ラウンドテーブルディスカッション⑥ :フェリス女学院大学緑園キャンパス CLA 棟 4 階 2403
「エコフェミニズム再考/再興――今日における意義とその実践を問い直す」
企画:佐野敦子(静岡大学)
話題提供:森田系太郎(立教大学)
菊地栄(立教大学)
司会:萩原なつ子(国立女性教育会館)
企画趣旨(目的)
気候変動の悪化や自然災害の増大が叫ばれる昨今、エコロジーとフェミニズム・ジェンダー平等の双方をプラスの方向に推進させるためには両者はどう連携していくべきなのか。そしてその時、〈エコフェミニズム〉は如何に再考/再興され、どのような役割を果たしうるのか。本ラウンドテーブルでは多角的な視点や事例から検討・議論し、エコフェミニズムの今日的な意義とその実践
を問い直す。※本研究はJSPS科研費 25K15729の助成を受けたものです。
話題提供
①「21世紀のエコフェミニズム――マリア・ミースの『前文』からの考察」
佐野敦子(静岡大学)
佐野は、マリア・ミースとヴァンダナ・シヴァの共著『エコフェミニズム』のドイツ語・改訂版に収録されたミースによる「前文」を紹介する。エコフェミニズムを世界的に牽引し、2021年に鬼籍に入ったミースはマルクス主義フェミニズム的視点からエコフェミニズムを捉えていた。晩年、メルケル政権下で東独時代の見直しが進むなかで書かれた彼女の思想をこの「前文」から考察していきたい。
②「再生産身体はどう評価されうるのか――当事者アンケート調査から浮かび上がる産科的暴力を事例として」
菊地栄(立教大学)
昨年実施された「お産を女性の手に取りもどすネットワーク」のWebアンケート調査(n=3546)では、出産体験者が分娩時に内診や陣痛誘発、身体拘束を受けた事例が明らかとなった。これらの体験は、説明不足や同意の欠如、威圧的な言動に加え、分娩室における特殊な体勢下では心身への暴力となりうる。〈女性〉と〈自然〉は共に家父長制的構造に支配されてきたとするエコフェミニズムにおいて妊娠・出産という自然系の働きを持つ再生産身体をどう評価するのか。産科医療を事例に検討する。
③「試論――エコフェミニズムとマルクス主義フェミニズムの連続性をめぐって」森田系太郎(立教大学)
昨年の日本フェミニスト経済学会で伊田久美子氏は「マルクス主義フェミニズムとエコフェミニズムの連続性」に言及、両者を繋ぐ媒介項として〈再生産〉を挙げた。本発表では〈再生産〉に加えて、またはその代わりに、〈ケア〉を提案したい。〈ケア〉には当然、人間へのケアに加え、人間外存在へのケアも含まれる。1985年の〈青木・上野論争〉=〈エコフェミ論争〉から40周年を迎
える2025年の地平において、エコフェミニズムとマルクス主義フェミニズムの接続の可能性を試論してみたい。