親友のMはおっちょこちょい



ご飯作るわと




インスタントの塩ラーメンを作ってくれている



具は玉葱と卵




Mの動きはとてもゆっくり、料理もゆっくり



私は前もって言っておく



「麺は固麺が好きだからね。」



彼女はゆっくり笑って



「大丈夫大丈夫」



ほんまかな…




玉葱入って

煮たった所に麺投入



ちょっと話に夢中になる

私が気付いて



「おい!麺!」


「あ、ほんまや。でも大丈夫大丈夫」




って…ほんまにほんまか?



鍋の中はグラグラグラグラ




「めっちゃ煮たってるけど卵いつ入れるの?」




「煮たってから入れるねん」




いや!



それまさに今ちゃうん!?



今やろ!



いてもたってもいられないが


彼女は大丈夫大丈夫を繰り返す



調味料を入れ最後に卵を二つ入れやっと完成



二つ分けて、お皿によそいだしたが、




「あれ?おかしいな?萌ちゃんの好きな麺の固さちゃうかも…あれ?」




Mよ…


作ってる時にそんな事はわかってたよ




しばらくしてM



「あ~」

って叫びだした。


「萌ちゃん見てみて!悲惨なことが起きた!!」


私はこれ以上現実を直視できず


「見たくない!」と拒み続けたが


逃げは出来ない




台所に目を向けると



二つに分けてよそってくれてる器があきらかに小さい!



なんでやねん!




日本昔話のご飯山盛りみたいなモッコリ麺




そこに強引に卵乗せたものだから



黄身はつるんと斜面を滑りガスコンロの中に入っていた




いや、わかるやろ!



そうなることわかるやろ!



「M、とりあえず器大きいのに変えようか?」



「わかった」



と言って


小さい器から大きい器へ移し変える



そこにはどこにも汁は無い。


麺が全て吸い尽くしてくれているのだ




あれ?Mが作ってくれていたご飯は



塩焼きそばか汁無し麺だっけ?



一瞬の錯覚



しかし



Mの渾身の一品美味しく頂きましたよ



ありがとう。


たった一つの卵わけてくれてありがとう