アカデミア第15期生(小6〜高3在籍)

東京医科歯科大(看)/慶応大(看)/杏林大(看)合

 

 拙い文章ですが、私が大学受験を通して実感したことをこの体験記を通じてお伝えできたら幸いです。自分自身の能力不足と意識の低さのせいで、以下に書くことの全てを決して徹底できた訳ではありませんが、少しでも参考になれば光栄です。

 

 はじめに、私が大学受験を通して大切だと考えたことを三つ挙げます。

 

 一つ目は、勉強の効率を上げることです。

 私は高校では女子バスケ部に所属しており、朝練夕練と練習が毎日あったため、日々の勉強時間をとることができませんでした。だから、勉強時間で差をつけて他の受験生に勝つことは不可能だったのです。そのような環境の中で他人に勝つためには、勉強の質を上げて効率を良くするしかありませんでした。

 

 たとえば、英語だったら大量の英文をこなすのではなく、少量でも一文一文の文型や一語一語の品詞を丁寧に意識することで、少しでも文の構造を理解できるように努めました。

 

 また暗記科目は、ただ機械的に反復するのではなく、自分の体験や既知の知識に関連づけて印象を強くするように努めました。このように勉強の質を上げることは、勉強時間が限られた中で現役で大学に合格するために必要不可欠なことだと思います。

 

 

 二つ目は、教材や勉強法の手を広げずに、必要最低限の必須知識を徹底することです。というのも、現役生にとって大学受験の準備期間は限られており、無駄なことをやっている時間はないからです。

 

 また、実際に過去問を解いてみると分かるのですが、うる覚えの知識や少しやっただけの知識では正しくアウトプットすることは絶対にできません。アウトプットできるのは、何度も繰り返しやって身に付けた知識だけです。

 だから参考書や問題集をやるときも、何冊も手を出して中途半端で投げ出すのではなく、一冊に絞ってボロボロになるまで使い込むことをお勧めします。相当記憶力がいい人でないと、一、二回繰り返しただけで完璧に覚えることはできないと思います。

 

 

 また、学校の勉強は大学受験とは関係のないこともたくさんやるので、学校の授業をただ真面目に受けているだけで大学受験で成功することは難しいです。

 私の友人の中にも定期考査の得点が良く、校内順位も高かったけれど、大学受験では全敗した人たちはたくさんいます。目の前の定期考査で良い点が取れるからといって、入試問題で点が取れるとは限らないのです。

 

 学校の英語は文型や品詞の分析を重要視していません。

 だから、そのようなペースで英語の勉強を続けても、ある程度のところまでしかできるようにはならないのだと思います。アカデミアの後輩のみなさんには、学校の授業を上手く取捨選択して合格へつなげて欲しいと思います。

 

 

 三つ目は、基本基礎をしっかりとやることです。

 これは私が最も大切にしていることで、勉強だけではなく何事においても重要だと思います。化学の受験勉強でこのことを痛感しました。

 私は慶応大の薬学部も受験したのですが、出題されているのは応用的な問題ばかりでした。私は、自分がそのような難問を解けるようになるには、同じような難問を練習することが必要だと思い込んでいました。

 

 けれども実際に応用的な問題ばかり解いていると、自力では解けずに結局は解説を読んで解法の丸暗記をすることの連続になってしまいました。そして、本当の意味での化学の考え方や解き方を身につけることができず、少しでも出題形式が違うと躓いてしまうようになりました。

 

 そこで、なぜ自分が解けないのか反省したときに、基礎ができていないということに気がついたのです。それからは、基礎に戻って繰り返しやりました。すると、それまで難問だと思っていた問題も、一見難しく見えるだけで、考え方の根本は基本問題と同じだということに気がつきました。

 

 

 よく「当たり前のことが一番大切だ」と言われますが、この言葉は聞き流されがちです。自分は大丈夫だと過信せずに、たとえ分かり切っていることでも基礎を怠らないことは、誰にでもできる簡単なことに見えて、とても難しいです。だからこそ、その部分を徹底することが大切なのです。

 

 

【英語について】

 私は高校入学当初は英語が苦手でした。なぜかというと、当時の私は心のどこかで勉強を舐めていて、アカデミアでやっていることを疎かにしていたからです。けれども英語が伸び悩んだ時に、このままだと本当に危ないと反省しました。

 

 それからは、先生が教えて下さることは一言も聞き漏らさないと気持ちで取り組むように決心しました。そして、何よりも英文を読む時には必ず構文を取ることを意識しました。それを続けることによって、英文を英語のままで読み取り易くなり、英文を読むのが楽しくなりました。

 

 また、英文を読む上では、語学の知識だけではなく教養がないと読めないと思います。実際に、慶応大の入試英文は学識がないと理解できないものがありました。これは小論文や世界史の授業で学んだことがとても役に立ちました。だから、何でも幅広く興味を持ち理解することが大切です。

私は、志望校の英文に科学の内容が多かったので「サイエンス」という英語雑誌の記事を毎日読み、そのジャンルの英文に慣れるようにしました。

アカデミアでやっている英語を地道にコツコツと取り組めば、英語力が絶対につくので、後輩のみなさんは迷わず努力を続けて下さい。

 

 

【数学について】

 私は数学がとても苦手です。けれども、この受験を通して、数学が苦手な人間でも訓練次第である程度まではできるようになることは可能だと思うようになりました。

 私の場合は、青チャートを繰り返しやることだけに専念しました。青チャートを選んだ理由は、基本が充実しているからです。

 まず最初に、レベル1とレベル2だけを繰り返しやって、問題を見たら条件反射で解法が頭の中に浮かぶようになったら、レベル3〜5をやりました。

 

 青チャートで解法や考え方を確実に身につけたことで、過去問をやったときにも、どの問題はどの解法を使って解けば良いという見分けがつくようになりました。化学の時と同じですが、一見難しそうに思われる問題も、本質は基本的なものなので、基礎を固めれば、数学的センスがなくても大学入試に対応できるレベルまではできるようになります。

 

 

【最後に】 

 私がアカデミアで7年間学んだ中で最も大切だと思ったことは、人の話に真剣に耳を傾けることです。先生の様々な言葉は、自分にたくさんのことを気づかせ、成長させてくれました。もしあの時、あの言葉を聞き逃していたら、今こうやって考えている自分はないだろうと思うこともあります。ただ耳で話を聞くだけではなく、それを吸収し、自分の力に変えることは大学受験だけではなく、これから生きていく上でも大切なことだと実感しています。

 後輩のみなさんも、アカデミアで学ぶ機会を最大限に活用し頑張って下さい。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

【付記】

 真意が全て伝わっていたことは分かっています。だから、多くは語りません。あなたの人間性なら必ず結果が出ると、ずっと信じていました。公衆衛生行政のエキスパートとして、社会に対する責務を担う人生は決して平坦なものではありませんが、あなたならきっとやり遂げることでしょう。

 また一人、アカデミアから社会に貢献する人材が巣立ったことを心から誇りに思います。今後の努力と活躍に期待しています。そして、くれぐれも身体には気をつけて下さい。(2020年3月)