つづきです。

 

いよいよ両親に挨拶。待ち合わせ場所を決めたのは両親でした。

 

その場所は、実家からも程遠い大相撲福岡場所。

 

相撲好きな父親が、ぜひスティーブンにも本場の相撲を見てもらいたい、ということでマス席を用意してくれてありました。

 

私の実家は田舎で、スティーブンはもう実家の方へは1年前にも来ているし、わざわざ遠くから来るならみんなで楽しいことをしましょうと言うことだったらしいです。

 

相撲観戦の後に食事の場も設けてくれてあった。

 

親がここまでしてくれたこと。今思えば、すでにこの時点で両親は私達の結婚を受け入れる気持ちが整っていたのだろうな。

 

和やかに楽しく相撲を観戦し、食事へ。

 

そしていよいよその時が来る、と場の空気が緊張し、足を崩していたみんなが正座。

 

スティーブンが「Edamameさんと一緒に生きて行きたいです」と日本語で両親に言ったその時、母が泣き出してしまいました。

 

色々な思いがきっとこみ上げて、「本当にこれは現実なんだ。私の一人娘がアメリカへお嫁に行ってしまうのね。」

 

と感極まったのか。。。

 

父親も涙をにじませていました。父の涙を見たのはあれが初めてだったかも。

 

私も涙が。

 

スティーブンもしんみり。

 

 

場が静かになったその時、母が涙声で言ったこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アメリカに炊飯器はあるの?」

 

…?

 

炊飯器?

 

それを英語に訳してスティーブンに伝えると、

 

スティーブンも

 

 

母は、続けて「Edamameはアメリカでちゃんとお米を食べられるの?アメリカに炊飯器はあるの?」と。

 

スティーブンは真摯に

 

「はい。Edamameさん、毎日お米を食べられます。炊飯器も売っています。Zojirushuとか。」

 

と説明。

 

「じゃあ娘がちゃんとお米を毎日食べられるようにしてやってください。お願いします。」と母。

 

「わかりました。約束します。」とスティーブン。

 

色々言いたいことはあっただろうに、感極まって出た言葉が「炊飯器」だった母。

 

スティーブンはその日のことをとてもよく覚えていて、

 

結婚して2人でアメリカに住み始めてすぐに、近くのKマートでZojirushiの炊飯器を買ってくれました。

 

特別な機能もタイマーも付いていない炊飯器だったけれど、日本のメーカーの炊飯器。

 

お金もなかった私達にはそれで十分で、それを長く使いました。

 

 

そして15年目の結婚記念日にスティーブンが私にプレゼントしてくれたのが、今使っているこの最高に良い機能をそなえた炊飯器なのです。

 

スティーブンいわく、レビューで見て一番いいやつだったらしい。

 

「あの時のお義母さんとの約束もあるし、今使っているのも古くなったから」と。

 

とても嬉しいけれど、それまで使っていた炊飯器もまだ十分使える。何より思い出がたくさん詰まっているから捨てられないよ、と言うと娘が

 

「私がカレッジに行くときにもっていくわ」

 

と言ってくれた。涙。

 

というわけで、

 

このとても良い炊飯器でご飯を炊いて、美味しいご飯をいただいています。

 

炊飯器でこんなに違うかと思うほど美味しく炊けるし、おにぎりのご飯もモチモチとおいしい。

 

 

 

この時のことをなつかしく思い、久しぶりにアルバムを開きました。これはそのときの食事の風景。

 

 

 

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なつかしいな。
 
読んでくださりどうもありがとうございました。