メジャー12年目のシーズンに挑むイチロー(マリナーズ)、昨年の雪辱に燃える西岡剛(ツインズ)、メジャー経験者の城島健司(阪神)、松井稼頭央、岩村明憲(ともに楽天)石井一久(西武)、さらには今季から海を渡る岩隈久志、川崎宗則(ともにマリナーズ)…。日米球界を渡り歩く彼らの球歴を何気なく振り返ってみると、ある共通点に気づく。いずれも高卒入団で、揃って3年目のシーズンにターニングポイントといえる大きな活躍を見せ、スターダムを駆け上がったのだ。
登録名を鈴木一朗から変更したイチローは3年目にレギュラーを掴み、130試合制だった当時、前人未踏のシーズン210安打を放った。また、ファームの本塁打記録を作るなど1年目から超高校級の打力を見せていた城島も守備面を徹底して鍛えられた3年目に正捕手の座を掴み、松井、川崎、西岡、岩村も3年目にレギュラーに定着した。
投手陣でも、石井一が54試合に登板してヤクルトの貴重な戦力となったのも、岩隈が8勝をマークして先発ローテーション入りを果たしたのも、入団3年目だった。
もちろん、1、2年目から大きな活躍をする選手もいれば、4、5年目で花開くケースも多くあるが、イチローらの前例に目が止まったのは、今季、大きな期待が寄せられる各球団の若手に高卒3年目の選手が揃っているからだ。
投手陣から見ていけば、菊池雄星(西武)と今村猛(広島)に大きな飛躍の気配が漂う。3年前の春、甲子園のセンバツ決勝で花巻東(岩手)と清峰(長崎)のエースとして投げ合ったふたりだが、菊池は昨年6月にプロ初勝利を挙げるなど、10試合に登板し4勝(1敗)。シーズン終了後もオーストラリアのプロリーグへ派遣され、12月半ばまでプレイを続けた。帆足和幸(ソフトバンク)が抜けた先発左腕枠を掴み、ローテーションの一角に食い込みたいところだ。
今村は、昨年開幕時は先発としてスタートしたが、その後は中継ぎ、セットアッパー、さらにはサファテが故障した時はストッパーとして起用されるなど、54試合に登板。3勝(8敗)2セーブ、13ホールドをマークした。今季はセットアッパーとして開幕から勝利の方程式の一角を担っていく。
また昨年9月、巨人相手に7回途中2失点の好投でプロ初勝利を挙げた横浜の眞下貴之(まっか・たかゆき)あたりもチーム事情を考えれば大きなチャンスだ。188センチの長身サウスポーに新生球団の救世主としての期待までかかる。さらに、入団1年目の一昨年に4勝を挙げた秋山拓巳(阪神)も今季で入団3年目。昨年は故障もあり大半をファームで過ごしたが、今季のピッチングに今後の姿も見えてくるだろう。
大きな結果を残すには、自らの成長はもちろん、チーム事情や起用のタイミングも深く関係してくる。そういう点で、ダルビッシュ有、チェンが抜けた日本ハムや中日の高卒3年目投手にも目が向く。
日本ハムはポスト・ダルビッシュの最有力、中村勝だ。春日部共栄時代は全国的に無名だったが、1年目に球団としてはダルビッシュ以来となる、高卒新人投手の初登板初先発、初勝利を記録。「近い将来、エースになれる逸材」と首脳陣の期待も大きい。中日は岡田俊哉、小川龍也の2009年のドラフト1、2位の両左腕。昨年、小川が先に一軍デビューを果たしたが、キャンプ、オープン戦での生き残り競争を制し、飛躍の1年とできるか。
そして野手陣にも活きの良い高卒3年目が揃う。村田修一が巨人に移籍し、長距離砲の出現が待望される横浜DeNAからは筒香嘉智。1年目に新人のイースタン記録となる26本塁打、昨年は一軍で40試合に出場して8本塁打と着実な成長を見せた。4番候補として臨む今季は一気にリーグを代表するスラッガーに名乗りを挙げるチャンスだ。
また、川崎が移籍したソフトバンクでは今宮健太がショートのポジションをうかがう。昨年はチーム21年ぶりとなる10代での開幕一軍入り。チームが首位を走り続ける戦いの中では守備、代走要員として18試合の出場にとどまったが、「川崎以上」との評価も聞こえる守備力と小柄ながら高校時代に62本塁打を放った打撃力をどこまでアピールできるか。
さらに、09年の甲子園を沸かせた堂林翔太、庄司隼人の広島勢や、楽天の西田哲朗ら、ファームでレギュラーとして経験を積んできた面々にも楽しみな素材が揃う。
昨年は斎藤佑樹を筆頭に田中将大、澤村拓一らの“プラチナ世代”が話題をさらったが、今年のキーワードは“高卒3年目”。多くのスターが海外へ戦いの場を移していった2012年、彼らの不在を忘れさせるような新星たちの活躍を期待したい