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 ロシア生まれのイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882~1971)は、20世紀前半の先進的な作風を牽引してきた作曲家です。長寿を全うした彼はその創作活動において、20世紀前半に生まれた様々な新しい様式を積極的に取り入れていきました。その意味で、ストラヴィンスキーの音楽はまさにカメレオンのような多彩さをもっていると言えるでしょう。バレエ音楽「春の祭典」は彼の作品のなかでは初期のもので、若きストラヴィンスキーが当時の最先端をいく前衛的な作曲家であることを人々に強く印象づけました。
 「春の祭典」は1911年の作曲で、バレエの興行師セルゲイ・ディアギレフの依頼で書かれました。1913年5月、パリのシャンゼリゼ劇場での初演では賛成派と反対派が真っ二つに別れて会場が騒然となったと伝えられていますが、現在では世界中のオーケストラによって好んで演奏される作品として定着していきました。全体は2部からなり、太古の昔の「原始宗教」の神聖な祭典を題材にしています。
 そのパリでの初演の模様が再現されました。ハルサイはあまりにもラジカルすぎて、客には騒音にしか聞こえなかったようです。ニジンスキーの振り付けも、従来のバレエの振り付けからはありえない、相当にぶっとんだものだったようで、理解できずに発狂した当時の観客はたちまちフーリガンと化した(映像では再現されてないが、殴り合いもあったらしい)。そんな修羅場と化した状況にもかかわらず、踊り子たちは踊り続け、オーケストラも演奏を止めなかった。そうした芸術家たちと聴衆の、いわば闘いの模様が収められている。
 こういう類の音楽は、下手にクラシック音楽を知っている人よりも、まったく知らない人の方が素直に受け入れられます。私は、初めて聴いたときにはとても不思議な音楽でしたが、何回も聴くにつれ虜になりました。この曲は名演が多いことでも有名です。