DATE: 08/01/2016 07:14:58

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 今月出る文庫新刊で、確実に買うのは『夫婦で行く意外とおいしいイギリス』by清水義範、集英社文庫。webでの連載。

 

 気になるのは、

・『ロレンザッチョ』byミュッセ(光文社古典新訳文庫) 藤本ひとみ作品でも描いている題材だろうか。

・『シャーロット・ホームズの冒険』 ブリタニー・カヴァッラーロ 竹書房文庫

 

 

『ミルク殺人と憂鬱な夏 中年警部クルフティンガー』 

 ハヤカワ文庫の先月新刊。ドイツ産。

 アルゴイの田舎での、めったにない殺人事件で休暇旅行返上して捜査する警部。しかし妻の企画する旅行は気乗りしないので実は行かずにすんで嬉しいなんて本音は言えない。倹約家で恐妻家で、外国かぶれのグルメ気取りや外来語の氾濫にムカついている、そういう可愛げのあるおっさん警部がいい味である。ローカル色をふんだんにまぶしたこのシリーズ、邦訳ももっと出したい予定があることは初回からシリーズ名を副題としてつけていることでもわかる。出したら買うよ。

 

 ところで、張り込みに際してクルフティンガーが用意した「おいしいもの」は、「ソーセージ二、三本にプチパン一つのセットと、サラミ二、三本にプチパン一つのセット、それにマスタード、燻製ハムをはさんだサンドイッチを一つ、1・5ミリの厚さに切った黒パンに田舎風サラミをのせたオープンサンドイッチを一つ」「チーズをはさんだサンドイッチも二つ」「おやつ代わりにバナナ」「デザートは板チョコ」「ピクルスを一瓶」・・・そりゃま、パンやハムの質が良ければおいしいだろうけどさ。日本人一般の「お弁当」に比べるとなんとまあ手のかからないシロモノ。英米人の話に出てくる「お弁当」だってたいしたものに見えないし。

 

 

 スウェーデン産のエーヴェルト・グレーンスのシリーズについてまだ投下してなかったので。ネタバレに見えるかもしれないので注意。

 

 

『制裁』  アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム  ランダムハウス講談社

 スウェーデン産。

 年端もゆかぬ女の子たちを襲って殺したロリ変態殺人犯が脱走して、また殺した。被害者の父親が警察よりも早く犯人を発見して射殺。世間は喝采を送る。弁護側は、脱走犯はさらに二人を殺害する計画があったことを理由に、父親の行為は「正当防衛」だと主張、判決は無罪となる。しかし、それが世間に影響して、子供相手の犯罪者たちへのリンチが続発してしまう。

 

  私個人としては、父親の復讐行為には賛成する。

 

 

『ボックス21』  同上

 ストックホルムのエーヴェルト・グレーンス警部とスヴェン・スンドクヴィスト警部補のシリーズの2作目。

 リトアニアからだまされて売られてきた娼婦が病院でたてこもり事件を起こし、エーヴェルトの同僚を呼びつけた。

 

 

 

 ・・・このエーヴェルトたちの行動、右京さんなら絶対にしないことだよな。人情としては理解の範囲だけど。しかしその人情も実は踏みにじられているんだが。それが明るみに出る日は来るのだろうか、やるせない。 

 この話の救いは、救出されて故郷へ帰れたほうの女を、恋人が受け入れてくれたこと。

 

 

『死刑囚』 

 作者は同上。「武田ランダムハウスジャパン RHブックスプラス」というのは「ランダムハウス講談社」となにが違うのだろうか。

 まえの話で初登場した若い女性警官をエーヴェルトが見込んで、昇進させて自分の部下に引き抜いている。マリアナ・ヘルマンソンというフルネームがここで初めて出てきた、まえはヘルマンソンと姓だけの表記であった。

 

 筋はといえば、アメリカで、GFを殺したとして死刑判決を受けたジョンが刑務所で病死、しかしストックホルムで起きた暴力事件の犯人が身元を現れるとその死刑囚だったことが判明したーーという発端。

 

 

 後味は非常に重い。

 救いは、ジョンの父が孫を得たことには幸せを味わっていること。ジョンの無実は遅まきながら証明されたのだろう、ほんと遅すぎるけど。

 

 

 上記3作は、原著と同じ順で邦訳が出たが、角川文庫から出た『三秒間の死角』上下巻 は原著の4作目がとんでいて5作目である。エーヴェルトは長年の恋人が事件のとばっちりの事故で植物状態に近い病院生活で、辛抱強く見舞いを続けていたのだが、4作目でついに彼女は亡くなったらしい。

 

 『三秒間~』は、麻薬潜入捜査の話。シリーズ中で最も最後が暗いのが『死刑囚』であり、もっともハッピーなのは『三秒間~』。