結論から書くと、私はベーシックインカム(1)には反対だ。これは、いわば【貧困層隔離政策】だ。

 

日本の人口は1億2530万人(2)。仮にベーシックインカムで全国民に一律5万円を支給するとする。ベーシックインカムは毎月一定額が全国民に支給されるので、全体で6兆2650億円だ。年換算では、実に約75兆1800億円になる。しかも、これを”日本人が最後の一人になるまで”続けるのだ。日本の令和2年度の歳入は、全体で約103兆円(3)なので、ベーシックインカムだけで歳入の殆どが吹っ飛ぶ計算になる。その為、社会保障以外の政策は全て国債で賄うか、或いは新たに増税をしなければならなくなる。そもそも、ベーシックインカムの財源確保のために増税をするようでは本末転倒だ。超高齢社会に突入している今の日本でそれがどこまで続けられるのか、甚だ疑問だ。

 

家賃相場は、総平均賃料では全国合計では約5万5千円、一番高い東京都では約7万2千円、一番低い鳥取県では約4万3千円だ(4)。問題は、身体的に勤労制限がある人の存在だ。即ち、定年退職を迎え嘱託契約も終えた高齢者、事故や病気などによる重度の障害者、更に慢性的な持病患者だ。この人たちは自力で生活費を稼ぐことが出来ないので、もしベーシックインカムが導入された場合、住む場所はおのずと限定されてくる。因みに軽度の障害者であれば働くことが出来るが、その場合1週間当たりの最大労働時間は30時間を超えてはならないことが法律により定められている(5)。

 

携帯電話の料金は平均8312円(6)、食費は1日辺り500円だとして1ヶ月30日間の場合、1万5千円。上記のような生活費を稼ぐことに制約のある者にとっては、非常にギリギリの状態で生活をしていく事になる。

 

以上の観点から、私は日本がベーシックインカムを導入することには反対だ。

 

【出典】

(1)ベーシックインカムの意味とは|生活保護との違いや日本でのメリット・デメリット

(2)人口推計(令和3年(2021年)3月平成27年国勢調査を基準とする推計値,令和3年(2021年)8月概算値) (2021年8月20日公表)

(3)令和2年度一般会計歳入歳出概算

(4)家賃/収入でコスパのいい都道府県はどこ?年収に対する適正家賃もご紹介

(5)障碍者雇用で短時間勤務はできる?20時間ルールとは?-障碍者雇用の教科書ー

(6)毎月の携帯電話料金、大手3社ユーザーは平均8312円 通信容量は7GB以下が過半数