今回は用語解説ではなく読書感想です。
「奇跡のリンゴ」という本で木村秋則(きむらあきのり)さんという青森の
農家の方が無農薬・無堆肥でリンゴの育成に成功したドキュメンタリー
です。
ベストセラーになっていますので既に読まれた方も多いと思いますが、
かなり考えさせられる内容でした・・・
記事のタイトルに「小さな生態系」とつけましたが、リンゴ園の中に
生態系を作りだしたことが木村さんの成功体験の肝であり、この本を
読んでますます生態系を無視してはいけないと強く感じたことによります。
木村さんが家業のリンゴ園を継いだ当初は、周辺の農家と同じような
方法で農薬を使用したリンゴ栽培をしていました。
現在のリンゴは品種改良をかさねた結果完成したリンゴで、そのため
植物が本来持っている生命力が弱く、農薬なしには絶対育たない果実
なんだそうです。
農薬散布カレンダーというものがあり、どの種類の農薬をどの時期に
どの程度の量散布するのか、カレンダーにしたがって使用することで
リンゴの木は害虫や病気から守られているということです。
しかし、奥さんが農薬に弱い体質だったこともあり、木村さんは無農薬
栽培への挑戦をはじめてしまいます。
木村さんが考えたのは人間が口にしている食材のなかで、殺菌効果の高い
食材を農薬のかわりに散布することでリンゴを病気や虫から守ることでした。
ところが食材の散布はおもったような効果を発揮せず、800本のリンゴの
木はおびただしい数の害虫や病気に侵されてしまい、無農薬を初めてから
三年たったころには、一個のリンゴも出荷することができなくなって
しまいます。
リンゴで生計をたてていた木村さん一家は税金も滞納するぐらいに
困窮しますが、木村さんはキャバレーや長距離トラックの運転手の
アルバイなどで生活費を稼ぎながら、無農薬の実験を数年間つづけます。
リンゴの木は桜のような花をつけるのですが、木村さんのリンゴの木は
花をつける元気もないほどに衰弱していきました。
周辺の農家からは家族を路頭に迷わせている無責任な変人扱いもされ、
食材散布の効果もみえずに万策尽きた木村さんは、とうとう自殺しようと
思います。
そして縄を持って死に場所を求めて山の上に登りますが、そこで三本の
リンゴの木を目にします。本当はドングリの木だったのですが、木村さん
には最初リンゴの木に見えました。
ヒトの手が一切入っていないまったくの放置された場所で立派に育っている
ドングリの木に近づいた木村さんは、土が自分のリンゴ園とはまったく違う
ことに気がつきます。
ドングリが育っているところの土はフカフカしていて温かく、その後の調査で
たくさんの微生物が生息していることもわかりました。
その後木村さんはリンゴ園の土を改良することに着手するのですが、
それまではきめ細かく耕していた土をざっくり荒く耕す程度にし、今までは
きれいに刈っていた雑草も伸び放題にするなど、およそ農業の教科書に
書いていない方法を取り入れながら無農薬を継続します。
雑草が伸び放題の木村さんのリンゴ園を目にした周辺の農家は、
とうとうリンゴ園の手入れまで放棄したかと、木村さんを蔑(さげす)んで
みていたとのことです。
そしてそれから三年後、全てのリンゴの木が再び花をつけて、今までに
食べたことがないような美味しいリンゴを収穫することができるように
なりました。
おおまかなストーリーはこんな感じなのですが、枯れかかって全滅
しそうだったリンゴの木が生命力を取り戻したポイントが、土を変えた
ことにより、極めて自然に近い環境を作り出したことだった点が深い
意味をもっています。
雑草も伸び放題になった木村さんのリンゴ園には、カエル、ヘビ、ハチ
ナメクジ、テントウムシなど、様々な生物が集まってきていて、リンゴ園
のなかで食物連鎖を繰り返しているそうです。
そうした環境ができてくるに従い、おびただしい数の害虫も減少してきて
歩留まりがよめる程度の被害しかおよぼさないようになってゆきます。
また葉っぱが枯れてしまう病気も、農業の教科書では農薬散布でしか
防げないといわれていたものが、木村さんのリンゴの木は、病気になった
葉っぱの一部が周辺に広がらないように、みずから枯らして落とすことで
自衛し、さらに枯らした分だけ新芽が出てくるそうです。
そして根の部分は、農薬で栽培したリンゴではまず見られないような、
太く深く張った根が育っていて、土中の様々な養分をたっぷり吸収
できているそうです。この立派な根が、丈夫な木と深い味わいのリンゴの
味を作っているようです。
十九世紀の農薬の発明以来、農薬と堆肥によって過保護というか
無菌状態で育成されてきたリンゴの木が、忘れていた土壌の養分を自ら
吸収することを思い出し、自衛能力も取り戻し、いわば野性に還ったような
感じでしょうか・・・
リンゴ園を小さな生態系にしてしまった木村さん。
そして生態系が完成してからは、無農薬でもスクスク育つリンゴの木。
地球環境をこれ以上衰退させないためのヒントというか本質が、木村
さんのリンゴ園のなかに詰まっていると思います。
現在木村さんはリンゴ園を営みながら、日本全国やときには海外からの
要請で、講演活動や農業指導に引っ張りだこのようです。
また横浜に木村さんのリンゴを扱っているお店があるそうなので、
ぜったいいつか食べてみたいですね~(^∇^)
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余談ですが木村さんは不思議な体験もたくさんされていて、龍を
みたりUFOに連れ去られたり、宇宙人に遭遇したりしています。
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動画のメッセージを作成したので、よかったらみてくださいね。
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