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 「沈黙の春」が出版されて45年以上たちますが、これに勝るとも劣らないのが「奪われし未来」だと言われています。どちらも問題としているのは化学物質ですが、大きく違うのは単位です。「沈黙の春」ではppmの世界でした。しかし「奪われし未来」ではppbになりました。つまりppmのさらに1/1000の世界です。百万分の一から十億分の一になりました。小さすぎてよくわからない世界です。住宅の設計図で考えてみればよくわかります。通常1/100の図面で間取りを考えます。この縮尺ならば実物が想像できるからです。しかし、さらに1/10の1/1000だったらどうか。この縮尺の図面からは実物が想像できません。つまり、1/1000の世界は世界が違い過ぎて想像できないということです。
 環境ホルモンの動物への影響についても、含まれる濃度が最初はppbのオーダーまでは考えられなかったが、実験を重ねるうちにppbのオーダーでの影響を実証できたようです。それは、ガラスの実験器具を使用した場合とプラスチックの実験器具を使用した場合で実験結果が変わったことからわかったということです。つまり、ガラスの場合はその成分が溶けだすことはないが、プラスチック製はその成分がごく微量だけど、検体に溶けだしたということです。1ppbとは50mプールに耳かき一つの量です。これを分析する技術もかなりの精度が要求されます。こんな微量でも生物に重大な影響があることを実証したことに大きな意義があります。
 化学物質は人体に悪影響を及ぼすことがありますが、化学物質なしの世界には生きてゆくことはできません。疑わしきは拒否する。それしか方法はないでしょう。自分の身を自分で守るためには、選択の目を持つことが必要です。