「FOOD ,DRINK & DREAM」


遡ること20年前。初めてその店を発見した時、真冬のビーチには人影もなく、寒風吹き荒れていた。僅かな明かりがもれる店内から、その季節には無謀とも思えるロック・ステディのリム・ショットが流れてきた。

「誰がこげなところで店ばしよっちゃろうか?」という興味本位で、思わず立ち寄ってしまったその店こそ、“糸島”という福岡のウェッサイに位置する伝説のビーチ・カフェ「Sunset」であった。今でこそサンセット・ロードと呼ばれるその一帯はレストランやカフェが立ち並ぶが、当時は冬の海なんてサーファーしか立ち寄らないエリアだった。

ローカル・サーファーとして自然環境保護を熱く語ったり、たき火を囲んで共通の音楽バカ話で盛り上がったり、オーナーである林憲治氏とはその後、同世代ということもありすぐに親しくなった。当時、Sunsetの看板には確か“FOOD,DRINK & DREAM”とあった。最後の一言がいつも気にはなっていたが、特にその意味を尋ねたことはなかった。そんなある日、林さんが「ここでライヴがやりたい!」と、あの頃のトレード・マークだった黒班ウエリントン眼鏡奥のつぶらな瞳を輝かせながら、ぼそっと呟いた。

ガレージ・スペースから始まった第一回目の Sunset Live が開催されるまでに、それからそう時間を要しなかった。

音楽業界に身を置くと集客、経費やらで苦労しそうなこの企画に、二の足を踏みそうなもの。だが、素人ならではの純粋な想いが林さんをまったくブレさせずに鉄砲玉のような Tube Ride へと導く。傍目から見ていて正直ビビった。

人が誰も寄り付かなかった海辺にカフェを始めた時から、林さんの DREAM は既に始まっていたのだ。キング牧師の「I Have a Dream…」ほど切実でなかったかもしれないが、今年で16回目を迎える Sunset Live、その一筋縄ではいかなかった継続の歴史には本気の DREAM がしっかりと根付いている。


「LOVE & UNITY」


僅か数百名からスタートした Sunset Live は口コミで徐々に拡がりを見せ始める。2001年、遂にガレージ・スペースでの限界が近付いていた。

Ska Flames,Determinations,Rico Rodrigues など今や伝説となったステージも数多く、アーティスト、オーディエンス、スタッフによる三位一体のハイブリッドな楽園シナジーこそ Sunset の醍醐味と誰もが気付き始めていた。

2001年、東京スカパラダイスオーケストラによる最終ステージ、その限界を超える空間熱を店の屋根上から林さんと鳥肌状態で見下ろしながら、しかしさすがに「もう無理やろう」と、その年から巻き込んだ強力MCスマイリー原島氏の笑っていない顔を見て確信する。

翌年から会場を、さらにウェッサーーイな芥屋海水浴場に移し、3日間に拡大し満を持すが、いきなり2日目が台風で中止という大試練に遭遇。

「大いなる自然とその恵みに感謝」するこのフェスは、自然災害で困窮する地域、団体への寄付、近隣の小学校へサンセット図書として贈書するなど、毎年地道な社会貢献も行っている。

今回特別に制作されたオリジナル・トラック「Sunset」は、毎年参加しているホーム・グロウンを中心に、SunsetLive の歴史を共に支えてくれたアーティストらによるメッセージが各々のスタイルでリレーされ、大きなうねりとなって紡がれていく。まさにこのような「LOVE & UNITY」こそが Sunset のコアでありツボなのだ。

深町健二郎 (Sunset Live Co-Producer & MC)


http://www.beachcafesunset.com/index2.htm



三日間、お世話になりました。

サンセットに根付いてる、あの温かさは、「当然」のものなのかもしれない。


なにが世界を変えるだろうか。


なにで世界を変えれるだろうか。


2008.9.13(佐々木氏、mixi日記引用させてもらいました爆)