やっちまった・・・・。



この冷静沈着、秀麗眉目、才気煥発の私が

お受験会のゴルゴ13を目指していた枝豆が

あろうことか面接で、やらかしてしまったのだ。



時は、昨日(と、いうことにしておこう)

わざわざ休みをとって出かけた表第二志望の某小学校

面接に臨む枝豆の頭は心なしかボーっとしていた。


この学校、全国的に知られた名門だが、しつけが厳しく学力も高い。

いたずらざかりの小娘ばかりを従順な子羊に調教するのだから

当然、いかめしい面構えになるのは仕方ないが

まだ入学すらしていない我々にまで、高圧的な態度で臨むのは如何なものか


内心、どこか違和感を感じながらもこの日を迎えてしまった。



システマティックに運営された面接試験。

一部の隙もない流暢に流れるコンベアに乗せられ控え室へと送り込まれ

そこでしばし待つ。


自慢じゃないが、こういう場で緊張と言うのを私はしたことがない。

場慣れの度合いが並みの30台とは違うのだ。

数々の地獄をくぐり抜け、ひのき舞台でスポットをあびる経験もしてきた枝豆に

学校の面接室など真昼のお化けほども怖くない    はずだった・・・。



名前を呼ばれ、入室すると娘を挟んで両側に並び、机を挟んだ向こう側には

教頭・校長・主任の各氏がしかめっ面でお待ちである。


よろしくお願いします と、口火を切った。

娘にいくつかの質問が始まった。

「お名前は?」

「お兄ちゃんとは仲がいいですか?」

「何して遊びますか?」

「どんなとき喧嘩しますか?」

当たり障りのない質問が終わり、妻の番。

しかしこれも練習とは打って変わって難なくこなしている。

(やるじゃん ハニー。見直したぜ)と拍手を送る。


ちなみにこの学校では、面接前にアンケートと称した超小論文を書かされる。

ここには、勤務先と出身校を書かされる欄もある。

勤務先はまぁ判るが・・・ 親の出身校を書かせてなんの意味があるのだ?

母親が卒業生か否かを聞くのはわかるが

女子校では父が学ぶ術はないのである。


文部科学省の指導とかけ離れたナマナマシイ面接を公然と行う勇気は賞賛に値する。


で、父親の番である。


「お勤め先について教えてください」

「アフリカのサバンナで暮らすブッシュマンに、ホッカイロを売る仕事をしております」


「お嬢さんの好きなTVについて御存知ですか?」

「『大奥』ですね。ヤスコ様はアップで見ると百姓娘のようでいただけません」


「お兄さんはお嬢さんが違う学校にいくことに反対されていませんか?」

「ええ、性転換して自分も来たいと言ってます」と言おうかな?と思いつつもそれは我慢し、

「**************」ともっともらしいことを答えて最後に

この学校の宗教教育に・・・   と続けたのでございます。

しかし、


そこの宗派を間違えてしまい あろうことかライバル宗派の名前を高らかに!


一瞬、空気は凍りつき 妻は青ざめた顔で拳を握っています。

校長の「終わります」 の一言が全てを語ってくれました。



娘よ、いたらぬ父を許してくれ。

決して、あの高い学費を払いたくなくて、あんなことを言ってしまったわけではないのだよ。



まだ、妻は口をきいてくれません。