この間まで


長いたびに出ていました


行った先は鹿児島


私の両親は二人とも鹿児島出身


父方の祖父母は既に他界してまして


母方の祖父母は今も鹿児島の山の中で元気にくらしております


私が旅公演をしている際に


母からの電話


「最近おじいちゃんの様子がおかしいんだって」

祖母から連絡があったようで母の心配声


そうだ

おじいちゃんも今年で90歳

元気だ元気だといっても何があるかわからない


両親とも親戚は九州にいて

私は鹿児島で生まれただけで

育ったのは

大阪、滋賀


なので

祖父母や親戚に頻繁には会えず

数年に一回挨拶するくらい


遠くの親戚より近くの他人とはよく言ったもので

名前も覚えてないくらい

親戚とは遠い存在


会わなくても何とも思っていなかったのですが


最近になって

会っておかなくてはいけない気がして


急遽

両親巻き込み

ついでに高校生の時から姉妹のように育ってきた大親友の美穂まで巻き込んで

(こやつ、わざわざ会社を休んでくれたです)


滋賀から鹿児島へ約16時間かけて車走らせました


行きは

恐怖のドライブ


出発した日は大雨で

そんな中父が高速を走らせ

深夜1時頃力尽き


「眠い」

と言って仮眠をとろうとするので

「じゃあ、私運転かわるね」


と、運転席へ移動したのですが


「…」


「えと…どっちがブレーキだったっけ?」


「おい!!!なんやそれ!!!」


気付けば私東京へ来て約9年間ハンドル握ってなかったな…って


ブレーキのつもりでアクセルふかしてしまいました

その瞬間


親友の美穂が立ち上がり

「あかん!私が運転する」


いつもおっとりな彼女がこのときほど勇ましく感じたことはなかったです

彼女は

片方の腕を肘掛にゆだね

もう片方でハンドルをにぎり


いつもおっとりな彼女がこのときばかりはヤンキーに見えました


でも運転しながら話す内容は

事故に遭遇した話ばかり


両親も後部座席で寝るといってましたが

私含めひやひやして逆に頭が冴え渡りました


そんなこんなで


なんとか無事九州に到着


親戚に挨拶回り

まずは福岡の親戚

鹿児島の父方の親戚

父方じいちゃんばあちゃんの墓参り


そして母方のじいちゃんばあちゃんの家へ

ホームステイ!

ナマステイ!


実に祖父母に会うのは6年ぶり

ばあちゃんはくしゃくしゃの笑顔で

鹿児島弁「わーお姉さんになったねーよく来てくれたね~~」


美穂にもばあちゃんは「よくきてくれたね、ゆっくりしていってね」

とねぎらいの言葉をかけてくれましたが

彼女は、はじめての鹿児島弁が

全く理解できてない様子でした


なので私が通訳していると

さっきまで関西弁だった母が


すっかり鹿児島弁に戻って

鹿児島弁「どんだけわからんねん!」と突っ込んでました


一番私が心配していたじいちゃんは


6年前よりも

もっともっと前と変わらず

掘りごたつのいつものおじいちゃんの定位置にちょこんと座りお茶を飲んでいました


「おじいちゃん、ただいま!元気だった?」


そう聞くと

やっぱりいつもと変わらず黙って

コクリとうなずくのでした


私が今見る限りでは元気そのもの


ああああああ


思い出がよみがえってきました


そうそう

じいちゃんはいつも寡黙で定位置で茶をすすり

ばあちゃんはいつもほがらかに動きまわる働き者


私はそんな二人が大好きでしょうがなかったのです


二人が住んでいるのは

携帯の電波も入らない

道路もワゴン車一台がギリギリ通れるような補整されていない道


隣近所は3件だけ


日本昔話に出てくるようなお家

風呂は五右衛門風呂

トイレは外で板の間に穴があるだけのようなボットン便所

水はタダ

家の鍵もかけたことないし

全部の戸を閉めたって隙間がある

だから夏はたくさんの虫たちがご訪問され


ある日なんか

昼寝していたら

なんか体中チクチクするな~と思って起きてみると


体中にアブが乗ってて

払えばいいのに不動のまま

パニックになって

「ぎゃーーーーーーーー」


って叫んでばあちゃんに助けてもらった


茶色いボディのあの方も

山にいらっしゃる方は

もう、相当にガタイがよろしく

彼らの為に建てた家もすぐに満室状態


蜘蛛もでかくって足音がする


美穂はその蜘蛛を見て

「タランチュラや!!」

と大パニック


子どもの頃はその家が怖くて怖くて嫌だったな~

って思い出して


今回来てもやっぱり虫は怖かった


でも何だか違う


トイレがきれいになってた

風呂も五右衛門風呂じゃなくなってるシャワーがある!


後で聞いた話

私と(友達の美穂)が久しぶりに帰って来ると聞いて


じいちゃん、ばあちゃんが少しの間でも過ごしやすいようにとリフォームしてくれたんだとの事

(それ東京に帰った後で母ちゃんから聞いて涙がとまらなかった…)


鹿児島に着いて一日目の夜は

夏なのにみんなで掘りごたつに入って(墨火は熾してないけど、って掘りごたつ墨火ってすごいよね)


楽しくトーク


寝る前になぜかネズミの話になった


「この間ネズミが掘りごたつの中にいて出られなくてもがいていたんだよ」


「えーーー」


「でも、出たのは一回だけだから、もういないよ」

と祖母


「ネズミ捕り仕掛けてかかったからねー」


って言ってたまさにそのとき


皆の目の前をネズミがシューーって駆け抜けた


どんだけ笑いをわきまえてるネズミやねん!!


この絶妙な間。



「ネズミが出た~~~」


そっから両親、祖父母、私、美穂総出で

ネズミ捕獲作業


「どっちいった!?」

「あっちや!」

「そこ、ドア開けないでよ」

って言ってるのにばあちゃん開けちゃって

「だから、ネズミそっちにげるでしょ!!!」


鹿児島に来たその日に

しかも夜中に

皆でこんなことしてるなんて誰が想像するだろうか




必死こいたネズミ捜索から

気付けば

皆の爆笑の声


結局捕獲できぬまま大量にネズミ捕り仕掛けて

私たちがかからないように注意して

寝床につきました


寝る前にぽつりと

ばあちゃんが(鹿児島弁でしゃべってます)

「昔は夜中、家の外はかえるの大合唱で眠れないくらいやったけど、今はシーンとしてるよ」

なんて淋しそうに言うので

そうなんだーと思ってたら


その夜は


カエルの大合唱だった


…眠れない


ばあちゃんこの声に慣れて暴睡出来てるだけやろ!!!


久しぶりの

カルチャーショック


隣の美穂は

こいつは凄い

どこに行っても気を使わないからすぐに周りと馴染む能力を持っている


やっぱり

スヤスヤと幸せそうな寝顔を浮かべてた