だいたい
おまえが
わるい
そう言った男は短めの黒い髪の毛をポニーテールにしてひっつめていて、顔が吊り上がっていた。
目が細くてすきっ歯だった
だいたい
おまえが
わるい
私が黙っていると、無理矢理顎を掴み再びそう唱えた。
「だいたい俺が悪い」
そう言うと相手は笑い再び唱えた
だいたい
お前が
悪い
「だいたい俺が悪い」
次にそう言ったときには、自然と笑顔になっていた。
だいたいおれがわるい
だいたいおれがわるい
だいたいおれがわるい
何度もそう唱えていた。目の前にいる男も自然と笑顔を見せた。隙間の空いた歯がくっきりと見えた。
だいたいおまえがわるい
だいたいおまえがわるい
だいたいおまえがわるい
何度も唱えるうちに何か起こるたびにその言葉が私の頭の中で響くようになった
だいたいおれがわるい
まるで脳の中と心の中を刃物でぐりぐりと傷つけられているかのようなんだけど
そこから出た血液はあったかくて私の頭と心を血の海ですっかりほてらせてくれた
辛いけど、悪くない
そう思った