L STREET 4
3つあるカウンターの端に座ってビールを飲む
知らない曲に身をゆだねていると、ふいに父親の横顔が脳裏に浮かぶ
トミーはビールを一気に飲み干す
枯れた喉に炭酸が痛い
もう一杯、ビールを流し込むが、酔いの気配を感じることができない
どうやら最低な夜みたいだ
曲のブレイクの度に、暗いフロアーから笑い声が聞こえる
香水と大麻の匂い
スネアの破裂音
ガレージの思い出話
いつもなら心地良いのに、今日はダメだ
どうやら最低な夜みたいだ
トミーは俯いて眉間に皺を寄せる
どうやら最低な夜みたいだ
そんな夜に、ふと気づけば彼女がいた
L STREET 5に続く