アカデミア第15期生(中1〜高3在籍)

慶応大(文)/上智大(法)/明治大(法)

中央大(法)/成蹊大(法)合格

 

 私が大学受験を終えてまず感じたのは、合否は勉強時間では決まらないということです。私の場合、夏休み期間はもちろんのこと、部活を引退した5月から文化祭準備に携わっていたため、他の国高生よりも勉強時間は少なかったと思います。

 

 また夏休み中は前半は週5日、後半は毎日、作業のために登校していたので、その日の勉強は通学中の電車内での時間を含めても、1日3時間に届きませんでした。極めつけには、文化祭直前の9月前半の勉強時間はほぼゼロでした。いま思うと怖いですね。

 だから結局、春から9月まではアカデミアの課題しかやっていなかったというのが事実です。ただ、夏休みの間にスケジュールの合間をぬって、どうしても苦手だった現代文の問題集は一冊仕上げました。このお陰で、だいぶ現代文を読み取る力がついたと感じています。

 

 

 受験で大事なこと、これはよく言われているかもしれませんが、私は基礎力を確実に運用できること、当日のメンタル、そして意外と当日の運、この三つだと思います。

 

 

 最初の基礎力の確実な運用は一番重要であり、一番簡単そうに見えて一番難しいです。「難関大学を目指しているから細かいこと、難しいことを知っていなくてはならない」と考えるのは全くの間違いで、「どんな難しい問われ方をしても答えられるような確実な基礎力をつける」ことが正しいのではと、私は考えます。

 

 そのためにはルーティンはとても重要です。私は丸一日勉強時間を取れる日は、たとえそれが入試本番に近くても(むしろ近くなるにつれて)、基本基礎を固めることに時間を使いました。その中身は「山川世界史一問一答」「英頻」「英単語」「古文単語」でした。ただ、時間を決めて勉強するのが苦手だったので、それぞれページ数を決めて、それらをすべて何時までには終わらせよう、という感じでやっていました。よく「基礎は早めに固めろ」と言いますが、たとえ一度固めても時間が経てば徐々に崩れていくので(特に世界史)、何度も何度も入試直前まで確認をするのが良いと思います。

 

 

 ちなみに、「山川世界史一問一答」は一日40ページやれば、一週間で一周繰り返すことができます。世界史についてですが、慶応大の文学部は出題の九割は一問一答でカバーできるので、歴史の大きな流れをつかむためには教科書を読み、後は一問一答を繰り返してやれば大丈夫です。他大学の傾向対策でもそうですが、教材を増やしすぎるのはあまりお勧めしません。

 

 

 二つ目はメンタルについてです。

 事前にどんなにたくさんの練習問題をやったとしても、当日に見たことがない問題形式が出題されれば焦ってしまいますし、その焦りによって、本当は落ち着けば解けるはずの問題も間違えてしまう可能性が高くなります。

 そうならないためにも、過去問の研究は重要です。第一志望の大学学部の過去問は最低でも十年分はやったほうが良いとかと思います。私は、出題傾向が似ている他大学の過去問六年分を加えて、合わせて二周繰り返しました。

 

 しかし、このように十分に対策をしていてもそれでも当日の雰囲気などで焦ることや、突然例年とは出題形式が変わることは多々あります。特に英語や国語はその傾向が強いかなと思いますので、当日の不確定要素の影響を受けにくい社会などの暗記科目を固めるのは安心材料になります。

 

 

 三つ目は運です。

 これは言葉通りなのですが、一つそれを実感した出来事があります。入試の直前に慶応大の小論文を先生に添削してもらったところ、その課題文と全く同じ文章がその翌日の明治大の入試で出題されたのです。題材はハンナ・アレントとフーコーの権力論についてでしたが、小論文を書く際に何度か読み直していたので、明治大の現代文問題での脱文補充や内容一致問題をスムーズに解くことができたので安心しましたし、運が良かったなと感じています。

 

 

 上記と重複するところもあるかもしれませんが、次に私大文系の各科目の勉強法をまとめて書こうと思います。

 

 

【英語】

 基本は英単語、英頻です。何度も繰り返しましょう。そして、アカデミアの課題でも何でも良いので、一日一題、英語長文を読むとだいぶ力がつきます。

 また、英頻にも載っていない文法問題をどうするかですが、私はアカデミアでやったセンター試験やMARCH、慶応大の過去問で間違えた文法問題をその都度ノートにまとめておき、秋冬からやり直しをしましたが、そうすると自分の知識が定着していることを実感できますし、抜けていることも補完できるのでお勧めです。

 

 

【国語】

 私は現代文が苦手だったので、なるべくその比重を軽くできるように古文・漢文も出題される大学・学部を選びました。古文は古文単語と助動詞、漢文は句形とセンター過去問をやっておけば大半の問題は解けます。

 

 小論文は、アカデミアの授業中にみんなの前で自分が書いてきた作文を音読し、先生にその場で添削してもらうという方式が非常に役に立ったと思います。自分の文章の良いところ、改善点が明確に分かるだけでなく、他の人の文章で良い書き方や表現を取り入れることができました。

 

 ただ私は最後まで制限時間内に書き終えることができず、本番はとても不安でした。結果的には、本番で初めて時間内に書き終えることができたので良かったのですが、やはり文章を書くこと自体に慣れてきたら、制限時間を意識して小論文を書く練習をするのが良いと思います。

 

 

【社会】

 先述のように、最初から最後まで同じ教材を使い続けることが大切だと思います。私の場合は一問一答と教科書でした。一問一答は、書いて覚えると後で非常に役立ちます。教科書は、暗記ペンで線を引いて流れをつかみながら暗記していました。また、模試や過去問で間違えたところは必ず教科書で確認し、教科書に載ってないことは用語集や資料集で調べて、教科書の関連あるところに書き込んでいました。

 

 そうすると、次に同じような問題が出た時に、あのページのこの辺に書いてあったなと映像のイメージで思い出して解答できます。この勉強法を始めたのは十月くらいからだったと思いますが、それ以前にいろんな教材を使ってなんとなく学習していた世界史はまるで身に付いていなかったなと思います。私の場合は、あまり資料集や用語集、問題集を使わなかったので比較的短期間で知識を詰め込むことができたと感じています。勉強法は人それぞれですので、自分に合ったやり方を早めに見つけて下さい。

 

 

【最後に】

 最後になりますが、私が私大文系に決めたのは高2の三月で、それまでは何となく周囲に流されて国公立大を目指していました。けれども、それでは何もかもが中途半端で終わってしまうと思い転換したのですが、自分的には正しかったと思います。

 

 学校の選択科目を変更するには遅すぎる時期だったので、数学も化学も授業に出席しなくてはならなかったものの、先生方は自習をさせて下さったので、いろいろな方々のお力添えあってこその大学受験だったと感じています。

 

 拙い文章ですが、ここまでお読みいただきありがとうございました。何かここに書いたことが、次の高3生のお役に立てれば幸いです。

 

 

 

【付記】

 中学生の時、高校生の時、定期考査中でもいつも通りの時間に教室に来て黙々と自習をしていた姿を今でもよく覚えています。また、千問をこえる世界史の用語テストでも満点を取る突き詰めの姿勢に私は陰ながら嘆息していました。これで受からないはずはないと。

 

 誰に言われるまでもなく、自分で決めたことは絶対に妥協せずに最後までやり通す。一事が万事であることを理解し、どんな些細なことも疎かにしない。端から見れば、万事首尾よく行った大学受験にしか見えませんが、その勝因はひとえにあなたの人間性によるものです。

 そして、その人間性が真価を発揮するのはこれからです。大学受験という通過儀礼が終わった今、その人間性でさらに本物の教養と技能の獲得し、能力の大翼で社会を羽ばたいてください。(2020年3月記)