レジンテーブルの納品で、高知県へ1泊2日の出張に行ってきました。
もちろん一番の目的は、お客様のもとへ無事にレジンテーブルを届けること。
……なのですが、せっかく高知まで行くんです。
レジンテーブルだけ納めて、高速道路を往復して帰ってくるのは、どうにももったいない。
木を見て、町を歩いて、その土地のものを食べる。
仕事なのか遊びなのか分からないくらいが、僕にはちょうどいいのかもしれません。
今回は酒井さんにも付き合ってもらい、かなり濃い1泊2日になりました。
まずは、レジンテーブルを積んで高知へ
今回納品するのは、御所のアトリエでしばらく格闘していた大きなレジンテーブル。
ポプラの瘤杢とブルーのレジンを組み合わせた一台です。
レジンテーブルというと、完成した写真だけを見れば華やかです。
でも実際に作っている時間は、かなり地味。
レジンを流して、硬化を待って、削って、ひたすら磨いて。
「これで完成かな」
と思って光に透かしてみると研磨傷を見つけて、また戻る。
そんなことの繰り返しです。
今回も納品直前まで御所のアトリエで仕上げをしていました。
ようやく完成したテーブルを車に積み込んで高知へ向かうと、さすがに少しホッとします。
ただし、レジンテーブルは作って終わりではありません。
運んで、搬入して、設置して、お客様に確認していただくところまでが仕事です。
大きな天板を積んで長距離を走っていると、後ろが気になって仕方ありません。
「ちゃんと載ってるよな?」
分かっているのに、何度も気になります。
木を扱う仕事なら、一度は見ておきたい杉の大杉
高知へ向かう途中、まず寄ったのが「杉の大杉」。
日本一の大きさを誇る杉として知られる巨木です。
樹齢3000年、日本一の「杉の大杉」へ。木を仕事にしている僕が3年ぶりに会いに行った巨木
僕がここへ来るのは2度目。
普段から無垢フローリングやウッドデッキ、一枚板など天然木を扱っていますが、こういう木の前に立つと「木材」という言葉では括れなくなります。
僕たちが普段扱っている木は、伐採され、製材され、乾燥され、寸法を整えられたもの。
それが何百年、何千年という時間を生きている状態になると、完全に別物です。
大きいというより、時間そのものが立っているような感じ。
そしてここには、美空ひばりさんゆかりの碑もあります。
仕事の途中にわざわざ巨木を見に行く。
効率だけ考えれば必要のない寄り道です。
でも、僕はこういう無駄が結構大切だと思っています。
無駄なものを全部削ってしまったら、出張なんて単なる「運搬」になってしまいますからね。
ひばり食堂のカツ丼から高知城へ
大杉を見たあとは、近くのひばり食堂へ。
ここではカツ丼。
高知に来たのだからカツオを……という気持ちもありますが、それは夜まで取っておきます。
しっかり食べて高知市内へ。
ホテルへ入って終わりではなく、そのまま高知城へ向かいました。
そして天守まで登る。
これが地味にしんどい。
仕事で身体を動かすのと、観光で階段を上るのはなぜこんなに違うんでしょうね。
「せっかく来たんだから」
という言葉に自分で追い立てられながら上まで登りました。
でも登ってしまえば、やっぱり来てよかったと思います。
上から高知の町を眺めて、アイスクリン。
こういうものは、その場所で食べるから美味しいんですよね。
コンビニでいつでも何でも買える時代ですが、その土地まで行かないと味わえないものには、やっぱり価値があります。
高知の夜は、めじかの新子から始まった
そして夜。
向かったのは、ひろめ市場の中にある居食屋 吉照。
高知へ来たら、これは楽しみにしていました。
まずは、めじかの新子。
これが食べられる時期は限られています。
続いて生カツオのたたき。
さらに、あかうし。
そして日本酒。
もう完全に仕事の出張であることを忘れかけています。
でも、僕は出張先でこうやってその土地のものを食べる時間が好きです。
一人の出張だと、仕事が終わった瞬間に面倒くさくなって、
「もうコンビニでええか」
となってしまうことも少なくありません。
誰かと一緒だから、
「せっかく高知まで来たんだから、何か食べよう」
となる。
仕事そのものもそうですが、誰と一緒にやるかで、同じ一日でもずいぶん違います。
美味しいものを食べて、日本酒を飲んで。
「明日が本番やで」
という肝心なことだけは忘れないようにして、1日目終了です。
そしてようやく、本来の目的であるレジンテーブルの納品
翌日は、いよいよ今回の本題。
レジンテーブルの納品です。
何日もかけて作ったものをお客様のところへ運ぶ日は、何台作っても少し緊張します。
アトリエでは何度も見ているテーブルなのに、実際の空間に置かれると表情が変わります。
家具って面白いですね。
工房に置いてあるときは「作品」なのですが、お客様のところへ納めた瞬間から「暮らしの道具」になります。
これからこのテーブルで食事をしたり、コーヒーを飲んだり、誰かが遊びに来たり。
傷がつくこともあるでしょう。
それでいいと思っています。
むしろ僕は、何年か使って少し傷がついたレジンテーブルを見てみたい。
木もレジンも、完成した瞬間がゴールではありません。
使われて初めて、その人の家具になっていくのだと思います。
無事に納品を終えた瞬間は、やっぱりホッとしました。
これでようやく今回の高知出張の目的達成です。
帰り道までしっかり楽しむ
普通なら、そのまま神戸へ。
……となるところですが、まだ終わりません。
帰りは徳島へ寄って、中華そば いのたにへ。
徳島ラーメンを食べて帰ります。
高知で大杉を見て、カツ丼を食べ、高知城へ登り、アイスクリン。
夜はめじかの新子、生カツオのたたき、あかうし、日本酒。
翌日にレジンテーブルを納品して、最後は徳島ラーメン。
文字にしてみると、
「本当に仕事だったのか?」
という気もしてきます。
ちゃんと仕事はしています。
むしろ、大きなレジンテーブルを遠方へ納品するという、それなりに緊張する仕事です。
だからこそ、その前後に面白いことを入れておきたい。
目的地へ最短距離で行って、仕事だけして最短距離で帰る。
その方が経営的には効率がいいのかもしれません。
でも僕は、あまりそういう働き方をしたくないんですよね。
仕事の途中にあるものを楽しみたい
今回の1泊2日を振り返ると、レジンテーブルの納品そのものと同じくらい、途中にあったことが記憶に残っています。
巨大な杉を見上げたこと。
高知城の階段で少し後悔したこと。
アイスクリンを食べたこと。
めじかの新子を肴に日本酒を飲んだこと。
徳島ラーメンを食べながら「もう帰らなあかんな」と思ったこと。
一見すると仕事とは関係ありません。
でも僕にとっては、全部ひっくるめて今回の仕事だったような気がします。
僕が御所でやっている「不便を楽しむ里」も、たぶん同じです。
効率だけなら、わざわざ畑をやったり、柿を育てたり、養蜂を始めようとしたりする必要なんてありません。
欲しいものは買えばいい。
でも、自分でやってみるから面白い。
知らない場所へ行くから面白い。
人と一緒にやるから、もっと面白い。
レジンテーブルだって同じなのかもしれません。
完成品だけを見るのではなく、木を選んだり、削ったり、失敗したりしながら作る時間そのものを楽しむ。
最近、僕がレジンテーブル制作体験に惹かれている理由も、そこにあるような気がします。
高知までレジンテーブルを届けに行って、杉を見て、城に登って、よく食べて、よく飲んで。
なかなか濃い1泊2日でした。
こういう出張なら、またすぐにでも行きたいですね。
……ただし次は、少しだけ体重計に乗るのが怖いです。


























