立っている人はあまりいないけれど
 
座席は埋まっているくらいの
電車の中で
 
私の隣の女性がうつらうつらしているなーと思っていたら
 
だんだん私の方に傾きはじめ
 
完全に私の肩を安眠できる枕とばかりに
 
全身でもって体を預けてきた
 
ここからはどんなに揺れても、電車が止まっても彼女は起きることはない。
 
こういう場合
よほどじゃないかぎり(まだよほどな目にあったことないけれど)
 
枝枕に徹する。
 
とても気持ちよさそうに眠ってらっしゃるし
 
お仕事でお疲れなんでしょうね。なんていらない老婆心でもって彼女の日常に思いをめぐらせる
 
そうこうしているうちに
 
ある駅で
 
ごそっと乗客が降りてしまった
 
あえて過言ぎみにいうと
 
この車両にいるのは
なんなら
 
私と爆睡女性だけだ
 
どうよこれ
 
いいのだけれど
 
彼女が起きた時
 
誰もいなくて
凄い密着感で私いたら
気持ち悪がられないかしら?
 
枕になってたなんて気づかないだろうし
 
変な人に思われたら悲しすぎる!
 
今度はそっちで焦りはじめる
 
そっと席を移った方がいいのか…
 
車窓に映る仲良しでもない密着した女子二人
 
どうなのよこれ…
 
なんて頭の中グルグル
 
 

 
すると
 
とある駅の到着を告げるアナウンスが流れ電車が止まった瞬間
 
爆睡女性は勢いよく飛び起き
 
走って降りてしまいました。
 
後に残るのは冷たい風が駆け抜けただけ
 
別に彼女が起きた時
「あ、私ったら寝てしまって肩お借りしてたんですね。ありがとう。」とか
そういうの望んでいたわけでもないけれど
 
すごくどうでもいいような事を
一人で考えあぐねていたのかと思うと
 
ちょっぴり萌は恥ずかしいようなそんな気持ちになりましたよ。