今週の直言 | 江田 けんじオフィシャルブログ Powered by Ameba

今週の直言

「『戦争への道は歩まない(下)』・・・8/15の誓い」

 そして加えて「世論の未成熟さ」「脆弱さ」だ。日本の場合、マスコミもそうだが、ある獲物(対象)が出てきたらピラニアのように群がり、散々食い尽くした後は何事もなかったかのようにどこかに去ってしまう。「熱しやすく冷めやすく」、関心や興味が長続きしないし、それだけ物事の本質をゆっくりと見ようともしない。一旦ある方向に振れると一気に振り抜け、元に戻ってこない。

 私はよく、日本の世論は「塑性(そせい)変形」だと言っている。物理学の用語で、「弾性変形」は時間がたつと元の形に戻るが、「塑性変形」は一旦変形すると元に戻らない。
 米国では、例えば、当初、イラク戦争への賛成は圧倒的で、それに唯一人反対した黒人女性議員へはありとあらゆる誹謗中傷がなされたものだ。しかし、今では、60%以上の国民がイラク戦争は間違いだったと総括している。米国では「振れすぎた振り子」は必ず元に戻るのである。しかし、日本ではそうはならない。まだまだ民主主義が成熟していない証拠だ。

 私は、このような「政府の危機管理レベルの低さ」と「世論の脆弱さ」から、この国は戦前、「戦争への道」を歩んだ時と比べてさして進歩していないと痛感した。こうした状況で「集団的自衛権」の行使(注)を認め、米国とともに世界の津々浦々まで自衛隊を派遣することが如何に危険なことかを体感的に察知した。とても、「集団的自衛権」の行使を認めた上で、現実には時々の国際情勢等を勘案して抑制的に行使するだとか、そんな「自制」や「コントロール」が効く国ではないと思った。

 首相の靖国参拝でも、外国からとやかく言われるまでもなく、どうしてあの300万人以上の同胞を死に追いやった戦争指導者、為政者の責任を、日本人が自らの問題としてとらえ、自分なりに総括できないのか。過去へのしっかりとした反省なくして未来はないし、相手を思いやる心と謙虚な姿勢は、対人関係でも不可欠の要素であり、それは国同士の関係でも基本的に変わりはない。決して「自虐史観」に基づくものでも何でもないのだ。

 この関連で「極東国際軍事裁判」を、今更問題にしようとする自民党国会議員もいる。特に、先の選挙で大量に当選してきた「小泉チルドレン」の中に多い。私もこの裁判に問題があることは認めるが、それを受け入れて国際社会に復帰した以上、今更問題にするのは「負け犬の遠吠え」でしかないと思っている。それでも問題にしたいと言うなら、米国大統領の前で堂々と主張したらいい。その結果がどうなるか。何も責任をとらない評論家や学者が何を言っても勝手だが、まともな政治家が言うべきことではない。
(以下ホームページに続く)

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