16 列車に揺られて選んだクリニックは遠くの街にある。持病は安定しているが、念のため、実母が毎回同行する。お互いに面倒で出費も痛いが、こればかりは仕方がない、せめて楽しく過ごそうと決めた。無難な幕の内弁当を食べるわたしの隣で、母は肉づくし弁当とやらを食べていた。牛、豚、鶏の三種の肉が盛られている。母はちゃんと楽しむ努力をしている気がした。わたしはと言うと、先が見えない不安定さに、少しでも優等生の女性で在ろうとしていた。