ひとり書読み嘆きにくれる


めぐる因果を誰が知ろ

豪奢西門世継ぎに困り

狂者経済刃にかかる

楼の月影あくまで冴えて

瓶の紅梅夜空にしぼむ

あわれ金蓮咎めを受けて

浮名千年語り草



雪月花に酒


 昨年3月公園予定が中止になり、一年経っての再演となりました。


 金瓶梅とは中国の水滸伝のスピンオフ作品。


 水滸伝の武松の兄・武大が嫁である藩金蓮とその浮気相手・西門慶によって殺されるエピソードから始まります。


 富豪である西門慶には、4人の婦人あり、そこへ藩金蓮が加わり、さらに、六人目に李瓶児が加わり、女中の春梅も巻き込んでの色事。


 西門慶への独占欲からの嫉妬、そして嫌がらせ、争いの結果、藩金連は、李瓶児の生んだ男児を殺し、さらには媚薬を使いすぎ、西門慶をも殺してしまう。


 そして、藩金蓮は館を追い出され、西門慶の罠により、追放されていた武松と再開。

 

 色目を使うも敵として殺されてしまう。


 金瓶梅の原作はもう少し続くも、今回の舞台はここまでの物語のアレンジとなります。



 舞台の話に映ります。


 主人公は西門慶ではなく、藩金連。


 彼女は方向先の旦那に見初められるも、それが正妻に発覚し、出入りの饅頭屋である武大に下げ渡される。


 嫁いだ武大は、年も離れ、粗暴で酒飲み。


 顎で使われる日々の中、西門慶との情事に希望を持っていた。


 ある日、西門慶に、「居なくなりたい」と漏らす。


 すると、

 「居なくなるのはお前? あいつ?

 だって、あいつがいなくなれば、お前が望むままなんだろう?」


 「私の思うまま? なんでも手に入るの?」


 そうして、藩金連は、武大を手にかけてしまう。


 西門慶はそれを知らされ、

 「お前は何がしたい?

 お前の思うままなのだろう?」


 藩金連は西門慶のもとへと嫁ぐ。


 しかし、そこには正婦人の呉月娘、芸妓上がりの第二婦人・李嬌児、知識人である第三婦人・孟玉楼、女中上がりの第四婦人・孫雪娥の4人の婦人がいたのだ。


 その状態の異常さを訴え、叫ぶ藩金連。


 彼女が、夫を殺してまで手に入れたかったものはこんなものではなかった。


 藩金連は女中の春梅と親しくなりながら、自分のおかれた状態を知る。


 そして、自分が西門慶の一番になろうと、雪娥が使用人ともともと恋仲だったことを正門慶へと告げる。


 雪娥は、使用人に迫られたといいわけをすると、西門慶は


 「雪娥、私はおまえを信じるよ」


 そういって、色目を使ったという使用人の左目をくりぬくのだった。


 狂気に染まってる館のなかで、西門慶は自分のためなら人が殺せる藩金連に惹かれて行く。


 西門慶の寵愛を受けるようになった藩金連。


 愛を知り、初めて愛されるための資格を得なければと考える。


 饅頭屋で何もない女だった金連が欲したものは、芸事であり、知識であった。


 そのために他の婦人たちと仲良くなろうとする。


 金連は変わろうとしたのだ。


 それを西門慶の友人・応伯爵に「何を勘違いしている。おまえの立ち位置はそこじゃあない!」


 西門慶は、友人であり隣人の花子虚の婦人・李瓶児へと惹かれていく。


 彼女は良い意味での良妻であり、ふつうの女性だった。


 ある日、宴の最中、西門慶と婦人たちの前に、花子虚がやつれた顔で現れる。


 「なあ、俺の奥さん返してくれよ」


 西門慶は土下座して謝る。


 そして、帰った花子虚は、妻である李瓶児にすべてを告白するが、思い詰めていた李瓶児に毒殺されてしまう。


 西門慶の館に第六婦人・李瓶児がやってくる。


 彼女の言葉と態度に、狂気にとらわれていた西門慶は徐々に正気を取り戻す。


 それは、狂気の現れでもあった藩金連への興味を失うことということだった。


 ついには、瓶児に子供が授かり、第一夫人である月娘と、瓶児を残して女を館から出すと言い出す。


 子供の教育に良くないからと。


 私にも子供をおくれよ。なんでも私のほしいものはくれるといっただろう。


 そう迫る金連に、「おまえは、だめだ。出て行かなくてもいい。お金も使っていい。ただ、瓶児には近づくな」


 そう冷たく言い放つのだった。


 金連と瓶児は夜に二人で対峙する。


 同じ男のために夫を殺したものとして。


 瓶児は殺してしまった夫のために幸せでなくてはならない。そのために全力でそうあろうとしてる。


 幸せなんかじゃない。幸せであろうとしているだけだと。


 だが、金連にはそれが理解できない。


 西門慶の愛も子供も持っている瓶児。


 自分は今も昔も何も持っていないのだから。


 手にするために夫を殺した。

 

 だから、夫のことなんて何も考えはしない。


 同じ夫殺しでありながら、対極をいく二人が交わることはない。


 金連は、階段の上から、瓶児を突き落とす。



 正気を取り戻した西門慶に、狂気の色は魅力とは無縁。むしろ嫌悪。


 金連の元へとは戻らない。


 仕事へ励む西門慶。


 ついには西門慶も手にかける。


 「私たちは愛し合って愛しすぎて、相手を憎んで殺してしまう」


 昔語った言葉を紡ぐ金連。


 「こんなのは愛じゃない」


 「西門慶、私は何がほしかったの? これ?」


 「ちがうよ。気づいて金連」


 そう言い残して死んでしまう西門慶。


 その言葉の意味を考えている金連の前に現れるのは武松。


 兄の敵・藩金連を殺すために生きてきた男。


 金連は死を前に、死にたくないと漏らし死んでいく。




 とてもよくまとまった舞台だったと思います。


 狂気の彩り、金連という女の罪深さと愚かさ。


 とてもよく描かれていたかと。


 それぞれの女の一面というのは、女性なら持ち合わせているものなのではないかと。


 嫉妬深さや陰険さ、それでも愛されたい愛らしさ。


 一面だけでは表せない女性がうまく表現されていたかと。


 とてもおもしろい舞台でした。



 乙女企画クロジは、年末に11回公演を控えています。


 こちらも観たいですね。


 楽しみです。