折茂さんに恋をした乙メンが、
試合終了後、ボソっとつぶやいた。

「俺もハイタッチしたい」と。

試合中、折茂さんがシュートを決めるたびに、
「おー!」
「あー!」
「わー!」と感嘆の声をあげていた。

「編集長、折茂さん、はんぱないっす!」
彼の言葉の回りには、ハートが散らばっていた。
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

「編集長、やばいっす!」
「折茂さん、やばいっす!」
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

結果は残念だったが、
彼の中では、初バスケ観戦で、
折茂さんの神業を目の当たりにして、
「ちょー、楽しかった!」らしい。

帰りの地下鉄で、
「今度、アリーナで見ようよ。
そうしたら、ハイタッチできるよ」と言うと、
「やりたいっす!折茂さんと、ハイタッチ…」と言いかけ、
「やっぱ、無理っす!絶対無理っす!」と。

もし、本当に折茂さんとハイタッチすることになったら、
恥ずかしくて、パニックを起こすかもしれないと彼は言ったのだ。

どんだけ乙メンなんだ…。

そして、最後に彼は言った。

「折茂さんを見て虜にならないヤツがいたら、
そいつ、バカです」だって。



皇帝、折茂武彦。
また一人、完璧に落とした(男だけど)。
罪づくりな男だ。