「「「え??」」」
何人かのメンバーにも聞こえたみたいで、
みんな一斉にこちらを見る
齋藤「ちょっと…何言ってんの平手」
平手「…」
小林「てち…?」
上村「てち…本気?」
平手「…」コク
石森「そんな…」
ねる「…」
理佐「…友梨奈…?」
朝から何かおかしいと思っていた。
嫌な予感が、胸のざわめきが見事に的中した。
平手「今まで楽しかったよ、ありがとうみんな」
理佐「っ…!」
平手「わ…!」
思わず立ち上がった友梨奈の元へ走って抱きつく。
理佐「なんでっ…」
平手「理佐…?」
理佐「嫌だっ…!置いていかないで…っ」
平手「え…」
理佐「友梨奈がいたからここまで頑張れたのにっ…友梨奈がっ…友梨奈がいたから…!!」
溢れた涙は止まる気配もない。
何も考えられなくなって次々と口から言葉が出てくる。
理佐「ねるも…よねも…今泉も…っ愛佳も…!みんな居なくなって…!っ…友梨奈までいなくなったらっ…私どうすればいいの…」
平手「…」
理佐「まだ友梨奈と同じステージに立ちたい…まだっ…一緒に踊りたいっ…」
こんなに力一杯に抱き締められたのは初めてかもしれない。
泣いて顔をぐちゃぐちゃにして、咳き込みながら一生懸命話してくれている。
理佐がこれほどまで感情を出すのは珍しいと思う。
理佐「置いていかないでっ…友梨奈…」
平手「ぅぁ…っ…」
視界がぼやける
頬に生ぬるいものが伝った。
平手「ごめんなさいっ…ごめんなさい…っ」
涙が溢れると同時に、私の中の何かがプツンと切れたのがわかった。
平手「怖かったっ…みんな離れていきそうで…怖くて…っだったら自分から離れればって思ったっ…」
理佐「大丈夫…みんな友梨奈のことちゃんと見てるよ…見捨てたりなんかしないから…」
平手「1人にしないで…お願い…もう迷惑かけないから…!なんでもするから…1人にしないでっ…」
理佐「絶対しないよ…大丈夫」
ねる「…てっちゃん」
平手「ねる…」
ねるに声をかけられると、私を強く抱きしめていた理佐の腕が離れた。
ねる「てっちゃんは、まだ欅にいたい?」
平手「…!」
ねる「遠慮なんていらないよ?ほら、言ってみて」
平手「っ…いたいよ…まだ…ここにいたい…」
ねる「そっか。よかった」
平手「でも…ねる…」
ねる「てっちゃん、お別れじゃないよ。ねるはいつでもてっちゃんの味方。」
平手「…うん、ありがとう」
ねる「へへ笑」
理佐「あーやばい…明日目腫れる」
平手「えへへ…ごめん…って、みんな泣いてるじゃん」
織田「だってさぁ…ぐすっ…」
齋藤「バブがっ…うぅ…」
守屋「てっちゃん…大人になったね…」
小林「ていうか理佐…てちのこと友梨奈って呼んでたっけ」
上村「あ、確かに」
齋藤「さては…」
平手「えっ…違うってば」
ぎゅっ
平手「!?」
理佐「そーゆーこと。友梨奈は私のだから誰も取らないでね?」
平手「えっ?理佐?秘密にするんじゃ…」
理佐「もう隠せないよ笑」
齋藤「やっぱりかー!隠し事とかバブのくせに生意気!」
平手「わっ!?髪わしゃわしゃするなー!」
騒がしくて、たまに疲れてしまうこともあるけど
思いやりがあって、謙虚で、優しくて。
そんなこのグループが大好き。
理佐「友梨奈」
平手「んー?」
理佐「これからもよろしくね」
平手「うんっ!」
ちょっと遅いかもしれないけど、やっと自信を持って言うことが出来る。
私の居場所はここなんだ。