作戦No.31【お部屋見学作戦(前編)】 | 地球防衛軍第7支部(凍結中)

地球防衛軍第7支部(凍結中)

地球防衛軍系の創作小説や関連ネタメイン。
現在は凍結中

―2026年1月30日 19:00―
―東京 EDF日本司令部―
 その日は、珍しく平和だった。いつもだったら、インベーダーの襲来とか、色々ありそうな物なのだが、今回は本当に珍しい事に何も起きていないのである。
 そして、イヅキ隊員は、ちょっと暇だった。訓練はちゃんとやってるのだが、時間を持て余してしまったのだ。
 そこで、彼はふとある事を思いつき、それを実行に移す事にした。それは、イヅキ小隊の他の隊員の様子を覗きに行くというもの。すでに30話も越えていて、何を今さら……と思うが、今までが忙しかったのだ。
 とりあえず、そんなわけでイヅキ隊員は、まず―――グレイ隊員の部屋へと向かうことにした。理由は、近いから。



―東京 EDF日本司令部 グレイ隊員の部屋前―
 ドアをノックして約10秒。中からグレイ隊員が姿を現した。言うまでもなく私服姿である。と言っても、フツーにTシャツ・トレーナーにジーンズと、何の変哲もない格好だ。
「グレイ、ちょっといいか?」
「隊長?どうしたんだ?」
 突然の訪問客に、グレイ隊員は少しばかり驚いた様子だった。
「いや、普段何してるのかなーって」
「あー。わりぃな。これから来客があるんで、部屋片付けてた」
「へぇ。じゃあ、手伝おうか?」
「お、それは助かるぜ。人手がほしかったんだ。入ってくれ」
 そう言って中に入るように促すグレイ隊員。勧められるままにイヅキ隊員が中に入って見たものは――――
「うぉっ?!」
 ずらりと並ぶ武器だった。ゴリアスやらGランチャーやらD系列のアサルトライフルやら、破壊力重視の武器だけだが、しっかりと分類・整理されて騒然と壁の一面を占領している。一瞬、武器庫かと思ったぐらいだ。
「………え、えっと…。こ、これは?」
「これ?俺のコレクションで支給された武器を並べてるんだw」
 呆気に取られるイヅキ隊員に、グレイ隊員はあっさりとそう答えた。どうやら、実は彼――武器マニアだったらしい。ちなみに、現在所持を許可されていない武器は、まだ並んでいなかったりする。
「そ、そうなんだ……」
 見た所、武器は全て丁寧に整備されていた。たぶん、EDFの武器庫のよりも状態がいいだろう。
「そ、それで…。来客って…?」
 とりあえず部屋の片付けをしながらたずねてみると、グレイ隊員は掃除機を掛けながら答えた。
「俺の師匠が久しぶりに来るんだ。二丁持ちの先駆者なんだぜ?」
「へぇ…」
 それは初耳だった。しかも、二丁持ちと言うのはグレイ隊員だけの特技ではなかったらしい。ふとある棚に飾られた写真立てへと目が行った。一つは、妙にワックスが輝いて見えるギガンテスをバックにグレイ隊員と、少し年上の陸戦隊員の二人で並んでいる写真。もう一つは―――ライサンダーFを両手に、豪快な笑顔を浮かべ、見ただけで何とも言えない威圧感すら感じられる筋骨隆々とした非常に体格の良い陸戦兵とグレイ隊員の写った写真である。
「…………この人ってまさか……」
 二枚目の写真を見て、ふととある隊員の噂を思い出す。前大戦の知られざる英雄の一人に、反動の強力な事で知られるライサンダーを両手持ちするマッチョな隊員がいた…というものである。
 名前は確か――――某歌手グループの有名人と一文字違いだったはず。意外なところで、意外な繋がりがあるものである。
 ちなみに、それ以外は結構普通の家具やらが置いてあったのと、壁の一角にダロガたんん等身大(130cm)ポスターが張ってあったくらいである。
 その後、部屋の片付けを終えたイヅキ隊員は、グレイ隊員に別れを告げると、次にイーグリッド隊員の部屋へと行ってみることにした。



―東京 EDF日本司令部 イーグリット隊員の部屋改め開発部研究室(ぇ―
「…………ここ?」
 イーグリット隊員の部屋と思ってやってきた場所。そこ開発部の研究室だった。
 入口の自動ドアの所にしっかりと『EDF開発部・研究室』とプレートが貼ってある。さらに、なぜか自動ドアの両サイドには、セントリーガンに似た謎の設置兵器が置かれていたりする。しかし、それが何なのかわからないイヅキ隊員には、どうでも良い事である。
 とりあえず、中へと入ってみると、中では幾人もの技術者が、それぞれ色々やっていた。まぁ、どんな物をどうしているかについては、処々諸々の事情により割愛させて頂く。
「む。イヅキ隊長か。どうした?」
 イーグリット隊員を探して、辺りを見回していると不意に背後から、声が聞こえた。振り返ってみれば、そこにはやっぱり白衣(下にはYシャツとネクタイ)を着たイーグリット隊員がいた。
「いやぁ、暇だったので普段何してるかと思って見に来たんだが……。なんでアレックの部屋がここ…?」
「あぁ、そのことか。元々開発部だったせいか、何もないとここで色々作業する習慣になってしまっていてね。寝る間も惜しんでとまではいかないが、ここに入り浸っているから、ここが私の部屋みたいな物なのだ」
「そ、そうなんだ……」
 ちなみに聞いた所に寄れば、一応自分の個室もあるにはあるらしいのだが、全く使っておらず、空き部屋同然になっているらしい。
「それにしても、初めて来た気がするな……」
「それはそうだろう。基本的に、開発部の人間以外は来ないからな。最近はないらしいが、主任によれば以前は部外者の出入りが何度もあったらしい」
 そう言いながら、イーグリット隊員は眼鏡を外すとレンズを拭きはじめる。
「正確には襲撃だったか…? ともかく、そういった事態があったため、ここの研究室はEDF最強の防御力を誇るらしいぞ? 確か、そうだったな主任」
 ちらりと視線を向けると、まだ見たことのないアサルトライフルを分解していた男がコクコクと頷く。なんでも、5重もの積層装甲にリアクティブアーマーも使った特殊防壁なのだそうだ。


 なんだか、主旨が異なってしまったが、せっかくやってきたのでイヅキ隊員は研究室を見学してみることにした。

 その結果からすれば、以前本部で見かけた研究室と大差はないものの、やはり幾つか違いもあった。
 まず研究室に繋がる全通路を映し出しているたくさんのモニターがあった。何となく気になって尋ねてみると、以前――何度か襲撃を受けた際に、事前に接近がわかるようにと取り付けたものなのだそうだ。
 次に目についたのは、部屋の片隅に置かれている――それこそどうやって入れたのだろう…と思える程に巨大なタンクだった。見れば5tという文字が書かれている。中身は液体金属なのだそうだ。
「………T-3000とか作ろうとしてないよな」
「…? 何の話だ?」
 ポツリと呟くイヅキ隊員の言葉に、首を傾げるイーグリット隊員。アレは本編とは関係ないので当然の反応である。
 最後に見つけたのは『対F用最終兵器。賞味期限は随時確認』と書かれた小さな冷蔵庫だった。なんだか、すごく場違いな物に見えるのだが、話によればこれを投入するようになってから研究室の被害は激減したらしい。
 以上が、イーグリット隊員の部屋改め研究室の様子だった。
 ちなみに、見学中にちょっと悲鳴が聞こえたり、爆発音が聞こえたりしたのは、気のせいだろうと思っておく。



 とりあえずイーグリット隊員の日常は、大して何も変わらないらしいと言う事がわかったところで、イヅキ隊員は次にハルナ隊員の部屋へと向かうのであった。



                                  ~後編へ続く~
 


<<PREV               NEXT>>

□えむ’sコメント□

 長くなりそうなので二つに分けました。後編で、エリス隊員とハルナ隊員の部屋について明らかとなります。お楽しみに。

 そして―――存在だけがチラリと出てきたグレイ隊員の師匠。わかるひとにはわかるあの人。…勝手に師匠にしてしまったけど良かったかなぁ(ぇ

 その方の若き日(?)の活躍は、リンクから飛べる「EDF英国防衛司令部 」で見ることができますw サブキャラですが、なかなか個性豊かな―――(ぉ