映画「ヘブンズストーリー」を録画してあったので覚悟を決めて見ました。
何故に覚悟かと言えば、映画ですが、4時間半なのですよ。
休みの日がほぼこれで終わったと行っても良いでしょう。
映画は全九章からなっています。
それぞれの章で視点は変わり、それぞれの物語がリンクしているので、登場人物はシーンによっては見切れているだけだったり、中核にいたりします。
この物語はある少女から始まります。
一家惨殺事件の生き残りの小学生の少女。
彼女はなぜ自分がだけが助かってしまったのか?
生きていく意味があるのか解らないまま、祖父に引き取られようとしていた。
車を止めさせた僅かな隙に、少女は車を飛び出した。
知らない町は少女のは広く町を歩いていると、テレビでニュースが流れる。
自分の家族を殺した犯人がホテルで自殺したというのだ。
少女は感情が制御できなくなるが、次のニュースで落ち着きを取り戻す。
それは、妻と子供を殺された男の記者会見だった。
未成年である犯人は死刑にならないと言うなら、僕が殺す。
控訴もしないという。いち早く社会に出てもらい、殺すと。
少女は自分には復讐すべき相手が居ないことを悟るが、彼の発言を胸に生きていく覚悟を決めるのだった。
月日は流れ、少女は高校生となり、彼の自宅を調べ、訪ねる。
その家には、新しい妻と子供がいて、かれは新しい人生を歩んでいた。
少女は、その裏で復讐を伺っているのではと思うが、彼は今を生きていた。
そして、少女は自分の思いを彼に告げる。
「なぜ、殺さないの?
彼はもう出所してる。毎日彼が殺されないか新聞を読んでるの」
「僕ら被害者は、新しい幸せを求めてはいけないのか?」
「いけないと思う」
少女との問答の中で、薄れつつあった復讐が再び盛り返してくるのだった。
新しい家族との間で葛藤しながらも、再び灯った復讐の炎は消せはしない。
少年は、手紙をもらう。
少年の「これから生まれてくる人にも僕の事を覚えていて欲しい」という最後のメッセージを知った中年女性から。
彼女は彼と触れ合うなかで彼に惹かれ、彼は今まで無かった安らぎを得る。
だか、彼女は若年性アルツハイマーという病を抱えていた。
出所した後の少年は献身的な介護をして過ごす。
少年の元へ、被害者遺族の彼が姿を現す。
彼は、少年が仕事のあと、仕事仲間に連れられ酒を飲み、風俗へ行くところをつけていたのだ。
「何をしてる。
なぜ、謝りに来ない?」
「いろいろ忙しかったから」
「忙しかった?
電話でも手紙でも出来ただろう」
「謝って済むなら謝ってるよ」
壊れた世界に壊れた楽器の音が響くようだ。
彼はその日、復讐への決意を固める。
それは、新しい家族との別れでもあった。
少女はささやく、復讐こそ権利であると。
それは少女の願望でもあるのだ。
復讐劇は幕があがり、その最中、アルツハイマーの女性を遠ざけようと拉致する。
そして、少年と彼がもみ合う中、少女が叫ぶ。
「この人死んでる」
少年は絶叫し、彼は犯した罪に震えて逃げ出す。
復讐劇の幕は閉じ、新たな復讐劇の幕が上がる。
ここまでで、3時間ぐらいかな?
もっと、多くの登場人物がいてお話に深く絡み合っています。
強盗を誤って射殺してしまってから、復讐の代行をしながら、遺族へお金を送り続ける警官。
その息子や、遺族の娘。
アルツハイマーの中年女性の旦那さんとかね。
そのもつれた糸がほどけるのがまた面白い点ですね。
母子殺害事件をテーマに据えながら、復讐とは、生とは、死とは?と訴えかけてくる作品です。
ラストの方では人の死と、出産のシーンが巧みに挿入されており、深いなと思います。
ただ、見ていて重いです。
新しい家族を持ちながら、復讐へ走ってしまう男。
復讐され、大切な人を殺される事を知る男。
最後に終わりにしようと言えるのはだれなのか。
自分の思いを投影し、恋する少女。ただ、願いは復讐。
そして、ラストのヘブンズストーリーをどう受け入れるのか?
最後まで見た後で、なるほど、ベルリン映画祭で高い評価を得たわけだと思います。
四時間半という時間に耐えられるなら、お勧めする映画です。