「個性が光る人」に出会うことがあります。ピカーっと。

 

私が個性的だなと思うのは、「自分の世界を極めている人。才能のある人。情熱のある人。」

 

そういう人にはやっぱりすごく惹かれるし(自分にはないものだから)、刺激にもなる。

 

 

私の住む町に、ものすごく変わった芸術が爆発しているお店があるのですが

 

そのお店を経営しているオーナーが芸術家なのですが、どういう発想をしたらこういうことになるんだろう」と思わせるような、材料はほとんどがらくたとかゴミを使っているのに、彼の手にかかってしまえばまるで魔法のように全く別のものに変わってしまう。

 

宇宙のように彼の創造性はどんどん広がり続け、とどまる事はないらしく、その空間へ足を運ぶ度に彼の世界はどんどん広がっていて驚きます。

 

そこは一応飲食店という名目で営業をしているのですが、残念なことにご飯はあまり美味しくない。この空間でありながら美味しい料理も提供できたら、まさに鬼に金棒だと思うのですが、おそらくその芸術家オーナーは「美味しいご飯を提供する」というところにあまり興味がないんじゃないかな。そこに情熱を注ごうと努力を試みても(周りがいくら「お金になるから」と説得しても)無理なんじゃないでしょうか。芸術にかける情熱があまりにも大きすぎて。

 

あまりにもその空間がすごいので、Food Channelなどでも紹介されたことがあるようです(ご飯は美味しくないのに)。

 

ところでそのオーナー。見た目はどんな人かというと、おそらく彼が

 

「わたくし、バンカメで銀行員やってます。」

 

と言っても、普通に「そうですか」と信じられるような風貌、服装をいつもしていて、全く芸術が爆発している雰囲気ではないです。

 

まるで「芸術家として見られること」を避けるためにあえてそういう普通の服装をしているんじゃないかと疑いたくなるほどで、

 

「本当にこの人が、あの一歩間違うと変態というか、紙一重というか、あんなにすごい芸術作品を作る人なの?」と、お店でお見かけする時はいつも思ってしまいます。

 

世界的にも活躍している日本画家の千住博氏が著書「絵を描く喜び」でも書いていますが(そのまま抜粋します)

 

超一流の国際展のレセプションに出席してみると実に面白いことに気づきます。芸術家っぽい変わった服装をしている人は、まず出品している作家ではありません。そうなりたい二番手の連中や「とりまき」です。本人たちはグレーのスーツにノーネクタイとか実に地味なものです。びっくりするような恰好で歩いている芸術家がいあたら、まず間違いなく作品は大したことありません。

 

これ。本当なのでしょうね。

 

同氏はこんなことも書いている。

 

(個性とは)自分から押し出していけるものではないのです。私の経験から言えば、「私は個性的だから」と言っている人が個性的であったためしはありません。ただ癖っぽく、わがままで、思い込みが強いだけなのです。

 

と。

 

おそらく千住氏も世界的に有名な芸術家なのにもかかわらず(素晴らしい作品を描く人だと思います)、一流の世界にいると「上には上がいる」と言うこと嫌と言う程感じるのだろうな。おそらく自分が本当の意味でその世界の頂点にいたら、もう「周りを観察する」ことさえもしなくなると思うので。そうなるともう雲の上の人でしょうか。

 

別に芸術の世界だけじゃなくても、本当の意味で個性のある人って、やはりそこにかけるパッションがすごいというか。それでいてそれを決してひけらかさないというのか。そして周りをあまり意識していない様子です。そしてそういう人はほとんど精神論を語ることもない気がします。ましてや、才能を開花させるコツなんてまず教えてくれない(本人もそんなこと考えたことがないんだと思う)。

 

 

ごくたまにですが、そういう「溢れ出る個性を持ったすごい人」に出会うことがあります。

 

意外と身近にいたりもして。

 

すごいな、と思う。