全国で実際にあった話を中心にご紹介をしています。
千葉県のC様(61歳、男性)からのご相談
今回は相続人(相続の際、資産を受け継ぐ側の方)であるC様からのご相談です。
被相続人となるのは86歳になるC様のお父様です。
ちなみに「被相続人」とは資産を受け渡す側の方のことを指します。
お父様の資産は不動産が中心で、賃貸アパート、駐車場、ご自宅など9件の不動産を保有されています。
その中にある遊休地(空き地)があり、そこに賃貸マンションを建てましょうと営業を受けているとのことでした。
不動産活用というとすぐに「アパートを建てる」と考えがちですが、それは非常に狭い考え方です。
不動産の活用手段は建築もあれば、売却もあり、または「何もしない」という選択肢もあります。
建築と一言で言っても、アパートにするのか高層マンションなのか、倉庫なのか店舗なのかなど様々な用途があります。また駐車場にするなどもあります。
いずれの選択肢を取るのかは対象となる不動産だけではなく、
お持ちの資産状況、ご家族の状況、資産やご家族への思い入れなどの感情面、
それぞれ整理したうえで対策を練らなければなりません。
C様はお父様の全ての財産を知っているわけではないものの、不動産については把握しているとのこと。
それを考えただけでも相続税は当たり前にかかってきます。
最終的にはD様にもお越しいただいて対象となる遊休地をどうするか
検討しないといけないところですが、納税資金の準備について伺うと、
C様は特段ご準備をされていらっしゃいませんでした。
お父様はどうかとお聞きしたところ、「あまり考えていないんじゃないか」とのことでした。
ご家族間で資産承継についての話はそんなにされていないようです。
そしてそれぞれの資産状況についてお聞きし、
今回活用提案を受けている遊休地についてもお伺いしました。
その遊休地は約200坪、駅から徒歩25分の土地です。
用途地域は「第一種低層住宅専用地域」になり、建ぺい率50%、容積率100%になります。
利便性はやや劣ると考えられる土地でした。
しかし物件を見ると、北・東・西の三方向に接している土地であり(三方道路)、角地、南向き(図)
というものでした。区画が切りやすい土地で、戸建て用地としてなら買い手も見込めそうでした。
アドバイザー:
「この立地では賃貸アパートは空室に苦しむと思います。
納税資金がないのでれば、あえて今活用するのではなく、相続が発生した後に必要な分だけ売って
納税資金にするという選択肢もあります。
資産の使い方もいろいろありますが、その手段が当てはまるかどうかは資産全体の状況がわからないといけません。
仮に納税資金確保のための売却用地とするなら
その際には売却しやすい状態にすることが必要なので、
境界杭の埋設と隣接者との境界立会(*注釈)を実施しましょう。」
ここで「境界」という話が出てきました。
実はこれがとても大事になります。
隣接地との境界が不明な土地が実はとても多いのです。
隣接地との境界が不明ということは該当の土地の面積がわからないということでもあります。
「土地の売買」を行う場合、面積が不明となると買い手側としてはどうでしょうか。
実際、売主は売買する土地の範囲を特定し隣接地との境界を明示する必要があります。
また実は隣接地の方と境界についてトラブルが発生していたりしたら。。
買い手としてははっきりさせておいてほしいですよね。
「土地の売却」と一口に言っても、売却のための準備などしておかないといけないのです。
ちなみに物納するためにも必要になります。
そこでC様は、アドバイザーの助言に基づき隣接地との境界が未確定な土地や、
ご近所との揉め事など発生していた不動産はないかなど、お父様に確認をすることにしました。
その結果、幸いトラブルが発生しているものはなかったものの
境界が未確定の土地は数件あり、資産の見直しには良いタイミングでした。
C様からも
「(お父様が)まだ元気なうちに準備が始められて本当に良かった。」
「これがきっかけで家族で資産について話し合う時間を取るようになりました」
とお話しいただいています。
相続対策には
「何もしない」という選択肢もあること、
ただそれは資産状況、ご家族の状況、資産の分け方など
鑑みて選ばないといけないことを覚えておきたいですね。
*
一般には「境界確定測量」と言われるものです。
現地において隣接地所有者など関係権利者立会いの上、境界を確定させます。
境界点には境界杭を設置し、境界確認書の取り交わしや測量図等を作成する一連の作業を指します。
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