太郎がゆで卵を貰ってきた。


エレベーターで後からゆっくり歩いてきた


高齢のご婦人のために


ドアを開けて待っていてあげたらしい。


「優しい子だねぇ、これ食べて」


といただいたそうだ。


「人に親切にすると、いいことあるなぁ」


とニコニコの太郎。


聞くと、親切な太郎は


あちこちで飴やガム、ジュースなどを


いただいたことがあるという。


「知らない人から貰った食べ物を口にしてはいけない」


と、ものすごく言いたかった。


太郎が嬉しそうに差し出すゆで卵を、


こっそり捨ててしまおうと


何度も考えた。


残念ながら毒味役のダンナも不在である。


悩んだ揚げ句、


太郎と二人でゆで卵を食べることにした。


ゆで卵はとてもおいしく


太郎はとても嬉しそうだった。


2時間経っても腹痛も起こらず


自分への嫌な気持ちだけが残っていた。


いつから私はこんなふうになってしまったんだろう。


ゆで卵には


いろんなものが詰まっていたようだ。