雪月花に酒


 映画「第9地区」を見てきました。


 これから、内容について書こうと思いますが、ネタバレを含むので注意してください。

























 


 ある日、南アフリカのヨハネスブルグ上空に一隻の宇宙船が飛来する。


 何ら行動を起こさない宇宙船に、業を煮やした人類は外壁を破って強行突入することにする。


 そして、発見したのは飢餓で栄養失調に苦しむ地球外生命体だった。


 ヨハネスブルグ郊外に作られたエイリアン用の難民キャンプは150万ものエイリアンで溢れかえり、20年もするとスラム街を形成していた。


 エイリアン達のほとんどが、ハチで言うところの働きハチにあたり、知性が低く、上位種族に従うという特質を持っているようだった。


 指揮官を失ったエイリアンに秩序はなく、結果、難民キャンプは第9地区という名称の元に隔離される事になる。


 そして、もっと、都市部から離れた隔離施設である「第10地区」へのエイリアンの移動が行われることになる。

 

 この映画は、この大規模な移動を指揮することになった男の身に起きた出来事を記録映像や関係者、知識人などのコメントを編集したドキュメンタリ風の映像作品になっている。 

 

 企業の理論や、人の中に根付いてる差別意識などが、露骨に描かれていている。


 人類は、エイリアンをその容姿とゴミを漁る様子から、侮蔑の意味で「エビ」と呼ぶようになる。


 その差別意識を持つ多くの人類と、エイリアンを養護する人権団体なども描かれ、リアリティを感じる作るになっている。

 

 この映画を見ると、外見の容姿に醜さ以上に人の内面の醜さに嫌気が差してくる。


 そう言った人類と、僅かに、立ち位置が、本当に僅かに立ち位置がずれた主人公の苦悩が色々と考えさせられる作品に仕上げている。


 といっても、元々差別意識の強い人や、あの容姿などに嫌悪感を覚える人は、エビを隔離し、管理しようとする思考に共感するかも知れない。


 実際解らないでもない。


 最低限の秩序や法を守るならまだしも、それが出来ないようでは、治安は悪化するだろう。


 描かれているエイリアンが町に住み着くのは問題があるだろうしね。


 この現実の問題である対立や実害をどう乗り越えて共存という理想へ進むのかという答えは、この映画にはない。


 この映画の世界の抱えた問題は深刻で、未来は見えていない。


 何となく見てしまえば、それまでの映画だが、すこし考えて見てみると良いのかも知れない。


 だって、宇宙船は南アフリカのヨハネスブルグに降り立つのだからね。



 ふと、白人とネイティブアメリカンの関係を印象づける「Avatar」や戦争中に日本軍の捕虜となった経験から書かれた「猿の惑星」などを思い出す。


 異文化を否定ではなく、理解から始まる物語というのが現実的ではないが、架空の話だけに良いのかもしれない。