「技術で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか」を読んで
技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由/妹尾 堅一郎¥2,520Amazon.co.jp「日本の自動車産業は、15年で壊滅状態になります」本書の冒頭にこんなショッキングなメッセージを著者が投げております。つまり、自動車部品を製造するのはとても高度な技術を必要とするが、今後躍進が期待されている電気自動車は単純な部品の組み合わせで作る事ができてしまうようです。著者も「2016年には秋葉原で組み立て電気自動車が売られる」と広言しています。そうなれば、日本の自動車産業は軒並み壊滅状態は間違いありません。一方で、この世界的大不況の中、日本の半導体産業もすでに壊滅状態である事もあげています。大企業の半導体部門は軒並み何千億円もの赤字で、本体の経営をも揺るがしています。そんな中、例外的に高収益を維持している企業がインテルです。1980年代、日本に半導体産業はかつて「ものづくり」の技術で世界をリードしていました。それを示す特許の数は日本の企業群で1万あまりと言われています。それに引き換え、インテルが保持する特許数は320に過ぎないとのこと。320人の兵士で1万人の日本の企業連合軍に勝つという事に私もびっくりしました。これが「技術で勝っても、事業で負ける。技術はあるのに、なぜ勝てない」という問題意識につながります。負けたらしっかりとなぜ負けたのか省察していかなければいけませんが、日本人の良くない癖として、「水に流してしまう」というもの。かつて太平洋戦争で日本軍は、当初なぜ自分たちが勝ったのか分析もせず同じように攻め続けて、そして負けに転じた後もなぜ負けたのかについて原因をしっかりと分析せず負け続けてしまいました。この良くない癖を現代まで引っ張って日本の産業、特に製造業はこれと同じ状況になっていると著者は指摘しています。本書の結論は、「三位一体」に事業経営がなされるべきだというもので、技術だけで勝つ時代ではないということ。技術だけで勝つ時代は圧倒的な強さを持った武将が勝つという、お話。つまり、強い将軍と兵(技術力)を使いこなす軍師(ビジネスモデルと知財マネジメント)の時代に移行していることに気づかなければいけない、と警鐘を鳴らしています。私が思うのは、本当に過去の成功体験を手放す事をしなければ日本はドンドン沈んでいきます。過去に明治維新という世界にも稀な革命を成し遂げたのが日本です。サムライというプライドを捨てて、西洋諸国を受け入れていった変化を今こそすべき時でしょう。いい加減、高品質、高性能の「ものづくり」体質から抜け出し、新しい産業である「「人づくり」に全勢力をあげていかなかればと切に思います。