「仕事と筋トレは私を裏切らない」 なんてキャッチフレーズがある。
私の場合はそこにハイヒールも加わる。(ピンヒール8.0㎝~9.5㎝限定)
言わずもがな、女の象徴、女として否応なしに自覚させられる代名詞。
高校生の時に初めて出会った8㎝のエナメルパンプス。そこからハイヒールは私の人生で正義の味方だった。
そして10年後の今、その定義を一瞬で覆した女性と出会う。
「メイク2時間かけてます」タグが体のどこかに貼っていそうなカノジョ。
その日、眉を引くだけで精一杯だった私には頭が下がる思いだった。
髪はまあ、無難。
服だってよくあるリクルートスーツ
そしてなぜそこに合わせた、本格的なダウンコート。
極めつけにトドめのポインテッドパンプス。脳内メジャーでは9.0㎝とみた。
ハイヒールの涙、見たことありますか?
私はこの日初めて経験しました。
なんだろう。
なんだろう。
この人が醸し出しているこの違和感。
♪この気持ちはなん~だろ~ (って歌、あるよね)
街頭美容歴そこそこの私としたことが瞬時に分からなかった。
しかし観察チャンスは幸運にもその後何度か訪れた。
カノジョと私はよく同じ時間帯の車両に乗るのだ。
そして今日を境に、あの歌に終止符が打たれた。
【決議事項】コロナより、オトナ女子の膝小僧、恐ろしいかな
先に書いた厚盛メイクでもない、やぼったいファッションでもない。いいのだ。そんなものは。好きにしたらよい。
例外なしに許されない膝小僧。私たちの身体の中でほんの10㎝程度しかないパーツのはずが
震えるほどの影響力をもっている。
そんな結論を導き出した私はすっきりしていつもの駅で降り、いつものエスカレータを上り、
いつも通りすがりにチラッと見る全身鏡で立ち止まる。
お気に入りの9.5㎝ポインテッドヒールに、お気に入りのタイトスカート。
そして普段視界に入らなかった膝小僧が2つこちらを見ていた。
医者の不養生。いい言葉です。
以上