたという武士道青年。
人を見るときの目は真っ直ぐで、
薄暗い店内でも、きれいに光って見える。
どうでもいい話をいっぱいした。
おいらが行くと、
さりげなくおいらの好きな曲をかけてくれた。
映画の話をよくした。
おいらが携帯電話を新しくした時、
「貸して」と言って、
おいらの携帯で写真を撮りまくった。
客が少なく暇な時は、一緒にオセロをした。
負けると、すぐリベンジを申し出てきた。
高難度な知恵の輪を外した時、
口元に笑みを浮かべたどや顔がかわいかった。
一度、妹と一緒に行ったことがある。
「美人姉妹だ」と珍しくお世辞が出た。
朝まで営業してることが多く、
4時頃に顔を出すと、
客と一緒に飲んで、酔っぱらっていることもあった。
いつもは、ツーンとしているくせに、
そんな時は、妙にからんでくる。
何度か、街中で出会ったことがある。
そんな時は、おすましさん。
手を振っても、振り返してこない。
ちょこんと頭を下げるくらい。
憎たらしいほどの、ツンデレ青年。
BARだから、
基本的には酒を飲むところなのだが、
彼は珈琲を入れてくれる。
丁寧にドリップする様を見るのが好きだった。
だからこの店は、
おいらの中では、最終到達地点。
彼の珈琲を飲んでから帰宅するのが、
おいらの夜遊びの仕上げだった。
彼は、2年前結婚した。
男性客が多い店だったので、
おいらの中では、密かにゲイ疑惑を持っていたのだが、
どうやらノーマルだったらしい(笑)。
そして今年、子供も生まれた。
もし、おいらに弟がいて、
その弟が結婚したら、
こんな気分なのかな…って、
疑似体験。
その彼が、今月いっぱいで店を降りる。
自分の店なので、店はこのままだが、
カウンターの中は人にまかせて、
彼は、昼の仕事をするという。
オレが独身だったら
きっと、ずっとここにいて、
ああ、もう10年たったな、
20年たったな…って
やってると思うけど、
結婚して子供もできたし、
自分のことばかり考えてられないから。
なんだか、
とっても大人な男になっていた。
この6年間、
男の子が男になるのを見ていたんだと思うと、
ちょっと感慨深い。
朝方のほろ酔いの彼が見られなくなるのは、
寂しいけど、
締めの珈琲が飲めなくなるもの
寂しいけど、
ツンデレ青年に軽く振り回されるのも
実は楽しみだったのだけど…。
でも、やっぱり寂しいね。
最後に顔を見に行った時、
「○○さん(おいらの名前)、いくつになりましたっけ?」って、
ストレートに聞いてきた。
おいおい、女性に年齢を聞くのは失礼だろう(苦笑)。
ま、おいらも隠す理由もないので、
「19××生まれだ」と言ったら、
「そうか…最初に会った時は、○歳だったんですね」と。
そして、
「かわんないですね」と笑った。
まったく、もう。
滅多に笑わない君が笑うと、
お姉さんはイチコロだよ。
また、会おうね。
誰もここに店があるなんて気付かない。
カウンターだけの小さいBAR。
6~7人も座ればぎゅうぎゅうだ。
6年前の9月、
彼がこの店を始めた。
オープン間もない頃、
おいらは友人に連れて行ってもらって、
この店を知った。
彼は、客商売をするには、
ちょっと無愛想で、無口で、
でも、時々妙に人なつっこくて、
ネコみたいなところがある。
ずっと剣道をしてきたという武士道青年。
人を見るときの目は真っ直ぐで、
薄暗い店内でも、きれいに光って見える。
どうでもいい話をいっぱいした。
おいらが行くと、
さりげなくおいらの好きな曲をかけてくれた。
映画の話をよくした。
おいらが携帯電話を新しくした時、
「貸して」と言って、
おいらの携帯で写真を撮りまくった。
客が少なく暇な時は、一緒にオセロをした。
負けると、すぐリベンジを申し出てきた。
高難度な知恵の輪を外した時、
口元に笑みを浮かべたどや顔がかわいかった。
一度、妹と一緒に行ったことがある。
「美人姉妹だ」と珍しくお世辞が出た。
朝まで営業してることが多く、
4時頃に顔を出すと、
客と一緒に飲んで、酔っぱらっていることもあった。
いつもは、ツーンとしているくせに、
そんな時は、妙にからんでくる。
何度か、街中で出会ったことがある。
そんな時は、おすましさん。
手を振っても、振り返してこない。
ちょこんと頭を下げるくらい。
憎たらしいほどの、ツンデレ青年。
BARだから、
基本的には酒を飲むところなのだが、
彼は珈琲を入れてくれる。
丁寧にドリップする様を見るのが好きだった。
だからこの店は、
おいらの中では、最終到達地点。
彼の珈琲を飲んでから帰宅するのが、
おいらの夜遊びの仕上げだった。
彼は、2年前結婚した。
男性客が多い店だったので、
おいらの中では、密かにゲイ疑惑を持っていたのだが、
どうやらノーマルだったらしい(笑)。
そして今年、子供も生まれた。
もし、おいらに弟がいて、
その弟が結婚したら、
こんな気分なのかな…って、
疑似体験。
その彼が、今月いっぱいで店を降りる。
自分の店なので、店はこのままだが、
カウンターの中は人にまかせて、
彼は、昼の仕事をするという。
オレが独身だったら
きっと、ずっとここにいて、
ああ、もう10年たったな、
20年たったな…って
やってると思うけど、
結婚して子供もできたし、
自分のことばかり考えてられないから。
なんだか、
とっても大人な男になっていた。
この6年間、
男の子が男になるのを見ていたんだと思うと、
ちょっと感慨深い。
朝方のほろ酔いの彼が見られなくなるのは、
寂しいけど、
締めの珈琲が飲めなくなるもの
寂しいけど、
ツンデレ青年に軽く振り回されるのも
実は楽しみだったのだけど…。
でも、やっぱり寂しいね。
最後に顔を見に行った時、
「○○さん(おいらの名前)、いくつになりましたっけ?」って、
ストレートに聞いてきた。
おいおい、女性に年齢を聞くのは失礼だろう(苦笑)。
ま、おいらも隠す理由もないので、
「19××生まれだ」と言ったら、
「そうか…最初に会った時は、○歳だったんですね」と。
そして、
「かわんないですね」と笑った。
まったく、もう。
滅多に笑わない君が笑うと、
お姉さんはイチコロだよ。
また、会おうね。