「…あと少し―――」
地底を進みながら一人呟く。
すでに作戦は最終フェイズへと突入していた。ストームチームが同行している部隊以外の被害は大きくなっているようだが、それでも作戦中止にはならない。なんとしても最深部に到達しなければならないのだ。
それは、なんとしてもこの作戦を終わらせ、地球の平和を守るために。
そして――――
予約したケーキバイキングに行くために。
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合流したレンジャーチームと共に、巣の中心を目指す。途中、装備を変更し、今回はPX50バウンドショットなる新装備をあずかってきた。こいつは、バウンドガンのショットガンタイプで、散弾の全てが跳ね返ると言う特別仕様。閉所での戦闘なら、強力な武器となるだろうとのことだった。
使ってみた感想を言わせてもらえば、確かに強力だった。弾が大量に跳ね返ってきた時は、すごく怖かったけどっ。
それでも使い方さえ間違えなければ、強力な武器には違いない。こういう場所だしね。
巨大生物を撃破しつつ進んでいると、不意に味方の通信が入ってきた。
「こちらストーム4。目標地点に到着。レンジャー1-5はすでに全滅。生存者なし」
ストーム4といえば、確か・・・ビル隊員だったっけ。って…あれ?
そこで通信が途絶える。
まぁ、あのビル隊員の事だから。包囲されたって、全然問題はないと思うし…。
少し気になるが、まずは先に進む事に専念することにする。
どうやら、ここの巨大生物は防衛に徹しているらしく、向こうから先に攻撃はしてこない。つまり先手を取る事が出来るので、攻略自体は一番楽な気もする。
バウンドショットで強襲。あとは同行しているレンジャチームと一緒に弾幕を張れば、そうそう苦戦はしない。
そして、さらに進むこと数分。次々と飛び込んでくる報告は、ストーム5、ストーム6と続けて、通信が途絶えたというものだった。
「……・・・」
ぶっちゃけると――あの二人が、やられたなんて光景は、まず浮かばない。 何かあったには違いないが、まぁ気にするほどの事ではないだろう。通信途絶って言うのは気にはなるけど・・・。まぁ、それほど心配するほどの頃ではないと思う。絶対。
そんなわけで足を止めずに、さらに先へと進む。
ちなみに何気にものすごく時間が経過しているように思うが、まだ1月1日であることを、ここで言っておく。
そうこうしているうちに…。地底の最深部と思われる地点へとたどり着いた。
あとは、正面に見える曲がり角を曲がれば、巣の中心。報告にもあった女王アリがいる場所だ。
通常なら、このまま進んでいくのだろうが…私は違う。
前経験が生きているからこそなんだけど。地底の女王蟻は地上で遭遇するより厄介だ。スプレーもしくは火炎放射の勢いでばらまかれる酸は、逃げ場のない通路などでは避けることも出来ない場合があるのだ。
では、どうするか。
答えは簡単。私には秘策がある。
「一応流れ弾が来る可能性もあるから、退避しといてね」
レンジャーチームの皆さんにそう告げて、持ってきたもう一つの装備を取り出した。
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~女王アリ視点~
「!?」
巣の最深部にて。EDFを待ち受けていた女王アリは、突然のことに思わず驚いた。
唯一の出入り口。そこから大量の跳ねるグレネードが飛びこんできたのである。それがEDFからの攻撃であることは、すぐにわかった。
すぐさま酸を吹き付けるが、攻撃の手はやまない。一定間隔で容赦なく飛び込んでくるグレネードは、縦横無尽に広間を飛び回り、爆発。安定はしていないものの、確実に女王アリにダメージを与えていく。
どうせなら正々堂々勝負しろ…!!そう叫びたい気持ちだったが残念。
彼女には、人間にそれを伝える術はなく、ほぼ一方的にボッコボッコにされていくのであった…。
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~フェイさん視点~
「…終わったわね」
洞窟の奥から、大きな断末魔のような物が聞こえ、攻撃の手を止めた。
手には、スプラッシュグレネードα。跳ねまくるグレネードを大量に撃ち出すアレである。
こういう地形だからこそ出来た攻撃ではあるが、まぁ大した被害もなく仕留められたので、よしとしよう。
唯一の被害は、私だけ。まぁ、冬村隊員みたいに跳弾を自在に操れるわけではないので、幾つかが私のほうに飛んできただけのことなんだけど。
――ケーキバイキングを予約していなかったら、やられているところだった(マテ
ちなみに、レンジャチームは後退させておいたので、味方誤射はしていない。
それはともかく―――
「よし、終わったーッ。さぁ、さっさと撤収するわよ!!ケーキバイキングが待ってるんだからっ」
作戦は終わった。あとは自分へのご褒美タイムだ♪
~To Be Countinue....~
~おまけ① 喋ったストーム4の謎~
「ストーム4、お願いだから何かしゃべってくださいッ。本部への報告どうするんですか!?」
「・・・・・・」
「え? 代わりにやれ? ぼ、僕がですか!?」
「・・・・・・(コクリ)」
「えええええええっ!?」
数分後。仕方なく変わりに喋るレンジャー隊員の姿があった。
そんでもって―――
「こちらストーム4!罠だ! 包囲されてる! 凄い数だ!ダメだっ! 敵が多すぎるっ! うあぁーっ!」
「・・・・・・・」
「あいたっ!? な、なんで殴るんですか!? 通信機落として壊れたじゃないですか!! 」
「・・・・・・・」
「え? 俺はそんなにへたれじゃない? ・・・す、すみません・・・つい」
~おまけ② ストーム5が通信途絶した理由~
「ストーム5。レン(爆発音により声消える)」
「どうしたスト(爆発音により(ry))」
「さっきから、何か聞こえませんか?」
「気のせいじゃないでしょうか。それより、次を起爆しますので退避をしてください」
「了解!!」
↑一定間隔による爆破と、通信のタイミングが重なったため気がつかなかった…の図。
~おまけ③ ストーム6が通信途絶した理由~
「…? あ、すみません、誰か予備の電池は持ってませんか? 通信機の電池が切れたんですが…」
―今度こそ終わり―
☆えむ’sコメント☆
というわけで、地底進攻作戦終了。
フェイさん活躍・・・の巻。あんまり活躍してるように見えない? それは言うなorz
ストームチームとの通信途絶理由は、こじつけてみました。ストーム4はともかく、後の二人は…多少苦しい気もするネタ的に…。でも、まぁいいよね、てへっ(ぉぃ