韓国ハイニックス半導体<000660.KS>第1四半期は1.18兆ウォンの赤字

http://jp.reuters.com/article/marketEyeNews/idJPnTK844954120090424


 [ソウル 24日 ロイター] 韓国のハイニックス半導体が24日発表した第1・四半期決算は、6四半期連続の赤字となった。半導体価格下落と需要の落ち込みが響いた。

 第1・四半期の連結ベースの純損失は1兆1800億ウォン(8億7330万ドル)。
 ロイター・エスティメーツによると、市場予想の純損失は1兆0800億ウォンだった。

 前年同期は6756億ウォンの純損失。前期の純損失は1兆6900億ウォン。

 営業損失は5150億ウォン(市場コンセンサスは5588億ウォン)、売上高は1兆3100億ウォン(同1兆2100億ウォン)だった。

 業界の大幅減産を受けDRAM価格は安定化に向かっており、半導体市場では現在、回復期待が強まっている。

 市況回復期待から、ハイニックス株は年初から2倍以上に上昇、韓国株価指数.KS11の上昇を主導している。


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韓国ハイニックス半導体:1-3月は6四半期連続の赤字-価格低下で  ブルームバーグ

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003011&sid=ab.UlbUsv8AE&refer=jp_asia


DRAMeXchange

4Q 2008 NANDフラッシュシェア

http://www.digitimes.com/news/a20090420PD205.html


上記サイトより


DRAMeXchange: Global Top-5 NAND flash suppliers, 1Q08, 4Q08 and 2009

1Q 2008

4Q 2008

Estimate for 2009

Revenues (US$m)

Market share

Revenues (US$m)

Market share

Market share

Samsung

1,393

42.2%

789

35.4%

>40%

Toshiba

855

25.9%

738

33.1%

>30%

Hynix

569

17.2%

266

11.9%

<10%

Micron

222

6.7%

214

9.6%

>10%

Intel

180

5.5%

150

6.7%

>10%


東芝とサムスンの差が大きく縮まりましたが、2009 Q1は工場の稼働率を推測すると、2.3%差からは開いているでしょうね。

サンディスク側の需要がもっと増えて欲しいです。


2007/10/08, , 日本経済新聞 朝刊, 1ページ


 東芝は二〇〇九年度半ばに次々世代の半導体メモリーを世界に先駆けて量産する。回路線幅を三十ナノ(ナノは十億分の一)メートル台に狭める微細加工技術を使い、製造コストを現行の半分以下に抑える。この技術で携帯電話などのデータ保存用に需要が伸びるフラッシュメモリーを生産。年一兆五千億円程度に達した同製品の世界市場でシェア首位を目指す。製造技術での日本の優位を生かし、世界の半導体市場で巻き返しを狙う動きが加速しそうだ。(半導体の微細加工技術は3面「きょうのことば」参照)=関連記事9面に
 フラッシュの世界シェアで二位の東芝は現在、線幅五十六ナノ技術で同製品を生産。今年十二月に三重県四日市市で本格稼働する新工場で来年三月から次世代の四十三ナノ技術での量産を始める。世界シェア首位の韓国サムスン電子は五十一ナノ技術を活用、この時点で東芝はサムスンに先行する。その翌年に、さらにその次の世代となる三十ナノ台で量産に着手することにより、記憶容量や製造コストなど技術面でのリードを維持したい考えだ。
 三十ナノのラインは四日市市の新工場内に設置する。要素技術などの研究開発にほぼメドがつき〇九年度の実用化が可能と判断した。投資額は明らかにしていないが、〇七年度からの三年間で半導体事業に一兆円超を投じる現行の投資計画の範囲でまかなえるという。
 東芝が最先端技術への移行を加速するのは、コスト競争力を高める狙い。製造技術が一世代進むごとに一枚のウエハーから生産できるメモリーの個数が増え、生産性が四割程度向上。その分、コストは下がる。〇六年年間で約七割も値下がりするなどフラッシュ市場は価格変動が激しい。
 米アイサプライによると携帯音楽プレーヤーなどのデータ保存に適したNAND型フラッシュの世界市場規模は〇六年で百二十三億ドル。携帯電話などのメモリーカード用に需要が拡大している。〇七年四―六月期の世界シェアは首位のサムスンが四五・九%、二位の東芝が二七・五%で、両社が市場のほぼ四分の三を占めている。
 東芝の半導体売上高は世界四位(〇六年)で、〇七年三月期は約一兆三千億円だった。ソニーからシステムLSI(大規模集積回路)の最先端生産設備を一千億円弱で買収する交渉も進めており、フラッシュとシステムLSIを二本柱に世界一、二位の米インテル、サムスンを追い上げる。


http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071009/140417/


 韓国LG.Philips LCD Co. Ltd.の2007年7月~9月期決算は大幅な増収増益を達成した。売上高は前年同期比43%増の43億2500万米ドル(3兆9530億ウォン),直前四半期に比べても18%の増収だ。営業利益は7億5800万米ドル(6930億ウォン)で,営業損失を計上していた前年同期からは12億米ドル近い改善となる。純利益も大きく改善して5億7300万米ドルとなった。

 7月~9月期の液晶パネルの出荷数量は面積換算で310万m2で,直前四半期の実績を11%上回った。平均販売単価も7%上昇している。売上高の内訳は48%が液晶テレビ向け,25%がデスクトップ・パソコン用モニタ向け,22%がノート・パソコン向けだった。なお,前年同期はそれぞれ48%,26%,21%となっていた。

 10月~12月期については,出荷量が7月~9月期に比べ5%前後の増加,平均販売単価は5%未満の低下と予測する。液晶テレビ向けの出荷が伸び,パソコン向けの出荷がやや落ち込む見通しだ。

 同社CEOのYoung Soo Kwon氏は決算発表と同時に,新製造ラインへの投資を取締役会で承認したと発表した。約2兆5000億ウォンを投じて第8世代のガラス基板に対応した液晶パネル製造ラインを建設,2009年上期に稼動を始め,大型液晶テレビ向けの需要に応える計画だ。


2007/09/21, , 日本経済新聞 朝刊, 11ページ


シャープがパネル供給
 日本ビクター・ケンウッドの統合合意に続くシャープとパイオニアの資本提携で国内電機業界の再編が加速する。薄型テレビでプラズマ陣営の一角を占めるパイオニアはシャープからパネル供給を受け、液晶テレビに参入する。急速に進む技術革新と価格下落、膨らむ開発費負担……。激しい環境変化を背景にすべての技術や商品を自社で手がける「自前主義」は限界を迎えている。過当競争体質との決別に向けた再編の波は家電流通業界も巻き込んで勢いを増している。(1面参照)
■数年前にも模索
 「次世代カーナビの表示装置にシャープ製液晶パネルを採用することになったのがきっかけだった」。二十日、都内のホテルで開いた記者会見でパイオニアの須藤民彦社長は今回の提携に至った経緯をこう説明した。
 年明け以降、シャープ幹部は東京・目黒のパイオニア本社へ足しげく通い、中小型液晶表示装置を売り込んだ。商談は成功、年度内にもシャープの液晶パネルを使うパイオニア製カーナビが発売されるが、それと並行してシャープ製液晶を使ってパイオニアが液晶テレビに参入するなど「包括提携の交渉が進んでいった」(シャープ首脳)。
 実は二社の組み合わせは数年前にも模索された。二〇〇〇年にDVDの基盤技術などで提携。薄型テレビの映像技術でも「パイオニアから教えを請うた」(シャープ幹部)。〇一年には40型以上のパネルを作れなかったシャープがパイオニアからプラズマパネルを調達したこともある。
■好調な業績一変
 〇三年ごろには町田勝彦シャープ社長(当時、現会長)が伊藤周男パイオニア社長(当時)に持ち株会社方式による経営統合を持ちかけた。だが「いずれのみ込まれるという危機感からお断りした」(パイオニア関係者)。当時のパイオニアの業績は好調。プラズマパネルが売れ、〇三年度は七千八億円の連結売上高に対し、営業利益は四百三十七億円にのぼった。
 その後、薄型テレビなどの価格競争が激化、状況は急変していく。パイオニアは一転、〇六年度まで三期連続の最終赤字という苦境に。株価も今月十一日に年初来安値を更新、この一年で約四割下落した。シャープに一四%の出資を仰いだのは他の機関投資家と合わせ買収を防ぐための安定株主を確保する狙いもあったとされ、株価下落が背中を押す形になった。
■42型調達を打診
 昨年十一月、パイオニア幹部は同じプラズマテレビを手掛ける松下をひそかに訪問。「42型のプラズマパネルの調達を打診した」(関係者)という。40型台のテレビは売れ筋だけに価格競争も厳しい。その部分は松下からの調達でまかない、より大型の高級品に経営資源を集中する狙いだったようだ。しかし今夏をめざした提携合意は「春以降、煮詰まった」(関係者)。一方でシャープとの提携交渉は着々と進んでいった。
 シャープにとっても「渡りに船」。松下と同じプラズマ陣営のパイオニアに液晶テレビ用パネルを供給することで自社の勢力を広げられる。
 太陽電池で世界首位、携帯電話でも国内トップのシャープだが、収益の大黒柱は液晶。その液晶事業を支えるため巨額の投資と大量の技術者を注ぎ込む。片山幹雄社長は「必要な技術を自社だけでまかなうと膨大な時間と人材が必要になる」としており、次世代DVD機器の開発や音響技術の強化などでパイオニアの力を借りられれば、松下などとの競争も優位に進められる。シャープの一手に他の大手電機がどう反応するのかが再編の次の焦点になる。
【図・写真】会見で握手するシャープの片山社長(左)とパイオニアの須藤社長(20日、東京都千代田区)



2007/09/21, 日本経済新聞 朝刊, 17ページ


 エルピーダメモリの二〇〇七年九月中間期の連結営業利益は前年同期に比べ約六割減の百億円弱となりそうだ。携帯電話やパソコンに組み込む主力のDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の価格低迷が長引いているのが響く。ただ海外の競合他社は四―六、七―九月期と営業赤字が続くと予想されており、エルピーダはここ数年続けてきた微細化など先端技術への取り組みで他社に差を付ける格好となる。
 DRAMの価格は最大手の韓国サムスン電子が大幅増産に乗り出す一方、マイクロソフトの「ウィンドウズ・ビスタ」搭載のパソコンが伸び悩んでいることから今年一―三月期以降、急激に下落。エルピーダは〇七年三月期の営業利益が過去最高となったものの、四半期ベースでは一―三月期の営業利益が前の四半期に比べて半減した。四―六月期も三十七億円と前年同期に比べ、約六割の営業減益だった。
 坂本幸雄社長は七月の四―六月期業績発表で市場価格について「九月には一個二・五ドルの水準に回復する」と予想したが、DRAMの主力品種である容量512メガ(メガは百万)ビット商品は一個一・二―一・三ドル程度と前年の四分の一の水準。この影響で七―九月期の営業利益は六十億円程度にとどまり、九月中間期の営業利益も百億円を割り込む可能性が高い。
 ただ世界的にみると、力晶半導体など台湾や欧州の競合他社は四―六月期に軒並み営業赤字。七―九月期も「大半が赤字の状態が続く」(外国証券)との見方が多い。エルピーダは携帯向けなど付加価値の高いプレミアムDRAMと呼ばれる分野の比率が高いほか、微細化技術などで先んじている点が営業黒字で踏みとどまる要因となる。
 エルピーダは十八日に坂本社長が来年六月の任期満了後も続投すると発表したばかり。微細化での優位性を保つため、最先端である回路線幅六十五ナノ(ナノは十億分の一)メートルのDRAMを世界で初めて〇八年三月期中に量産する方針。負債依存度が低く、投資余力もあるだけに、価格競争力を高めていく考え。


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0709/19/news093.html


東芝は9月19日、東京・銀座の「銀座東芝ビル」を東急不動産に1610億円で売却すると発表した。選択と集中の観点から保有資産を見直しており、売却益は半導体投資などに充てる。

 同ビルは数寄屋橋交差点に面した一等地にあり、敷地面積は3766平方メートルで地上9階・地下4階。東芝の前身・東京電気が1934年の完成時から入居し、1984年に浜松町の現本社ビルが完成するまで本社組織の一部が入居していた。現在は子会社の東芝不動産が所有し、商業・オフィス用賃貸ビルとして利用されている。

 東急不動産が設立するSPC(特別目的会社)に売却し、税引き前売却益は1300億円。2007年3月期の業績予想は見直し中としている。

 同日、中間配当を6円にすると発表した。前期は4円50銭(年間11円)。



http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0918/sony.htm


 ソニー は18日、日本経済新聞が15日付で報道した「先端半導体 ソニーが生産撤退 ゲーム機用MPU設備 東芝に1000億円で売却」の記事についてのコメントを発表した。

 この記事は、長崎県諫早市にある、PLAYSTATION 3(PS3)のCPU「Cell」などを含めた半導体製造ラインを、ソニーが東芝へ2008年春にも1,000億円近くで売却する、と報じられたもの。

 ソニー広報のコメントは「システムLSIの生産設備を株式会社 東芝へ売却するとの報道ですが、弊社が発表したものではありません。本件について具体的に決定した事実はありません。」としている。

 このコメントから、東芝と交渉を行なっている可能性が高いと推測される。




 諫早市の製造施設はこれまで、Cellだけでなく、PlayStation 2用チップ(EE+GSほか)や、デジタルカメラ用CCDなどを製造。所有会社はソニーセミコンダクタ九州だが、2004年5月まではソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が所有していた。この施設には2003年以降、65nmプロセス対応のため約1,300億円を投じている。

 2003年4月、SCE Fabだったこの施設への65nm対応の投資を発表。当時の久夛良木ソニー副社長は、「ゲーム機ビジネスではファブレスが主流だったが、必要な半導体を内製することで、半導体のシュリンクを早い頻度で行なうなど、アグレッシブな展開を図ることができた」と述べていたが、コストや製造量など、その内製のメリットを失うことになる。

 さらにソニーは、45nmプロセス以降への投資は「慎重に検討する」としたほか、NECエレクトロニクス、東芝と共同で行なっていた45nmプロセス技術の開発から離脱。これにより、ソニーによる45nmプロセスの量産は事実上なくなっていた。

2007/09/13, , 日本経済新聞 朝刊, 15ページ


ブランド力でシェア向上へ
 シャープが液晶を軸とした攻めの経営姿勢を鮮明にしている。七月末には堺市に世界最大級となる液晶パネル工場を二〇一〇年三月までに稼働させる計画を発表。最先端技術を投入して効率性を高める考えだ。ただ株式市場では、激戦が続く薄型テレビ競争で収益を確保できるか不安視する声も目立つ。CFO(最高財務責任者)の佐治寛副社長に、今後の見通しを聞いた。
 ――世界的な市場波乱が実体経済に悪影響を及ぼしかねず、米消費動向に対する懸念も広がる。薄型テレビ販売への影響はあるか。
 「特に消費が冷え込むという感触は今はない。ただ、いつものことだがクリスマス商戦を控えてテレビ各社の競争は激しさを増している。液晶テレビもプラズマテレビとの関係もあり、値下げ要請がやや強い。今後も価格動向には注意していきたい」
 ――米国ではノンブランド品の売れ行きが良い。シャープの市場シェアが落ちることはないか。
 「ノンブランド品は今後は落ちていくと思う。米国にも多様な消費者がいるが、ブランドを大事にしようという時期に来ていると思う」
 「シェア向上のため米でのマーケティングを強化しているが、最近はホテル需要が広がり始めた。宿泊客への情報提供のため、高精細のテレビが必要なためだ。高級ホテルでの採用が増えれば、それだけブランド力が高まると期待している」
 ――今年度の液晶テレビの販売目標は九百万台だが、達成は可能か。
 「メキシコとポーランドの組み立て工場が稼働し始めており、今年後半から来年にかけて操業が軌道に乗っていくと思う。販売目標は十分、達成可能だ」
 ――堺の新工場の投資額は約三千八百億円だが、新たな資金の外部調達は必要か。
 「〇六年に新株予約権付社債(転換社債=CB)を二千億円発行した。足りない部分は毎年の営業キャッシュフロー(現金収支)で賄える。新たな調達は考えていない」
 ――新工場で生産する液晶パネルを消費するには、自社テレビの販売増に加えて外販も積極化する必要がある。どのような外販先を想定しているか。
 「新しい顧客開拓は続けるが、現在、量は少ないながらパネルを供給している顧客がいくつかある。そうした相手に対して販売を拡大していけばいいと思う」
 ――携帯電話が国内シェアトップになるなど好調だが、今後の戦略は。
 「六月まではワンセグ対応モデルを中心に良かったが、これからは落ち着くだろう。国内だけでなく海外、特に東南アジアや中国をどう増やしていくかが課題だ」
 ――円高が進行しているが、何らかの対応策は必要か。
 「社内の計画レートは一ドル=一一五円、一ユーロが一五〇円で、このレートに違和感はない。行き過ぎた円高は若干戻すと思うが、慌てて対応策をとる状況ではない」
(聞き手は佐久間庄一)



http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz07q3/544755/


 「私の体より大きいわ」と笑い出す女性の横で、「ここはシャープのブースじゃないぞ」と冗談交じりの野次が飛ぶ――。韓国サムスン電子や蘭フィリップスの液晶テレビ展示ブースを、シャープの液晶テレビ「アクオス」が、来場者と一緒に我が物顔で歩いたのだから無理もない。


 これは8月31日からドイツ・ベルリンで開催された世界最大級の電化製品見本市「2007年国際コンシューマー・エレクトロニクス展(IFA)」での1コマだ。見本市の会場では、出展企業が自社の宣伝を兼ねて、パンフレットを入れる手提げ袋を配ることが多い。ただ、シャープが用意した袋は、アクオス46型の実物大。縦が約70cm、横も約1m10cmという特大サイズだ。商品写真が実物大で印刷してあるから、ライバル社のブースをアクオスが闊歩しているように見える。注目度は抜群だ。


 会場の中だけではない。展示会場に近いテーゲル空港では、1辺の長さが約15mで観光バスより長い巨大なアクオスの看板が、世界各地から到着した来場者を待ち受けていた。「シャープは気合いが入っている。IFAを欧州での決意表明の場にしているようだ」。日本の家電メーカー幹部はこう受け止めた。


まさにその通り。「今のままのシェアでいるつもりはない。3年後をメドに(欧州での)シェアを12~15%まで持っていきたい」。シャープの片山幹雄社長はIFAの会場で言い切った。

 シャープは日本での液晶テレビ販売シェアが47.8%(2007年1~6月、ディスプレイサーチ調べ)とトップ。全世界でもシェア12.4%(同)で、サムスン、ソニーに次ぐ3位につけている。ところが欧州でのシェアは6.7%(同)止まりで、存在感は小さい。そのシャープが、世界最大の市場である欧州でのシェア倍増を宣言した。

「世界でもここだけ」の新工場


 シャープは今後、3つの切り口で欧州での販売拡大とシェア向上を図る。まずは、コスト競争力を持った生産体制の整備だ。欧州でも薄型テレビの価格下落は進んでおり、「今年の価格下落は想定を10%以上、上回るペース」(日系電機メーカー)。シャープは、ポーランドに欧州2番目の工場として建設した新工場で市場に対応する。1月から半製品の生産を開始、7月からは完成品までの一貫生産が始まっている。


 シャープの新工場と言えば、2010年の操業を目指して大阪・堺に液晶工場を建設すると7月31日に発表したばかり。ガラスやカラーフィルターなど、液晶テレビ製造の“前工程”に当たる工程の部材メーカーが同じ敷地に進出することが話題になった。


 対するポーランド工場は、液晶テレビのバックライト関連など“後工程”に相当するメーカーを敷地内に誘致した。バックライトの拡散板などを製造する住友化学、ベゼルと呼ばれる枠などを手がける天昇電気工業など、日系大手だけでも7社に上る。後工程の集約は、「日本でやりたくてもできなかった。世界でここだけ」(片山社長)の新方式だ。


 後工程のメーカーを敷地内に誘致した意味は大きい。これまで欧州市場には主にスペイン工場で組み立てた製品を供給していたが、市場の変化への対応では課題を残していた。市場の拡大に商品供給が追いつかず、日本などから半製品や部品を空輸することも多くなっていたという。「船便だと到着まで1カ月半が必要。機会損失を生むだけでなく、市場での価格下落も進む。空輸だと1週間だが利益は大幅に減る」とシャープの幹部は言う。


 特に後工程で使う部品は、かさばるうえに重量があるものが多く、物流コストの軽減が悩みの種だった。その点、ポーランド工場では、半製品の後工程に必要な部品メーカーが同じ敷地にあるため、低コストで機動的な発注が可能になる。ポーランド工場で製造した半製品をスペイン工場に陸送する場合も、「航空便より速く、他の海外工場からの船便より安い」。


英国での拡販にBDプレーヤー


 

 今回のIFAでシャープは、欧州市場攻略に向けた2の矢も披露した。9月から欧州でブルーレイディスク(BD)のプレーヤーを449ユーロで発売、欧州でのBD市場に本格参入した。次世代光ディスク規格のBDは、DVDより大量のデータを収容でき、鮮明な画像を再生できる点が売り物だ。


 BDプレーヤー投入は、英国市場での販売拡大に貢献する。英国での薄型テレビは周辺機器とのセット販売が主流。欧州の映像関連市場で液晶テレビ以外の売り物を持っていなかったシャープは、テレビを売り場に並べてもらえないこともあったからだ。今後はコスト競争力を持った液晶テレビと周辺機器のタッグで欧州を攻める。

 3本目の矢として、ブランドイメージ向上への方針を打ち出した。「液晶の技術で最先端のイメージを押し出していく」(片山社長)。欧州でのコスト競争力が向上するとはいえ、規模で勝るライバルとの価格競争を極力避け、指名買いを狙う。


 8月22日に日本で先行発表した、次世代薄型テレビの試作機。52型で本体の厚さ2cmと、従来の4分の1の薄さを実現した。2010年の堺新工場操業時には厚さ2cmテレビを発売すべく開発を進めている。


 この試作機発表のタイミングも、欧州でのブランドイメージ向上を意識して設定したものだ。片山社長は、「本当は試作機の開発を(7月31日の)堺工場の発表に間に合わせるよう指示していた」と明かす。実際に試作機は7月までに完成していたが、その後、発表をあえて8月22日まで先延ばしすることに決めたという。


 堺工場の発表ではコンビナート化など大きな発表が複数あり、それに次世代の薄型テレビを加えると、先端技術をアピールできる試作機が他のニュースに埋没しかねないと考えた。「IFAは欧州で最大の展示会。注目してもらうには新しい物が必要」(片山社長)。


 このため、2cmテレビの発表をIFA開催の約10日前まで引きつけた。「直前に発表すれば、その情報が欧州に伝わり、欧州の報道関係者がIFAでの発表会に集まってくれる。その結果、今回の次世代テレビの露出が増える」。


 事実、シャープのプレス発表には多数の欧州メディアが集まり、2cmテレビの試作機が現地のテレビなどで放映された。「欧州の販売店から、早く出してくれという要望が非常に多い」と、IFAのシャープブースにいた社員は話す。欧州攻略に必要な持ち駒は徐々に揃いつつある。