木と人と、僕の一週間|エコロキアのこだわりライフ

木と人と、僕の一週間|エコロキアのこだわりライフ

エコロキアは「不便を楽しむ」をコンセプトに、無垢フローリングやウッドデッキ、レジンテーブルを通じて、手間ひまかける贅沢な時間を提供します。
モノづくりの楽しさや育てる喜びを感じながら、日常に本物の価値を加える体験をお届けします。
毎週月曜日 朝8時更新

 

ムクリペ、杉の無垢フローリングを再生

 

先週末は、京田辺市でムクリペの現場でした。
杉の無垢フローリングの研磨と再生。長年使われてきた床を、もう一度きれいに整える仕事です。新品を貼るのとは違って、すでにそこにある「時間」をどう残すか、どう活かすかが大切になります。

 

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削り始める前の床には、生活の跡がそのまま残っていて、黒ずみや細かな傷も含めて、その家の歴史そのもののように感じました。研磨機を当てるたびに、少しずつ表情が変わっていくのを見るのは、何度やっても背筋が伸びます。

 

杉の床と向き合う時間

 

杉は柔らかい木です。
そのぶん、足触りが良く、空間もやさしくなりますが、研磨ではとても気を使います。削りすぎればすぐに表情が変わってしまうし、削らなさすぎると汚れが残る。

 

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機械の音を聞きながら、手に伝わる感触を確かめながら、少しずつ進めていく作業は、効率だけで考えると遠回りなのかもしれません。でも、この時間があるからこそ、最後に「ちゃんとした床」になると思っています。
派手さはないけれど、静かで濃い時間でした。

 

夜はまったく違う場所へ

 

そんな現場作業の一日の終わりに、思いがけないお誘いをいただきました。
レジンテーブル制作体験ワークショップに参加してくださった方から、「よかったら一緒に行きませんか?」と声をかけていただき、夜はBERONICAのマジックナイトへ。

 

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正直に言うと、マジックショーをちゃんと観るのは久しぶりでした。軽い気持ちで行ったのですが、これが完全に予想外。目の前で起こることが理解できず、驚きっぱなしで、気がつけば拍手していました。

 

驚きと感動のマジックナイト

 

トリックの仕組みがどうとか、そういうことを考える暇もなく、ただただ「すごいな…」という気持ち。
演出も空気感も心地よくて、大人が素直に楽しめるショーでした。

 

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昼間は床を削って、夜は不思議な世界を観ている。その振れ幅も含めて、なんだか面白い一日だなと思いながら、会場の雰囲気を味わっていました。

 

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偶然の再会というサプライズ

 

そして、さらに驚いたのはここからでした。
会場を見渡していたら、どこかで見たことのある顔が。よく見ると、以前レジンテーブル制作体験に来てくださったご夫婦だったんです。まさか、こんな場所で再会するとは思っていなかったので、お互いに一瞬きょとんとしてから、「えっ?」と笑ってしまいました。
こういう偶然って、不思議ですよね。仕事でのご縁が、まったく別の場所でふっとつながる。その瞬間が、とても嬉しかったです。

 

木と人は、思わぬところでつながる

 

現場で木と向き合って、夜は人と時間を共有して、さらに昔のご縁と再会する。
振り返ると、先週はずっと「つながり」を感じる一週間でした。
木も、人も、時間も、バラバラのようでいて、どこかでちゃんと交差している。そんなことを考えながら帰り道を歩いていました。
来週もきっと、予定通りにいかないことや、思いがけない出来事があると思います。でも、それも含めて楽しめるように、また月曜日を迎えたいと思います。

先週は、昨年から引き続き進めている案件にどっぷり浸かった一週間でした。
テーマは持ち運びできる、組み立て式の犬小屋の試作品づくり。

いわゆる「完成品をつくる週」ではなく、つくっては壊し、直してはまたつくる、そんな時間が大半を占める一週間です。

 

レーザー加工機と試作の往復運動

 

今回の犬小屋は、

  • 工具を使わずに組み立てられること
  • 分解してコンパクトに持ち運べること
  • 強度と見た目のバランスが取れていること

このあたりを同時に成立させる必要があります。

そのため工程はとてもシンプルで、同時に地味です。

 

レーザー加工機で木材をカット

 

レーザー加工機で切り抜く

組み立ててみる

気になる部分を調整する

図面を修正する

またレーザーで切る

 

このループを、ひたすら何度も。

 

レーザー加工機で木材をカットする様子

 

ほんの数ミリの差で、
「組み立てやすさ」も
「剛性」も
「見た目の美しさ」も、まったく変わってしまう。

だからこそ、図面に戻る回数が減らないのです。

 

「持ち運びできる」という制約が生むデザイン

 

犬小屋というと、どっしり据え置きで、重くて、簡単には動かせなません。
そんなイメージを持つ方も多いと思います。

でも今回は真逆。

 

普段使ってワンちゃんも慣れている犬小屋を旅先やイベント会場へ持っていく、そしてまた分解して車に積む、また別の場所で組み立てる…そんな使われ方を前提にしています。

 

木製組み立て式犬小屋の試作品

 

だからこそ、ネジを一切使わず、パーツ点数もできるだけ減らし、それでいて「頼りなさ」を感じさせない形にする。

制約が多いほど、デザインは難しくなるけれど、同時に「らしさ」も生まれてくる。

 

3月末と5月。イベントに向けて

 

この犬小屋は、3月末と5月ごろに予定されている大きなペット関連イベントでの発表を目指しています。

まだ「商品」ではなく、あくまで「試作段階」。
でも、来場者の目に触れることを想定すると妥協できないポイントが一気に増えてきます。

 

  • 触ったときの安定感
  • 組み立ての直感性
  • 木の表情の見え方
  • そして何よりワンちゃんの居心地

どれも、図面だけでは決して分からないことばかり。

だから、今はとにかく手を動かす。

 

完成に近づくほど、手戻りは増える

 

不思議なもので、完成に近づけば近づくほど、
「やり直し」は増えていきます。

最初は勢いで進められた部分も、形が見えてくると急に気になり始める。

でも、この手戻りこそが「製品」になるための通過点なんだと思っています。

この先もきっと、図面に戻って、レーザーを動かして、また組み立てる。

 

エコロキアの「つくることに価値を宿す」精神をこのブログでは、完成したものよりも完成するまでの時間を残すための記録。

試作の途中にしか見えない景色を今週もしっかり味わいました。

 

レジンテーブル界隈で、なかなか慌ただしい一週間

 

今週は、レジンテーブル界隈でなかなかに慌ただしい一週間でした。

エコロキアでは

 

  • レジンテーブル制作体験ワークショップ
  • フルオーダーでお作りするオーダーメイド

このふたつのメニューを軸にレジンテーブルを扱っていますが、年始から動き出したのは、完全に後者のフルオーダー。

 

 

 

 

 

年始から一気に動き出したフルオーダー

 

チェスナットの両耳付きテーブルが1台。
モンキーポッドが1台。
ポプラが1台。

どれも大きめのダイニングテーブル。


そして、ケヤキの小さな看板が1台。

合計4件。
しかも全部、素材もサイズも個性が強い。

ありがたい反面、これはなかなか骨が折れます。

 

 

まだ映えない、素材探しと準備の時間

 

正直に言うと、いわゆる「映える作業」はまだ何ひとつ始まっていません。

レジンを流し込む前の、いちばん地味な段階。

 

レジンテーブル用木材の選定


素材を探して、並べて、眺めて、触って、また戻して…そんな時間が続いています。

でも、この時間がいちばん大事だということを、僕はもう嫌というほど知っています。

 

木は、並べてみないと分からない

 

木は、並べてみないと分からない。
写真で見ていた表情と、実物はまるで違うことがある。

 

レジンテーブル用木材:チェスナットとモンキーポッド

 

節の位置、割れの入り方、色の濃淡、厚み、反り。

 

「この木なら、どんなレジンが合うか」
「テーブルとして、どこを主役にするか」

 

そんなことを、ひとりでぶつぶつ考えながら、アトリエの中を行ったり来たりしています。

 

手狭になったアトリエと、進まない次の計画

 

今のアトリエは、正直もう手狭です。

近所で一戸建てを借りて、作業場とオフィス、そして寝泊まりできる場所をまとめたいなとお借りする話も進んではいますが、これの改築工事に取り掛かれるのはいつになることやら…。

 

ミニバックホウと白い家

 

 

 

まずはスペースを空けるところから

 

とにかく、今あるアトリエのスペースを空けないと始まらない。

木を立てかけ直して、材料を移動して、通路を確保して。
引っ越し前の部屋みたいな状態で、なんとか制作準備を進めています。

 

レジンテーブル素材が並ぶアトリエ

 

大きなダイニングテーブルはレジンを入れると50kg以上になるため、一人ではおいそれと動かせなくなるためどこに配置するかが悩みどころです。

 

 

忙しいけれど、嫌じゃない理由

 

不思議なもので、こういう時に限って面白い仕事が重なります。
レジンテーブルのオーダーが続き、素材探しと準備に追われ、気がつけば毎日バタバタ。正直、休みらしい休みはほとんどありません。

ただ、それが「しんどい」かと言われると、少し違う。
身体は確実に疲れているし、50歳を超えてからは体力の低下もはっきりと感じます。若い頃のように無理がきくわけではない。これはもう、認めざるを得ません。

 

それでも、仕事そのものは面白い。
「これはいい仕事だな」と思える依頼が続いているからこそ、踏ん張れているのだと思います。疲労感と充実感が、同時に存在しているような感覚です。

 

だからこそ、最近あらためて感じているのが、環境の重要性。
御所で考えている新しいアトリエは、単なる作業場ではなく、寝泊まりしながら制作に集中できる場所にしたい。移動や段取りに体力を使いすぎず、仕事そのものにエネルギーを残せる環境が、これからは必要になってくるのだと思っています。

 

レジンテーブル用木材の選定風景

 

忙しさを気合いで乗り切るフェーズは、もう終わり。
無理をしないための準備を、ちゃんとしていく。
今週の慌ただしさは、そんなことを考えるきっかけにもなりました。

 

レジンを流す前の、いちばん大事な仕事

 

レジンを流す瞬間や、完成写真だけを見ると、華やかな仕事に見えるかもしれません。

でも実際は、その前にある、誰にも見えない準備の時間がほとんど。

木を探す。
木を待つ。
木と相談する。

 

まだ何も始まっていないようで、いちばん始まっている時間

 

今週は、そんな一週間でした。

 

レジンテーブル用木材の準備

 

来週あたりから、ようやく少しずつ形が見えてくるはず。
またアトリエが散らかると思いますが、それも含めて、今は必要な混沌なのだと思っています。

木と人と、僕の一週間。
今週は「まだ何も始まっていないようで、いちばん始まっている時間」でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先週はヒノキのカウンター研磨から始まりました

 

先週はムクリペの仕事で、某所のホテルレストランのカウンター研磨をしていました。
ヒノキの無垢カウンターで、長年使われてきた分、表面には細かな傷やくすみが積み重なっています。

 

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見た目だけで言えば、少し疲れてきた印象のカウンターでしたが、木そのものはまだしっかりしていて、手を入れれば十分応えてくれそうな状態でした。

 

研磨を始めると、木は正直に反応します

 

研磨を始めると、少しずつ白さが取れ、木目が現れてきます。
手を動かすごとに、ヒノキ本来の色や表情が戻ってくる。

この「変化が目に見えて分かる瞬間」は、何度やっても気持ちがいいものです。

 

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黙々と作業をしているのに、不思議と飽きることはありません。

 

この仕事は「作業」なのか「娯楽」なのか

 

こういう時間を過ごしていると、ふと考えることがあります。
この仕事を「作業」と捉えるか、「娯楽」と捉えるか、ということです。

傍から見れば、研磨は単調で大変そうな作業に見えるかもしれません。

 

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実際、体力も集中力も使いますし、楽な仕事ではありません。

それでも自分にとっては、この工程そのものが嫌いではなくむしろ没頭している時間は、どこか娯楽に近い感覚があります。

 

気持ちのいい瞬間は、意外と地味なところにあります

 

木の表情が変わる瞬間に立ち会えること。
手の感覚に意識を集中させ、余計なことを考えなくて済む時間。

 

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そうした「ほんの一瞬の気持ちよさ」が、この仕事には確かにあります。
派手さはありませんが、静かに気分が整っていくような感覚です。

 

皆さまの日常の「作業」も、誰かにとっては娯楽かもしれません

 

この経験から、普段皆さまが行っている「作業」についても、同じことが言えるのではないかと思いました。
本人にとっては当たり前で、時には面倒に感じる作業でも、やったことのない人から見れば、それは十分に「娯楽」になり得るのではないか、と。

きっと皆さまの日常の中にも手を動かしているうちに集中力が高まる瞬間や、
終わったあとに少しだけ気分が整うような作業があるはずです。

 

作業と娯楽の境目は、案外あいまいです

 

それは必ずしも、好きなことや趣味でなくてもいいのだと思います。
仕事でも、家事でも、習慣でもほんの一瞬でも「気持ちがいい」と感じる時間があるなら、それは立派な娯楽なのかもしれません。

カウンターの研磨をしながらそんなことを考えた一週間でした。

今週を振り返ると、相変わらず仕事に追われながらも、人と会い、木に触れ、つくることを考える日々でした。
そんな一週間の中で、はっきりと「幸福感」として残っている出来事があります。
それが、ワールド記念ホールで観た Pet Shop Boys のライブ、「Dreamworld」です。

 

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ライブ当日は特別な気負いもなく、淡々と会場に向かいました。
長年聴き続けてきたアーティストですし、「楽しみ」ではあっても、過度な期待を抱いていたわけではありません。
ですが、終演後に残った感覚は、想像していたものとは少し違いました。
高揚感というよりも、静かに、しかし確実に満たされていくような幸福感。
それが、今週の一週間を通して、ずっと心のどこかに残っています。

 

ファン歴40年近く、それでも更新される体験

 

Pet Shop Boysを聴き始めてから、もう40年近くになります。

 

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学生の頃、レコードやカセットで聴いていた頃から、CD、データ配信へと媒体は変わりましたが、彼らの音楽はずっと生活のどこかにありました。

 

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正直に言えば、「もう驚かされることはないだろう」と思っていた部分もあります。

実は過去にnoteで、「今回のツアーではどんなセットリストになるのか」という予測を書いたこともありました。
過去のツアー構成や、Dreamworldというタイトルから連想される楽曲、近年のライブの流れを整理しながら、半ば楽しみとして考察したものです。

 

 

 


そうした“予測する楽しみ”ができるのも、長く聴いてきたファンならではかもしれません。

けれど、実際のライブは、そうした予測を軽々と超えてきました。
セットリストがどうこう、という以前に、ステージ全体がひとつの完成された世界として立ち上がっていたのです。

 

ド派手で刺激的、それでいて雑味のないステージ

 

今回の「Dreamworld」は、とにかくド派手で刺激的でした。
照明、映像、音圧、そのすべてが強烈で、情報量も多い。

 

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ですが、不思議と疲れない。
むしろ、意識を向ければ向けるほど、細部まで計算され尽くしていることが伝わってきます。

派手さを前面に押し出しながらも、どこにも雑味がない。
これは簡単なことではありません。

 

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多くの場合、派手さは「勢い」や「若さ」と結びつきがちですが、今回のステージにはそうした無理が一切感じられませんでした。

特に印象的だったのはニールテナントの佇まいです。
71歳とは思えない、という表現はよく使われますが、今回感じたのは「若い」のではなく「自然」だということでした。

 

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無理に声を張り上げるわけでもなく、過剰なパフォーマンスをするわけでもない。
それでも、空間を支配する説得力がある。
長い時間をかけて積み重ねてきたものだけが持つ強さを、あらためて感じました。

 

「楽しかった」よりも「ちゃんと幸せだった」

 

ライブが終わり、会場を出たあと、しばらくその場で立ち止まっていました。
胸が高鳴っているというより、静かに呼吸が整っていくような感覚。
言葉にするなら、「楽しかった」というよりも、「ちゃんと幸せだった」という感覚が近いと思います。

 

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木の仕事をしていると、派手な仕上がりよりも時間をかけて育った木の表情や使い込まれてなお美しさを増す素材に強く惹かれることがあります。
今回のDreamworldは、そうした感覚とどこか重なりました。

流行や瞬間的な刺激ではなく積み重ねてきた時間そのものが価値になる。
それを、これほど明快に、しかもエンターテインメントとして提示できることに、素直に感動しました。

 

一週間の終わりに残ったもの

 

今週は、仕事としては決して楽な一週間ではありませんでした。
考えることも多く、判断を迫られる場面もありました。
それでも、ふとした瞬間に、Dreamworldのステージを思い出すと、気持ちが少し整うのです。

一週間の終わりに「また来週も、ちゃんとやろう」と思える。

 

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そんな気持ちを残してくれたこと自体が、このライブの大きな価値だったのかもしれません。

木と人と、僕の一週間。
その中に、確かに刻まれた、ひとつの幸福な夜でした。