堺雅人の演技も素晴らしいですが、この中に入っている言葉は老人だけでなくなれ合いで我慢している日本人への警告だと思います。
たくさんの納得できないことを時間をかけてその結果慣れて認めてしまっている私たちを見つめ直す言葉です。
是非、皆さんもドラマリーガルハイの9話見てください。


下記はドラマでのやりとりです。

公害をまき散らしたメーカーへの訴訟を和解で済まそうとする住民とのやりとり

堺雅人の演じる弁護士
「素晴らしい!  皆さんのお考えに感服いたしました。さすが”ふれあいと絆の里”だ。
それではそのように手続きしましょう。黛君。後は頼んだ。さようなら」

新垣結衣の演じる弁護士
「先生。これで いいんですか?」

堺雅人の演じる弁護士
「いいんだよ。彼らがいいと言ってるんだから。ですよね? 皆さん。見たまえ。
彼らの満足そうなこの表情を。ズワイガニ食べ放題ツアーの帰りのバスの中そのものじゃないか。黛君。よく覚えときたまえ。これがこの国の慣れ合いという文化の根深さだ。人間は長い年月飼い慣らされると、かくもダニのような生き物になるのだよ」

住民
「ダニ?俺たちのこと言ったのか?」

堺雅人の演じる弁護士
「他に誰か居ますか?自覚すらないとはホントに羨ましい。
コケにされているのも気付かないまま墓に入れるなんて幸せな人生だ」

住民
「あんた。ちょっと酷いんじゃないか!」

堺雅人の演じる弁護士
「申し訳ありません。最初に申し上げた通り、皆さんのような惨めな老人どもが大嫌いなもんでして」

住民
「おぃ若造。お前何なんだよ!お前そんなに偉いのか!」
「目上の人を敬うってことがないの?」
「私たちは君の倍は生きてるんだ!」

堺雅人の演じる弁護士
「倍も生きていらっしゃるのにご自分のことも分かっていらっしゃらないようなので教えて差し上げているんです。いいですか?皆さんは国に見捨てられた民。棄民なんです。
国の発展のためには年金をむさぼるだけの老人なんて無価値ですからちりとりで集めて端っこに寄せて羊羹を食わせて黙らせているんです。大企業に寄生する心優しいダニ。それが皆さんだ!」

新垣結衣の演じる弁護士
「先生。もうやめてください」

住民
「てめぇだってダニに寄生してるばい菌じゃねえか!」
「私たちの何が気に入らないの!」

堺雅人の演じる弁護士
「かつてこの地は一面に桑畑が広がっていたそうですよ。それはそれは美しい絹を紡いだそうです。それを称えて人々はいつしかこの地を”絹美”と呼ぶようになりました。養蚕業が衰退してからは稲作に転じました。日本酒に適した素晴らしい米を作ったそうですが、政府の農地改革によってそれも衰退した。その後はこれといった産業もなく過疎化の一途を辿りました。市町村合併を繰り返し補助金でしのぎました。5年前に化学工場がやって来ましたね。反対運動をしてみたらお小遣いが貰えた。多くは農業すら放棄した。ふれあいセンターなどという中身のない立派な箱物も建てて貰えた。使いもしない光ファイバーも引いて貰えた。ありがたいですね。”絹美”という古臭い名前を捨てたら南モンブラン市というファッショナブルな名前になりました。何てナウでヤングでトレンディーなんでしょう!そして今、土を汚され、水を汚され、病に冒され、この土地にももはや住めない可能性だってあるけれどでも、商品券もくれたし誠意も絆も感じられた。ありがたいことです!本当に良かった良かった!これで土地も水も蘇るんでしょう!病気も治るんでしょう!工場は汚染物質を垂れ流し続けるけれど、きっともう問題は起こらないんでしょう!だって絆があるから!」

住民
「てめぇなんか、てめぇなんかぶっ殺してやる!」
「 どうしてそんな酷いことが言えるの!あんたは悪魔よ!」
「あんたなんかに俺たちの苦しみが分かってたまるか!みんな悔しくて悔しくて仕方ねぇんだ。
 だけど必死に気持ちを押し殺して納得しようとしてるんじゃねぇか!」

堺雅人の演じる弁護士
「なぜ?ごみくず扱いされているのを分かっているのになぜ納得しようとしてるんです?」

住民
「俺たちはもう 年寄りなんだよ」

堺雅人の演じる弁護士
「年寄りだから何なんですか?」

住民
「具合が悪いのにみんな頑張って来たんだ!」

堺雅人の演じる弁護士
「だから何だってんだ!だから労わって欲しいんですか?だから慰めて欲しいんですか?
 だから優しくされたらすぐに嬉しくなってしまうんですか?先人たちに申し訳ないとは、子々孫々に恥ずかしいと思わないんですか?何が南モンブランだ。絹美村は本物のモンブランより遥かに美しいとどうして思わないんですか!誰にも責任を取らせず見たくないものを見ず、みんな仲良しで暮らしていけば楽でしょう。しかしもし誇りある生き方を取り戻したいのなら見たくない現実を見なければならない。深い傷を負う覚悟で前に進まなければならない。戦うということはそういうことだ!愚痴なら墓場で言えばいい!
金が全てではない?金なんですよ。あなた方が相手に一矢報い意気地を見せつける方法は。奪われたものと踏みにじられた尊厳に相応しい対価を勝ち取ることだけなんだ!それ以外にないんだ!
錦野春夫さん、あなたは元郵便局長だ。幾度となく閉鎖されそうになった村の郵便局を最後まで守り抜いた!
守口三郎さんは小学校の校長先生。村に居た子供たちはみんなあなたの教え子だ!奥さんの久子さんは、街のデパートの化粧品売り場で月間売り上げの記録の保持者!
郷田譲二さんは、実に100haもの田畑を開墾した!
鎌田さと子さんとご主人は、田んぼをやりながら日雇いの仕事を幾つも幾つも掛け持った!
富田康弘さんは商店街の会長。毎年祭りを盛り上げてあのクリスタルキングを呼んだこともある!
板倉初枝さんは女だてらにクレーン車を動かし6人の子供を育て上げた!敗戦のどん底からこの国の最繁栄期を築き上げたあなた方ならその魂をきっとどこかに残してる!。。。
はずだと期待した私が愚かでした。
いいですか?
二度と老後の暇つぶしに私を巻き込まないでいただきたい。
心優しいダニ同士、お互い傷を なめ合いながら穏やかに
健やかにどうぞくたばっていって下さい。それでは皆さんさようなら!」

その後、老人達は立ち上がり和解でなく裁判にとなった。