3月から取り組んでいる都立過去問演習が、平成3年度から平成11年度まで終了しました。

 

 この3ヶ月で全員が、英国2科目で8〜9割を得点できるレベルに到達できました。とは言え、ゆとり教育時代の入試問題はとても簡単なので喜ぶにはまだ早い。例年だとこの段階で、初期の自校作問題にステップアップします。しかし、今年は先を急がずに平成20年まで一般作の問題を進めます。

 

 それには理由があります。

 現在のアカデミアの特英の授業では、都立入試問題を素材にして英語長文の読解の訓練を徹底的に行っていますが、実は特英の授業を長文読解に特化してから、今年でまだ6年目なのです。

 

 それ以前は、主に私立入試向けの難渋な語彙・文法問題を対策していました。 

 しかし、自校作の英語長文が年々難化するに従って、入試直前になっても得点の伸びが悪くなってきたため、文法問題は中1・中2で新出事項を学習した時点で入試レベルで出来るように徹底し、中3の特英では長文対策に特化するように作戦を変えたのです。

 

 もう一つの隠れた狙いは、中3の時から高校部と同じシステムで長文読解を訓練することで、生徒が高校部に残留した場合はいち早く大学受験の英語学習に対応できるようにすることです。この狙いは、その最初の試みであった12期生の大学進学実績を見る限り奏功したと思われます。

 

 話を戻しましょう。

 例年だと同一のレベルで概ね合格点が取れるようになったら、すぐに次のレベルの問題へと漸次ステップアップをしていきます。しかし、そのプロセスを5年間繰り返してきてようやく、一般化しうる傾向性として見えてきたことがありました。

 

 それは、入試の1年前であろうが入試の前日であろうが、主な失点源は「ミス」に尽きるということです。

 

 たしかに、漸次ステップアップしながら訓練を重ねていけば、必ず最終的には入試レベルのどんな英語長文も読めるようになります(本人が課題に正しく取り組む限りにおいて)。

 

 ところが、入試で問われるのは設問に正答できるかどうかです。したがって、たとえ出題の長文が読めても、解答の際にミスをしてはせっかく身に付けた読解力も台無しです。

 

 さらに、ミスはあらゆるレベルで起こります。難度の低い問題でミスをする人は、ほぼ確実に難度が高い問題でもミスをします。

 

 それならば、順当に学習をしていけば焦らなくても自校作レベルの長文は読めるようになるのだから、最初のうちにミスをなくす練習をすべきだと考えたのです。

 

 なお、勉強でも演奏でもスポーツでも一般論として、ミスをする習慣を根絶しないまま、いたずらにタスクレベルを上げることの弊害を指摘しておきます。

 

1.問題が難しくなると、誤答をした時にそれがミスによるものなのか、それとも理解不足、練習不足、知識不足のいずれによるものなのか、敗因を明確に抽出するのが困難になる。

 

2.問題が難しくなると余裕が無くなり、普段ミスをしない人間でもミスを誘発される。ましてや、普段からミスをしがちな人間は間違いなくミスをする。

 

3.問題が難しくなりすぎると、ミス以前にそもそも解答さえ出来ない設問が出て来る。

 

 そこで今年はたとえ全員満点が何回とれても、ミス以外では失点のしようがないレベルでの演習を辛抱強く続け、余裕のある状態では絶対にミスをしない訓練を重ねていきます。

 

 繰り返しますが、これから行う平成12年度から平成20年度までの演習は、高得点が取れれば良しではなく、ミスによる失点をなくすように隅から隅まで細かく神経を使う、メンタル・コントロールの練習です。

 

 満点や高得点に浮かれることなく、一つでもミスで失点をしたら、それは本番の結果を左右する自分の全人格の問題だと考えて臨んでください。それこそが暗記や計算練習よりもずっと重要な「勝つためのターゲット」です。