「いいかい。この世で起こる全てのことは、だいたいお前が悪いんだ」
その言葉は大人になった時にはもうまるで呪いのように毎日毎日頭に響いていた。両親の言葉ではないと思う。ただ、そう言い聞かせてくる脳みそに私は従うしかなかったのだ。
だいたい私が悪い
だから必死に謝る。何が起こっても必死に謝る。
ごめんなさいごめんなさい、全部私のせいですごめんなさい
だけど相手はびっくりしている。ごめんなさいごめんなさいびっくりさせてごめんなさい。
気づけばごめんなさいにこだわりすぎていた。それもあれもこれも全部私のせいであり私の罪だ。時には誰かの濡れ衣を着せられることもあったが、そういう人はだいたいすでに狂っていて、ほとんどの多数派はそんなことしてこない。あれもこれも自分の罪だと言い張る私から距離を取り、ひそひそと「不気味な女だ」と噂するだけだ。
だけどやめられないんだ。だいたい私が悪いんだごめんね?なんの話か最後まで聞けてないけど、話の途中だけどごめんね?とりあえず謝るよ。怒ってるじゃない、とりあえずあやまるよ。
ごめんね?ごめんね。ごめんなさい。その言葉はそれ以上どうしようもできない、魔法の言葉であると、私は気づいているんだと思う。
ごめんなさいはもしかしたら私みたいなクズ?いやなんだろう真面目系クズかな、そう言う人の武器なのかもしれないね
この命守れるなら土下座なんて何度もできる自信がある。
ごめんねごめんねごめんなさい
だけどときどき唱えすぎてアレルギー反応が起こる、
なんでこんなに謝ってるんだ馬鹿みたいだ、と。
勝手に誰に強要されたわけでもなく謝りだしたのは、私であるのに。
イラついてるんだよ、馬鹿みたいだと。
この得体の知れないめんどくさい生き物と今後あと何年付き合うのだろうか。