いつまでも営業に行かずに事務所にこもってる営業マンがたくさんいる。隣の席、向かいの席、斜め向かいの席…。

人と長い時間近くで過ごすのが苦手な私は、毎日息が詰まりそうだ。別に彼らは何も悪いことをしていない。仕事がたくさんあるのだから、もう仕事をとりに行く必要がないのだ。だから一日中、事務所にいるしかない。

それを私は辛いと感じていて、なんでずっとこの人たちは居るんだろう、居るからと言って、電話をとってくれるわけでもない。それは仕方ないことだ、彼らは営業マンなんだからーー。

何度も自分に言い聞かせてみても彼らを攻撃する言葉が脳から溶け出していくようだった。そしてそれは私も攻撃した。何も悪くない彼らを攻撃するなんて私はおかしい。おかしいのだ、と。

目が合ってるわけではないのに、向かいの席の営業マンが私を睨みつけているような気になる。こいつ、一日中なにしてるんだろう、と思われているに違いない。

そんなことをずっと考えていると頭がおかしくなり、息切れがしてきてどっと疲れた。怒ってくる人だったり悪い人はいないはずなのに、クタクタに疲れてしまっていた。前勤めていた接客業では怒ってくる人も悪い人もいた上、残業もたくさんあって体力的にもきつかったはずなのに、それよりも今の方が何故かいつもクタクタに疲れていた。

歳をとったからなのだろうか。

そういうものとはまた根本的に違う、何かよくわからないものがここには渦巻いている。空気が悪い。それは雰囲気が悪いとかそう言う意味ではなくて文字通り空気が悪い。酸素が薄い。

たくさんの目玉がどこをみていいかわからず交差している。

だんだん、呼吸しづらくなってくる。夕方あたりになると酸欠のようになりゼエゼエと呼吸を繰り返している。お医者様は自律神経だよ、という。

自律神経。では具体的にどうすればいいというものは一つも出てこなかった。太陽の光を浴びてごらんと言うので私は太陽の光を一生懸命あびている。太陽の光を浴びると眩しくてめまいがして倒れそうになる。みんなはとてもそれがいいことのように言うけど、太陽の光は私を朝っぱらからクタクタにさせた。

がんばりたいと思う、ほどほどには。
とりあえずこの耳鳴りが止んでくれればいいな。