生まれ変わりの話。
ある女性が不慮の事故で亡くなってしまうが、その後に生まれ変わり、前世で愛した男に会おうとする。その女性の過去や、かかわりのあった人たちのそれぞれの目線によって章分けしてあり、話が展開する。


読んでいて、(ストーリーのアイデアは異なるけれども)山田太一の「飛ぶ夢をしばらく見ない」と小林泰三の「酔歩する男」を思い出した。




「飛ぶ夢をしばらく見ない」は、パートナーが若返る話。中年の男性が同年代の女性と出逢い、恋愛関係に発展するが、女性にはある秘密があった。夜(だったか、一日のうちのどこかだったと記憶している)になると、その女性とは会うことができない。そして、次に会うときには、ほんの少しだが女性が若返っている。
この若返りは、女性自身もコントロールできなくて、中年の女性が、若い女性になり、少女になり、最後には子供に返ってしまう。 というやようなアイデアの話。




「酔歩する男」は、ちょっと変わった切り口のタイムスリップの話。(玩具修理者という題の短編集の中の一篇)
SF小説でタイムスリップはよく取り上げられるアイデアだが、それらの多くが、アインシュタインの相対性理論の考え方によるタイムスリップもの(光の速度を越えたら…………うんぬんかんぬん……のやつ)で、「タイムマシン的な乗り物に乗って時間旅行をする」みたいな話のやつだと感じる。この話の、時間旅行の方法はそれらとは異なる。
ある男の学生時代に好きだった女の子が不可思議な事故で亡くなってしまう。その後、男が研究者になり、脳の、時間を認識している部分にある処置を施すことで、タイムスリップができるようになることを発見する。自分自身にその処置を施すことで、その娘が事故に合う前にタイムスリップをして、事故を防ごうとするのだが、処置をしてしまったことにより、男には予想もしていなかったことが起こってしまう。時間を行き来できるようになった主人公の顛末が恐ろしい。(ホラー小説だったと思う。読み終えた後に壮大な恐怖の余韻が残った記憶がある)