Dearあなたへ
バシャビシャ、えっ、何?
水色の絵の具を溶いたような色水が、突然顔にぶちかけられた。
髪の毛から顔にかけ、水色の液体がポタポタと雫となって垂れ落ちている。
驚いて回りを見ると今度は体目がけて、また色水がぶちかけられる。あまりの衝撃で声にもならず立ちすくんでしまった。
一体何?何が起こったの?
色水をかけた相手を確かめようにも、逃げ足早く消え去られてしまう。
私は降りかかってきた状況が理解できずに、青く染まった掌を茫然と眺めるばかりだった。
なんで昨晩着いたばかりのインドで、朝から色水かけられなきゃならないの?これインドの風習?まさか私狙われている?そんなバカな。
濡れた髪をタオルでゴシゴシ拭きながら、訳がわからず泣きそうになる。
泣きそう気分のどうすりゃあいいは、水色女になった事だけが原因では無い。
ホテルを出てガイドブック片手に探してまくって来た建物。やっと辿り着いたはずが目指す旅行案内所が無いのだ。
フリーの旅行者なら必ず立ち寄ると言ってもいい、ここにあるはずのインフォメーションセンターが影も形も無く、消えていたのだ。
そんなバカな。。。
焦る気持ちを抑えながら、マイバイブルの地球の歩き方を開いてみる。
ある。確かにここにあると書いてある。何度読んでも書いてある。住所だって間違ってない。最新版だし。
なのに何故。。。転居の記載がされてない。
ここでインドフリークの友達と待ち合わせをして、インド旅行が始まるはずだったのだ。
初めて訪れる外国の地で現地集合、現地解散という旅もかなりテキトーで怪しい物ではあるのだが。
でも彼女はかつて訪れた事もある国だし、元々ぐうたらな私達にはごく当たり前の発案で、会える事が大前提でやって来たのだ。
公共施設のインフォメーションセンターなら間違いないねと。
だがしかしまさかの落とし穴が、集合前から口を開いて待っていた。
よく映画やドラマで見る戦時下での音信のやり取りを思い出し、もしやと彼女からのメモやメッセージはないかと近くの建物の壁や扉を隈なく探して見た。が、無い。
破れた紙片の一枚も、貼り付けられた形跡も全く無い。
ああっ。。。マジかよ
ドラマならメモの切れ端にでも行き先が書いてあり、伝言板や板塀に貼られ風に吹かれてヒラヒラはためいているはずじゃん!
いくらぼやいていても、状況が変わる訳でも無し。
ならばとにかく速攻、今夜泊まる宿を探すしかない。
後の事はそこで考えよう。
と気を取り直し目指す宿に向かって歩き始めたら、突然目の前が青くなり頭から青い雫がポタポタ垂れ落ちてきた。
これって青天の霹靂って奴?
もしや初っ端からインドの洗礼受けちゃったって事?
ならば全てが神様の思し召し。。。?
好奇心は止まらない