作戦No.47【ターニング・ポイント】 | 地球防衛軍第7支部(凍結中)

地球防衛軍第7支部(凍結中)

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―2026年5月9日 10:24―
―東京 EDF日本支部司令部 屋外演習場―

「い、意外だなぁ…」
「……ん。エリス最強伝説破れたりって気がする」
 今、目の前で行なわれていた模擬戦の結末に、イヅキ隊員もハルナ隊員も唖然としていた。
 あまり実戦には役に立たないのだが、今日は隊員同士で模擬戦をやってみようと言う事になったのだ。もちろんアーマースーツ着用の上、実弾使用である。
 で、最初はエリス隊員VSグレイ隊員で始まり、どう見たって勝負の結果は見えている…ように思えた。しかし、実際の結末はグレイ隊員が勝つという、信じられない結末になったのだ。
「負けちゃいました」
「巨大生物とかは勝手が違うし、そんなもんだって」
 両手にゴリアス2を持ったまま、意外と澄ました表情のグレイ隊員。だが、内心では冷や汗ものだったのは言うまでもない。近づかれる=即死フラグなのだから。
「…勝負を別けたのは、やっぱりグレイのゴリアス運用がうまかったせいだと思う」
「そうだな。ロケットランチャー系は、わざと地面を狙って爆発させたり……と言った方法がある分、かわしづらいし。――エリスさんの縮地は、予備動作がある分、対人には向かないだろうし」
「……実はエリスって、対人苦手?」
「どうかな…。単にグレイだからだろ? 重火器の扱いは俺よりうまいし」
「……じゃ他の隊員さんは、こうはいかない?」
 ハルナ隊員が尋ねると、イヅキ隊員は少し考えてから答えた。
「恐らく。まぁ、投擲武器あったらグレイ瞬殺だっただろうけどな」
 例えるならば、ライサンダーZを装備し、ステージは海岸。対戦が始まる前に、攻撃ボタンを押しっ放しにしといて、開幕と同時に瞬殺……の超反則パターンと同等なくらいの瞬殺になることだろう。
「とりあえず、総当たりでやってみようか。次は、俺とハルナだな」
「………ん」



※ では、ここからダイジェストでお楽しみください。
第1ラウンド:グレイ隊員VSイヅキ隊員
結果:イヅキ隊員の勝ち
 序盤はロケットランチャーで嵌められる形となり、イヅキ隊員大ピンチに。
 ところが途中で、グレイ隊員がジャムったのをきっかけに嵌めパターンから脱出。互いに緊急回避を駆使した、かなり高レベルなら戦いとなったが、リロード時間の遅さが勝負の結果をわけることとなった。



第2ラウンド:ハルナ隊員VSグレイ隊員
結果:ハルナ隊員の勝ち
 障害物を利用してハルナ隊員が隠れたのが全ての始まりで、全ての終わりだった。
 見失ったハルナ隊員を探しているうちに、いつのまにか背後を取られ。後ろからデモニックランスで一撃。
 グレイ隊員の言葉を借りれば、「撃たれるまで気づかなかった」とのこと。



第3ラウンド:イヅキ隊員VSエリス隊員
結果:エリス隊員の勝ち
 接近してくるエリス隊員へアサルトライフルで攻撃を仕掛けるも、その弾幕を全てかわされ、気がつけば目の前に正拳。だが、それを奇跡的に回避(避けようと仰け反ったら転んだ)。見事背後をとって攻撃しようとしたが、回し蹴りをくらって吹き飛んだ。その一撃でHP0。さすがは巨大生物を素手で倒すエリス隊員である。



第4ラウンド:エリス隊員VSハルナ隊員
結果:ハルナ隊員の勝ち
 グレイ隊員の時と同様の手で秒殺されて終わる。



第5ラウンド:イヅキ隊員VSハルナ隊員。
結果:ハルナ隊員の勝ち
 やっぱり同じ方法で(ry
 だがなぜか背後をついたところで、イヅキ隊員に気づかれ奇襲は失敗。
 一旦距離を開けてから、今度は正統法にて攻撃を仕掛ける。イヅキ隊員はアサルトライフルで牽制しようとしたのだが、そこでなぜか硬直。デモニックランスにて瞬殺された。
 明らかにおかしい結末に、どうしたのかと尋ねてみたら―――
「かつて味わった恐怖がフラッシュバックして、身が竦んでしまった」
 ――-とのことだった。


 以上が結果である。
 全勝したのはハルナ隊員。どうやら彼女は、インベーダーよりも対人戦の方が得意らしい(汗) さすがは某暗殺術の使い手である(マテ
「ハルナさん、強いですね~(汗」
「いや、強いっつーか…。単にやり口が―――」
「待てグレイ。その先を言うと後が怖いぞ…?」
 グレイ隊員の言う事はもっともな事なのだが、それを事前に阻止するイヅキ隊員。結果はどうあれ、これが勝負の世界なのである。
「………優勝した」
 そして、全勝したハルナ隊員は、どことなく嬉しそうだった。
 さらに、負けると更なる高みを目指す傾向にあるエリス隊員は、密かに何かを決意したらしいが、それは誰の知る所でもなかったりする。
「さて、今日はこのくらいにして。たまには小隊全員で、どこか食べにでも行くか。何処がいい?」
 今日は非番というのもあったので、イヅキ隊員がそんな提案をしてみる。
「そうですね~。あ…焼肉食べ放題とかどうでしょう?」
「……じゃ、私が奢る。大判振る舞い…」
「おお!?なんて太っ腹――ぎゃぁっ!?」
「……私はそんなに太ってない」
「……そ、そう言う意味じゃ……ねぇ(ガクッ)」
「なにもデモニックランスで突っ込まなくても……(汗)」
「隊長さん。女の子は、そういうのすごく気にするんですよ?」
「わ、わかった。肝に銘じておくよ(汗)」
「…えーと、とりあえず食べ行く前に医務室につれて行った方がいいですよね…?」
「そ、そうだな…」
 ダラダラと脂汗を浮かべながら頷きながら、イヅキ隊員は思った。ハルナ隊員、やっぱり怖い…。敵に一番回したくないのは、むしろこっちかもしれないと。
 ちなみに言い忘れていたが、作戦以外の時は、大体いつもこんな感じなのは、ここだけの話である。




―2026年5月9日 10:20―
―北極上空1000m地点 EDF総司令本部―

 その頃――――
「状況は?」
「オペレーション・ブレイブサンダー以降。各地で大きな動きはみられません。いまだ最大警戒レベルでの監視体制を続行してはいます」
 EDF総司令本部。その会議室にして、今後の方針を決めるべく作戦会議が行なわれていた。
 皇帝都市アダンをおびき出すためのオペレーション・ブレイブサンダー成功から、幾らかの時間が経過したが、いまだ出現する気配がないのだ。
「対アダンの対策は?」
 珍しく真面目モードのエム総司令が厳かに尋ねる。
「すでに各地の司令部にて、対アダン攻撃の部隊が編成済みになっています。前大戦での教訓を元にした攻略作戦を立てているので、そう苦戦することはないでしょう。――この世界では、作戦領域の壁は存在しませんし」
「そうだな……」
 微妙に雰囲気ぶち壊しな発言が見られるが、ぶっちゃけてしまえばそういうことである。そして―――秘書の言うとおり、すでに対アダンの攻略作戦が立案されていた。
 方法としては実に単純。皇帝都市アダン出現と同時に全部隊はアダンの外縁部まで離脱。その後、長距離からの狙撃で砲台を落とし、敵を無力化した上で、エアバイク部隊で敵中心部へ移動し、攻撃。撃破と同時に高速離脱。と言った具合である。
 皇帝都市アダンの攻撃範囲は、主に真下である。だから、その範囲よりも外側から攻撃し、端の方から砲台を落とせば、かなり安全に攻略可能……と言う訳だ。ついでを言えば、オリジナル世界とは違うので、動員数も制限はないため、攻撃もばらけて一石三鳥くらいのメリットがある。
 つまりのところ、この物語ではアダンなんて、防衛軍2におけるマザーシップ程度の相手に過ぎないのである。合掌。
「問題は、日本支部が攻撃されたときに出現したという赤いマザーシップだな」
「はい。あれ以降、今までに何度か姿が確認されていますが、いまだ有効な攻撃手段が見つかっていません。偵察隊の報告では、弱点らしい弱点もないと言う事で…」
 秘書さんがスイッチをおすと、壁の大型モニターに赤いマザーシップ改めエース・マザーシップの写真と詳細なデータが表示される。
「とりあえず、調査を続行してくれ。攻略方法がわからないままじゃ、前大戦とかと同じく、被害が増えるばかりだ」
「了解しました。―――管制室から通信ですね」
「む?」
 なんだろうか?と少しばかり怪訝な表情をしつつ、回線を開くと、すぐにモニターに中央司令室のスタッフの姿が写った。
「なにかあったのか?」
「総司令。アメリカ・ニューヨークに皇帝都市アダンが出現し、現地の部隊が戦闘に入ったようです」
「……来たか。となると、この戦いも詰めに入ったかな。それで?」
「同時に、日本の東京上空にエース・マザーシップが―――――」
 そこまで言いかけたところで、不意に画面の向こうが騒がしくなった。同時にオペレーターの一人が、どこか違う方向を向いて他のオペレーターと慌てた様子で言葉をかわす。
「どうした?」
 総司令が尋ねると、オペレーターは慌てた様子で向き直った。
「は、はい!!衛星軌道上より、ディロイとUFOキャリアー数機の降下を観測。さらに、ドレットノート5機を主軸とした大規模な航空戦力が確認されました!!」
「なんだって…? 相手の目的地はわかるか?」
「は、はい――――」
 総司令の問いに、オペレーターはひどくぎこちない様子で頷き、ゴクリと唾を飲み込む仕草を見せてから、深呼吸を一回して、こう言った。












「EDF総司令本部―――この基地です!!」


 













三度目のインベーダーとの戦争開始から、約11ヶ月。

人類とインベーダーの戦いは、一つの転機を迎えようとしていた。


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□えむ’sコメント□

 小隊内での模擬戦。いかがだったでしょうか?
 対戦でのロケットランチャーは、上手くやるとすごく反則武器と化すと思うのは、僕だけでしょうか?

 エリス隊員が負けたのは、グレイ隊員だったから。ほら、EDFでも一番怖いのは人間でしょ?w 動きを読んで攻撃してくるしw

 そして前半のコメディ的なノリから一変して、後半シリアスモード突入。緊迫感出てたらいいなぁ~w

 ちなみに、これからシリアスムードが強くなるかもしれませんが、ご安心を。どこかでギャグぽくなるのが、えむクオリティですので(滅