作戦NO30【皇帝都市アダン現る!!】 | 地球防衛軍第7支部(凍結中)

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―2026年1月17日 12:00―
―東京郊外―

 マザーシップ撃墜から、2週間以上が経過した。
 前回同様すでに世界各地にて、巨大生物の掃討戦が行なわれており、もはや地球上から巨大生物が一掃されるのも時間の問題と言う状況である。
 しかしながら、EDFはいまだ警戒態勢を解いてはいなかった。前大戦では、この油断の隙を突かれたが、今のEDFは昔とは違う。
 生まれ変わったというのは伊達ではない。いつ現れても良いように、今も24時間体制で監視を続けているのである。



 さて、例によって例の如く、イヅキ小隊もまた、他の部隊との共同で掃討戦に参加していた。
 とはいえ、EDF有数の戦闘力を持つ小隊である。もはや、そんじょそこらの巨大生物なんぞ敵ではない。
 前衛がエリス隊員とハルナ隊員。そして後衛がイヅキ隊員とグレイ隊員で見事な連携を取りながら、黒蟻の集団を駆逐していく。
 空を飛ぶハルナ隊員はともかくとして、接近戦を挑むエリス隊員には流れ弾(特にロケット弾あたり)が行きそうな物だが、富士樹海の特訓のおかげが、後ろから狙っても巻き込まれないと言う域に達していたりする。
「なぁ隊長。俺、思ったんだけどよ…」
 弾切れになったゴリアス2の装填作業を行ないながら、おもむろにグレイ隊員が口を開いた。
「どうした?」
「男の俺達が後衛ってどうよ」
「――――言うな。それは僕も気にしてるんだ…」
 ポツリと呟かれた一言に、イヅキ隊員は速攻で突っ込んだ。その事に関しては、まだ話数が一桁の頃から気にしていることだった。けれども適材適所という言葉があるように、どう考えたって、あの二人ほど前衛にふさわしい者はいない。
「気にしないのが一番さ…。気にしたってしょうがないし…」
 ふと遠い目をするイヅキ隊員。実は彼…いまだ同情票で1位をとったという事をちょっと気にしていたりする。
 半分現実逃避しつつも、それでもしっかりAS-22での攻撃を行っているのは、さすがと言った所だろうか。
 やがて、最後の黒蟻がイヅキ小隊のコンビネーションアタックによって撃破された。
 具体的には、グレイ隊員のAS-21Dによる牽制射撃を掻い潜りながら、ハルナ隊員が肉薄してレーザーランスCでふっとばし、ふっ飛ぶ先に先回りしていたエリス隊員がアッパーカットで上空へと更にふっとばし、そこをイヅキ隊員がライサンダーで撃ちぬく。と言った具合である。

 ちなみにグレイ隊員のAS-21Dの時点でやられているのでは?などと無粋な突っ込みをしてはならない。そんな事言う人には、フェイさんをけしかけちゃうぞ☆

「よっしゃ、これで終わりだぜっ」
「皆さん、お疲れさまでした」
「…まだ終わってない」
 最後の一匹を撃破後。やっと終わったーと肩の力を抜こうとするなか、不意にハルナ隊員が口を挟んだ。
「……まだ、ミッションコンプリートの文字が出てない」
「……ハルナ。作中の登場人物がそういうことを言っちゃ駄目だぞ?(汗)」
 すかさず突っ込むイヅキ隊員。だが、実際の所…まだ終わりそうな気配がないのは事実だった。
 つまり、まだ何か敵の増援か何かがあると言う事である。
 一体何が来る? 再び警戒態勢を取るイヅキ小隊。
「…敵の増援。何が来るって言うんだよ。もしかしてバゥとか?」
「――――!!!」
「ちょっ?!ハルナ、待つんだ!!ここでメニューを開いて撤退を選ぶな…!!
「……イヤ…。バゥ、嫌い……!!」
「グレイっ、ハルナを止めるの手伝え!!お前のせいだぞ?!」
 いきなり撤退しようとするハルナ隊員を、慌てて止めるイヅキ隊員とグレイ隊員。










――――と、そこで本部より緊急の通信が入った。











「ポイントJ-T-007にて空間湾曲反応お呼びに高エネルギー反応!!」
「現作戦区域で戦闘中の部隊に緊急通達。掃討戦を中断し、作戦区域よりただち撤退せよ。皇帝都市アダンが来るぞっ!!」

「「「えぇぇぇぇぇぇぇっ?!」」」
 増援が皇帝都市アダンとわかり、度肝を抜くイヅキ小隊。







 ふと見上げれば、空になにやらバチバチと放電する黒い穴。 ポイントJ-T-007とは、ここだったらしい。

 しかも、よりにもよってイヅキ小隊の完全真上。
「逃げたほうが良さそうだな……これ」
「そうですねぇ…」
「俺は移動速度遅いんだぞ?!」
「……死にたくなければファイト」

「よし、総員退避ーっ!!」
 すぐさま、その場からダッシュで撤退を始めるイヅキ小隊。だが、よりにもよってここはMAPで言うとど真ん中であった。つまりどっちに走っても、時間がかかると言う訳で…。
 そうこうしているうちに、空が巨大な影によって埋め尽くされた。
 無数の砲台が配備されたその姿は、まさに都市。そして、これこそが前大戦でEDF(限定)を壊滅寸前まで追い込んだ脅威の存在である。
「まずい、このままじゃ間に合わない……!!」
 懸命に走るがゴールは遠い。そうこうしている間に、頭上にある各種砲台が一斉に攻撃態勢へと入り始めた。
 難易度HARDである。即死はないにしても、攻撃が始まればかなりつらい。
「くっ、間に合いそうに――――」
 撤退は間に合いそうにない…!!もはや、イヅキ小隊の誰もが覚悟を決めた、その時―――――













 なぜか皇帝都市アダンは攻撃態勢を解除。何もしないまま空間転移で姿を消した。















「な、なんだ?」
「ふぇ?なんで、帰っちゃったんでしょう?」
「……謎」
 皇帝都市アダンの不可解な行動に、その場で立ち止まったまま呆然と空を眺めるイヅキ小隊の面々。もちろん、イヅキ隊員も同じ反応だったのだが―――やがて、ふとその原因に気づいた。
「…………わかったぞ。なぜ何もしなかったのか」
「ほ、本当かよ?!」
「な、なんでですか?」
「…………」
 誰もが驚愕の反応をしつつもイヅキ隊員の言葉を固唾を飲んで待つ。



















 やがて、イヅキ隊員は黙って、ある方向を指差す。





















 全員が振り向いた先、そこには。





























『とても美味しいケーキ屋さん』

 …と書かれた看板のあるビルが建っていた。


~おしまい~



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□えむ’sコメント□

 死にたくないのはインベーダーも一緒なのです。

 そしてEN∞のペイルウイングだと、バリア貼ってても内部から破壊されてしまうという……(ぇ