打者としての金字塔である2千安打に今季到達が見込まれるのがヤクルトの宮本慎也(41)=現安打数1975、日本ハムの稲葉篤紀(39)=同1966、ソフトバンクの小久保裕紀(40)=同1962=の3選手だ。これら“アラフォートリオ”はいずれもチームにとって頼りになる打者であり、精神的支柱でもある。それぞれの記録へ向けての思いを聞いた。
■宮本「再びV」
現役への未練はない。「(現役には)十分こだわってやってきた。ここ数年、『だめなら引退』と思ってやっていたので悔いはない」。今季、18年目を迎えるヤクルトの宮本は、2千安打まで残り25に迫った。「できるだけ早く2千安打を打って監督が気を使わない状態で、若い子とポジション争いをしたい。その中で、自分を追い抜いてもらって、優勝してやめるのが理想」。引退への青写真を描く。
個人記録よりも優勝へのこだわりは強い。「勝つ喜びも負ける惨めさも他の人よりも分かっていると思う」。PL学園高-同大-プリンスホテルと高校から社会人まで野球の名門でプレー。ヤクルトの黄金時代を知る数少ない選手でもある。
この日のシート打撃。緩慢なプレーをした選手に厳しい声で一喝した。「走者を考えて」。チーム内が引き締まった。「勝ちたいから。プロとして、ほど遠い内容。ちゃんとできなかったら負けに近づく。でも、昔の方がもっと厳しかったよ」。昨季、チームは最大10ゲーム差の首位を独走しながら、終盤に中日に逆転され、優勝を逃した。若手に優勝の喜びを知ってもらいたい-との思いもある。
11月で42歳になる。基本に忠実で堅実な守備は全く衰えていない。「キャンプで他の選手を見ると、あと2、3年はできるなと思っちゃう」。まだ、若手に負けるつもりはない。(神田さやか)
■稲葉「3割を」
18年目で8月には不惑を迎える日本ハムの稲葉が元気にキャンプを消化している。「この時期は(バットを)振れる下半身を作りたい」と通常のメニュー終了後には若手に交ざって特打を志願。
「バランスよくとらえられるかどうかの確認」と、本塁付近でトスしてもらったボールを右翼席へ打ち込むロングティーにも汗を流す。
2千安打にあと34と迫ったが、「記録にはあまり興味がない」といたってクール。「ガッツ(巨人・小笠原)も去年(達成に)あれだけ苦労したし、本人にしか分からない重圧もあるのだろう」と予想するが、「むしろもう一度3割を目指したい」と本人は3年ぶりの大台復帰にこだわる。
栗山監督は2千安打について「すんなり早めに決めさせてあげたい」と気遣いつつ、「稲葉には144試合全部出てくれといってある。彼にとって記録は通過点でしかない」と注文する。
稲葉も「去年はDH(指名打者)も多かったが、今年は守りながら全試合に出て3割を打ちたい。そうすれば2千安打もおのずと通過点となる」と指揮官の期待に応えるため、慣れない一塁の守備練習にも取り組む。
2歳上だが、ヤクルトで同期入団(1995年)の宮本も今季2千安打の達成が濃厚だ。「それは励みになります」と笑顔でうなずく。(三浦馨)
■小久保「5月中に」
2千安打まで残り38に迫っているソフトバンク・小久保は「最低目標」を「1試合1安打」と定めた。単純計算で、開幕38試合目は5月13日のロッテ戦(QVC)。「だから、5月中にはいきたいね」と高らかに宣言した。
ここ数年、首の痛みに悩まされてきた。神経を圧迫していた頸椎(けいつい)の骨を削る手術を昨オフに受け、その痛みからは“解放”されたという。また、2千安打と並ぶ、もう1つの大目標として「30発がホームラン打者の最低ライン」と7年ぶりの『30本塁打』も掲げた。40代30発は、恩師の王貞治・現球団会長をはじめ、過去4人だけ。その“2大目標”へ向け、40歳のベテランが、意欲の宮崎キャンプを過ごしている