食べたものは、まず胃腸によって消化や吸収作用が行われて血液中に入ります。血液は肺から吸収した酸素や内分泌器官でつくられたホルモン、骨髄でつくられた赤血球、白血球、血小板などとともに栄養分を各細胞に送り続けています。栄養分が送り届けられた細胞は、脳なら脳の、筋肉なら筋肉の、それぞれ特有の役割を果たし、その結果、発生した老廃物は再び血液中に捨てられて、血管を通って肺や腎臓などの器官を経て体外へ排泄されます。
「食が血となり、血が肉となる」の言葉通り、食は命のもと、元気と健康の源です。「血」とは血液を指し、「肉」とは血液によってつくられる体細胞を指します。そして、その体細胞からつくられるのが、皮膚や筋肉、骨、脳、髪、爪といった、私たちの体、すなわち命そのものなのです。つまり、体細胞のすべては血液によってその良し悪しが決まり、さらに、血液の良し悪しは食べ物によって左右されるということです。
このように人間にとって「食」が健康の維持増進と病気の予防対策にも深く関与する最も大切な営みを指し示すものであるということを、私たちは改めて認識することが必要です。