欧米サービス業にも失速の兆し、世界の成長鈍化に拍車

 

〜ISMが発表した9月の米非製造業購買担当者指数は、2016年8月以来の低水準となった〜

              By Paul Hannon and Amara Omeokwe

               2019 年 10 月 4 日 07:22 JST 更新

 

 

 米国とユーロ圏の購買担当者への調査で、サービス業の活動鈍化が鮮明になっている。製造業の減速が他の分野にも広がりつつあることを示す動きだ。

 

 世界的な減速の兆しが改めて浮き彫りとなる中、今週になって資産価格(株価・商品)の下落に拍車がかかり、中央銀行によるさらなる成長支援措置への期待が高まっている。

 

 米国ではサービス業の活動を測る2つの指標が成長を示す数字となったものの、指数は低下した。

 

 9月の米供給管理協会(ISM)非製造業購買担当者指数は52.6と、前月の56.4 から低下し、2016年8月以来の低水準となった。一方、IHSマークイットが発表した9月のサービス業指数は50.9だった。

 

 いずれの指数も50を上回れば活動の拡大、下回れば縮小を示唆する。

 

 リセッション(景気後退)入りの恐れが強まる中、ユーロ圏は対米輸出品への追加関税という逆風にも直面している。世界貿易機関(WTO)が2日、欧州連合(EU)による欧州航空・防衛大手エアバス・グループへの補助金を巡り報復関税を承認したことを受け、米国は航空機や食品などEUからの輸入品75億ドル(約8060億円)相当に対する関税の早期導入を計画している。

 

 9月にサービス業の減速が最も目立ったのはドイツだ。同国では輸出需要の冷え込みや主力の自動車部門の問題を背景に、製造業の生産が落ち込んでいる。

 

 IHSマークイットは3日、製造業とサービス業を合わせた活動の目安となるユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)について、8月の51.9から9月に50.1に低下したと発表した。これはユーロ圏経済が政府債務危機や銀行危機を抜け出し始めた2013年6月以来の低水準だ。

 

 サービス業はユーロ圏の域内総生産(GDP)の73%を占める。

 米国ではGDPの約8割を占めている。

 

 IHSマークイットは7-9月期のユーロ圏総合PMIについて、「最高で」わずか0.1%の伸びになるとしている。

 

 同社のチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は、「今ではリセッションのリスクがかなり現実味を帯びている」と述べる。

 

 世界の主要中銀は4月以降、主要政策金利を引き下げている。米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は9月、金融政策を緩和した。ECBは製造業の不振が他部門に波及するのを防ごうと、新たな景気刺激措置を講じている。

 

 世界4位の経済国で輸出大国のドイツはユーロ圏の泣き所だ。ドイツ連邦銀行(中央銀行)は国内経済が7-9月期にリセッション入りした可能性を認めている。ドイツの主要経済研究所は2日、2019年のGDP成長率を従来予想の0.8%から0.5%へ下方修正した。

 

 ドイツ経済研究所のエコノミスト、クラウス・ミケルソン氏は「ドイツ産業はリセッションに陥っている。今やそうした企業にサービスを提供するプロバイダーにも影響している」と語った。

 

 英国でもサービス業の活動は縮小した。英国のサービス業者は欧州連合(EU)離脱の時期や条件を巡る不確実性や、総選挙の可能性に直面している。