〜以下の文章は、四年ぶりに来訪してくれた15期生が、目まぐるしく変化する現実と、その現実を知らない大人の言説に依然としてアカデミア生が翻弄されている状況を慮って書き記してくれたものです。

 

本人も簡単に自己紹介していますが、彼女もまた総合商社、投資銀行とならんで一流大のトップエリートが志望する外資系コンサルタントの道を歩むことになったことからお分かり頂けるように、単なる偏差値エリート、学歴パラノイアではなく、社会から評価される本物の力を備えた人です。この手記もたった一日で仕上げてくれました(さすがコンサル)

 

三十才手前で年収が一千万円を超える三菱UFJ信託の人たちが三十代で転職先に選ぶのが三井住友信託です。彼女は、その三井住友信託の内定を辞退して外資系のコンサルを選択していますので、一般にはあまり知られていませんがPWC(世界四大会計事務所の一つ)というファームに入る難しさをご想像下さい。

 

もちろん、実績を誇りたいがために企業名を出しているのではありません。そうではなく、世人が考える就活ヒエラルキーのトップの一角を実力で極めた彼女だからこそ現代の就活全体を俯瞰できるのであり、その言葉には実体験とエビデンスに裏付けられた反駁し難い説得力があるということをご理解頂きたいのです。〜

 

 

アカデミア第15期生(小5〜高3在籍)

七国小→七国中→立川高→慶応大(文)→PWC Japan・三井住友信託・SBI証券合格

 

【はじめに】

近年の新卒採用について、あくまで私個人の意見である、ということを前提に、自身の経験を踏まえお伝えさせていただければと思います。

 

まず簡単に、自己紹介をさせていただきます。都立立川高校から慶應義塾大学文学部に進学し、今年の4月より外資系コンサルティング会社にて働き始めました。先生には小学5年生の頃から大学入学まで8年近くお世話になり、自分の人生を変えてくださった偉大な先生だと勝手ながら思っております。

 

本題に入り、私が感じた、近年の新卒採用と世間一般の考え方とのギャップ、についてお話させていただきます。結論から申しますと、新卒採用は「人柄やその人の経験」が最も重視されているように感じました。私自身も高校・大学と進む中でよく耳にした「国公立or私立」「理系or文系」「男性or女性」という観点からその理由をお話できればと思います。

 

【国公立大は就職に有利か?】

 一つ目に、国公立が有利なのか、という点について。そんなことはなく、私立も同様に評価されている、と感じました。私自身、私立大学に進学しましたが、在学中の4年間で不平等だと感じたことは一度もありません。むしろ世界の広さを知れたことに関して、私立大学の規模の大きさはアドバンテージだったとも感じています。

 

私立大学は国公立に比べはるかに学生数が多く、多様な価値観を持った学生が混在しています。私のような一般の家庭から来た人、幼少期からエスカレーター式で来た人、奨学金を借りている人、親が大企業で驚くほど裕福な人など。様々な人がいるからこそ新たな視点を持つこともできましたし、自分が生きてきた世界の狭さを痛感しました。

 

自分という存在を見つめる機会も、多角的な視点から情報に触れる機会も多く、就職活動において、面接官による深堀りにはスムーズに答えられたような気がします。実際、私の同期のうち2/3近くが私立大学出身です。早慶が多いことは確かですが、一部MARCH出身の人もいます。

 

【理系は就職に有利か?】

 二つ目に、理系が有利なのか、という点について。こちらに関してはYesでもあり、Noでもあります。というのも、理系向けの説明会など限定された場が展開されていることは確かだからです。かといって採用の際に理系・文系で判断されているか、というとあまり関係がないように感じます。以前、長期インターンで大手企業の新卒採用に携わる機会がありました。そこでも理系向け説明会などはあったものの、採用過程では理系文系などの属性は面接官に公開されていませんでした。

 

私が勤める企業はFas系のコンサルティングのため、理系のほうが数字に強く有利かと思われますが、私自身も文系ですし、同期にも文系出身が多いです。自分の反省点でもありますが、理系文系にかかわらず、受ける授業などで「経済」「経営」などを取り、就職後活用できる知識を身に付けるほうが、就職後を考えると効率的かなと思います。(例として経済学と経営学を挙げましたが、自身の就きたい職に活用できる授業が良いかと思います)

 

【男女で採用に差はあるか?】

 三つ目に、男性が有利なのか、という点について。こちらは全く関係ないと言い切れます。この価値観をまだ多くの人が持っていること自体が不思議に感じます。男性でも女性でも、優秀な人は採用されますし、男女別で採用をするようなことは一切ないかと思います。様々な企業の説明会に参加しましたが、徐々に女性比率は高くなってきていますし、女性の積極的採用を強みとして打ち出している企業も存在します。再び私の勤め先の話にはなりますが、同期の男女比は6:4で、内定先の中には5:5の企業もありました。現在の男性優位の価値観や環境はいずれなくなるのではないでしょうか。

 

 

【まとめ】

繰り返しになりますが、私個人の意見として、近年の新卒採用は「人柄やその人の経験」が最も重視されているように感じます。面接においては、その人がそれまでどのような経験をし、その経験で何を感じたのか、何を学んだのか、ということを、グループディスカッションやケース面接においては、その人がそれまで情報とどう向き合ってきたか、その思考過程を、それぞれ見られていたように感じます。

 

「就職」という一点を一つのゴールとするのであれば、大学名や自身の属性で飾るよりもむしろ、どんなことを学び、経験し、日々の物事に対し深く思考する習慣を身に着けることのほうが、より有意義かと思います。もちろん、一定ラインの大学以上であることは前提ですが。

 

最後に、今回お伝えさせていただいたことは、あくまで私個人の考えにはなりますが、少しでも皆様の参考になれば幸いです。